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出席番号1番から始める異世界復讐  作者: 五月雨時雨
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その頃、復讐者

和田が十六夜グループに入った頃、2人は西に3キロ行ったところにいた。


「はぁ……予想外だったなぁ」

もっと進んでいるはずだったんだけどな。

みんな続々と出発しているはずだ。

全員集まってから魔王城へ行きましょう!なんてことにはあのクラスではならないはずだ。

あのクラスは僕を除いてほぼ全員役職や各部のエースや主将だからだ。

我が強い奴らだからまとまるのは難しいだろう。


「……」

黙ってついてくる珠美に目を向ける。

俺の後ろからついてくる形で歩いているが少し呼吸が乱れているように見える。


結局の所遅れているのはこいつのせいなのだ。

なにより歩くのが遅い。

たしかに俺より頭一つ分身長は低いし、胸もデカイがここまで遅いとは思わなかった。

っていうか靴もだよ、修学旅行だってのに歩きにくそうな靴来てくるなよ……


「あぁ!もう!珠美、休憩するからお前も休め」

「……かしこまりました」

この『奴隷魔術』も意思も消してしまうから使いづらいな。

命令には従うが体力に合わせて休むなどの応用が利かない。


「そろそろ日も暮れるぞ……」

そんなに時間は経ってないはずだが、もう日が暮れようとしている。

「最悪野宿でも構わないがこんな森の中で野宿は避けたいな」

丸太に腰を落として独り言を呟きながら考えていたら後ろの方から誰かが近づいている音がした。


「珠美、こっちに来い」

俺の近くで同じように腰を落として休んでいた珠美に声をかける。

誰だ……?

相手と数によってはキツいことになる。

まず1人なら誰が相手でも『奴隷魔術』で終わりだろう。

しかし複数人でかつ遠距離スキルなどを持っている場合……珠美を盾にしないといけない。

さぁ、誰だ……?


「ぷはぁ。ぺっぺっ、口に葉っぱが入っちゃったよ」

アイツは確か

「それで、と……」

そいつは俺たちの方をまっすぐに向いた。

「やっぱり〜珠ちゃーん。会いたかったよー!」

思い出した、こいつは出席番号7番の加賀美緋奈かがみひなだ。

「もー私置いてくなんて酷いじゃーん!こんなやつ置いてって私と2人で行こうよー!」

突然でてきて失礼だが完璧に俺のことを無視して話を進めている。


「……珠美?」

なにも喋らない珠美の様子を見て加賀美も違和感を感じたらしい。

「オイ、哀田ぁ!てめぇなんかしただろ!」

となると、俺に矛先が向くのも当然だ。

「なんかって、なに?」

そして俺も素直に答えない。

「てめぇなぁ!」

俺に手を出そうと加賀美は突っ込んでくるが

「珠美!?」

さすが奴隷だ、珠美はなにも言わなくても危険を察知して俺を守ってくれた。

「珠美、なんで……こんなやつのこと嫌いだって言ってただろうが!」

嫌われてたとは思っていたが人にもそう言っていたのか……


「加賀美さん、君にも分かりやすいように教えてあげよう」

種明かしの時間だ。

「珠美は俺のスキルによって奴隷状態にある」

「ど、どれいだとぉ?」

「そうだ、意思の自由もそうだが。生殺与奪の権利も俺が握っている。この意味が君にわかるか?」

加賀美の顔が絶望に染まっていく……その顔が見たかったのだ!


「今度はこちらから質問させてもらう」

すぐ『奴隷魔術』を使っても良かったのだがここは敢えて質問をする。

「君は俺たちの位置が分かっていたようだがそれは何故だ?」

「……」

「黙っているようなら、そうだな……珠美。30秒ごとに服を一枚脱げ」

「お、おい!珠美は関係ねーだろ!」

加賀美が食ってかかる。

「この方がお前も話しやすいだろ、ほらカウントは始まっているぞ」

加賀美は10秒ほど考えていたが

「くそ!私のスキルだよ!」

と自白した。

「詳しく聞かせてくれ。おっとまだカウントは進んでいるからな」

俺が言い終わったところでちょうど30秒だ、珠美はブレザーを脱ぎ始めた。

「はぁ!?止めろよ!……私のスキルは!『マッピング』だよ!」

「私は走るのは得意だし町の場所とか分かるスキルがいいと思ったんだよ」

「ほぉ、あとはそうだな……他の奴らがどうしたか教えてくれ」

そう言ったところで珠美がスカートを下ろした、シャツが長いからまだ下着は見えていない。

「知らねえよ!すぐにお前らを追って走り出したからな!嘘じゃねえから珠美を止めろよ!」


「止めろ……か、嫌だと言ったら?」

もう聞き出すこともないがそう続ける。

「なんだよ!謝罪か?土下座してほしいのか!?」

ため息をつきたいな……どうして謝れば許してもらえると思っているのか。

「珠美もういい」

シャツのボタンに手をかけた珠美を制止する。

それだけで加賀美は嬉しそうな顔を覗かせた。

俺はそんな加賀美に近づいて頭に手をあてた。

「お前さ、甘いよ……『奴隷魔術』」



これで2人目だ、加賀美の最後の顔。

希望から絶望に落とされた顔は傑作だった。

加賀美の『マッピング』で近くの村の位置を確認した。

まずはそこで寝るか。

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