表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/201

お酒を呑まずに夜更かしするのはいいことなのか否か

彼女には自分が『酒が強い』という自覚はまったくありません。

 隣の二階堂さんには変な癖がある。

 考え事に夢中になると、部屋の壁を叩くのだ。


 最初は何事かと思った。

 隣に誰が住んでいるかなんてわからないから、すごく怖かった。

 だけど会ってみるとこの隣の住人はあたしよりも背の低い小さな女性で、しかも変な癖はあるものの基本的には穏やかで親切で良い人だった。


 だから最近では彼女が壁を叩き出してもなにも思わない。

 本人から『やらかしたら知らせてくれ』と言われているのでこの無意識な癖が出た時には、彼女の家のチャイムを鳴らしたついでに、うちに呼んで一緒にお茶することにしている。


 実はそんな時間が、あたしも4歳になる娘の夕凪も楽しみなのだ。


 日曜日の夜は少し憂鬱。

 こんな夜は壁の音はするのだろうか?


 どんどんどんどん……


 やっぱりしたか……。

 あたしは夕凪(ゆうな)に言った。

『お姉ちゃん、呼んできてくれる?甘いものでも食べましょうって』



 ――――――――――



 別に夜寝れないわけではないのだけど……お酒を呑む日は早く寝てしまう傾向がある。

 お酒はあまり強くないからすぐに眠くなってしまうのだ。

 平日は仕事から帰ってきて、19時ぐらいからお酒を呑む。

 もちろん呑まない日もあるけど、そこそこ毎日呑む。

 太ったのは食べ過ぎたからであってお酒のせいではないと信じている。


 お酒を呑んで早く寝るのはどうなのだろう。

 早寝早起きは健康的だと言われているのだが……あたしの場合、早く寝るけど低血圧なので朝は起きられない。だから早寝しても早起きはしていない。仕事に間に合う時間になんとか起きているという感じだ。


 お隣は小さい子供がいるだけに早寝早起きだ。

 大家さんには悪いけど、安普請のアパートでは人の動きは壁を通してしっかりと伝わってくる。

 そう考えるとあたしのあの悪い癖は一日も早く治したい。


 まあ……ただ……

 気が付けばやってしまっている……ということが多いので、実際には治すのも一苦労なのだが……。


 てゆうか……


 お酒をそこそこ毎日呑む生活は健康に良いのだろうか。

 いや……確実に良くはないはず。

 いくら早寝できるからと言っても毎日呑めばやはり身体に毒だろう。


 ん?

 でも飲まないで夜更かししているのはどうだろうか……

 それはそれで身体に悪そうだ。


 じゃあ、お酒を呑むのと夜更かしとではどっちが悪いのだろうか……。


 この際、飲まないで早く寝るという選択肢はなしだ。

 夜の時間は貴重だ。

 見たいドラマもあるし、読みたい本もある。

 お酒を呑まない時だってそれなりにやることがあるのだ。


 ちょっと冷静になって考えてみよう。


 あたしは部屋の中をぐるぐると歩き出した。

 でた。悪い癖だ。


『百薬の長って言うしなあ……』

 考え事をしていて何か思いつくとつい独り言を言ってしまう。

 実に気持ち悪いのだが、ついやってしまうのだ。


 確かに『酒は百薬の長』と言う。

 そう。

『百薬の長』なのだ。

 身体に良いに決まっている。

 それにあたしの場合は弱いからそんなに呑んでない。

 多い時でも500㎖の缶ビール6本ぐらいしか呑まないのだ。

 それに呑まないというのはいかにもストレスがたまる。

 今のところ、どこか身体が悪いわけでもない。まあ……血圧は低いが……それぐらいだ。

 強いて言えばそんなに頭が良くないぐらいだろうか。


 こうやって考えると……特に今の段階で身体に不調があるわけでないなら深く考えなくてもいいのではないだろうか。

 いやいや……悪くなってからでは遅い。

 予防医学の観点からは今からそういうこともしっかり考えておかなければ……。


 うーん。


 考えが煮詰まったところで玄関のチャイムが鳴った。


 どうやらあたしはまたやってしまったらしい。

 さすがに今日は呑むのはやめにしよう。

なんだかんだ……考えても次の日から普通に飲んでしまうのです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ