異次元の詳細
「よう、神田達也。なかなかおもしろいキャラクターになったじゃないか!」
「あなたは、オルゾルス。」
「様をつけろ。様を。」
「すみません。オルゾルス様、このファントムというキャラクターは、アークランドには存在しないようですが...。」
「あぁ、確かにファントムはアークランドのキャラクターではない。俺も少し調べてみたんだが、そいつは元々お前が遊んでいたゲーム。ファンタジーオンラインの【魔界】という異次元に住む伝説級の魔術師だ。アークランドに知る者は誰一人として居ねぇな。」
「ファンタジーオンラインに魔界はあるけど...ファントムなんて聞いたことがありません!」
「んーそうなのか?どれどれ?神の力でもう少し詳しく調べてみよう。
....なるほどねぇ。このファントムっていうのは、ファンタジーオンラインの試作品みたいなキャラでね、あまりにも強すぎるから、開発チームが表に出せなかったんだ。
しかし、せっかく試作したキャラを消すのはもったいない。ということで、キャラデータはファンタジーオンラインの片隅に隠していた。
そんななか、お前が俺の加護を使用し、ゲームに隠れた試作キャラを召喚しちまったって訳だ。
しかも、同じゲーム内に召喚じゃない。しっかりと存在する異世界、アークランドにな。
まぁ、要は予定にないバグによって召喚された、バグキャラだな。おめでとう。お前は今日からバグキャラだ!」
「バグキャラでおめでとう!って何ですか。なんだかオルゾルス様は楽しそうですね?」
「あぁ、楽しいさ。正直、ファントムとか訳のわからないキャラはリセマラ対象に入れてなかったし、俺も予想していなかった出来事。
他の神々なら、そもそもリセマラはさせないし、もしさせても、アークランドのキャラに限る。
この異次元というか、ゲームの中に隠れていた試作品キャラを選ぶなんて事は、当然認めないだろうな。
だがしかし、俺は悪戯の神、オルゾルス!
つまらぬ世界に悪戯を!
悪戯の神の権限により、お前のキャラクター選び、ファントムを認めよう!」
脳裏に響く声が消えて静かになった。