その頃、攻略組は
和田淳吾が遺跡で脅迫されている頃。
遺跡からおおよそ北に5キロ行った先に攻略組と呼ばれた者たちはいた。
攻略組の頭は出席番号15番 皇裕翔だった。
「これで、ラスト!」
切断されたゴブリンは灰になって消えていく。
経験値が入ったことを知らせてくれるが経験値は1しか入らない。
組を二つに分けて探索していた所、ゴブリンの群れに囲まれてしまったが難なく突破できた。
「そもそもよーレベルが違うんだろ!」
出席番号14番 司馬達也が言う。
「どうなんだろうね、ここら辺の魔物が弱いだけかもよ?」
出席番号9番 喜多村春樹がそう返す。
確かにここの魔物は弱い……そもそも僕らのレベルが文字通り桁違いなのだ。
「えっと……怪我した方とかいないっすよね?」
出席番号29番 灰澤萌が控えめに聞いてきた。
「あぁ、誰も怪我しちゃいないさ。それに君のスキルは貴重なんだ。多少の怪我で使っちゃいられないよ」
萌は確認した中で一番使える回復スキルだった。
それでなんとか口説き落として攻略組に入ってもらったのだ。
「裕翔……もう大丈夫」
スッと僕と萌の間に割って入るように報告してきたのは出席番号25 一七四だった。
「ありがとう、周囲は問題ないんだね」
繰り返し確認してみると七四はこくんと小さく頷いた。
「結構歩いたよなぁ、そろそろ町とか着いてもいいんじゃねえか」
「……こっちは人の気配がしない」
「はぁ?だったらこっち歩いても無駄じゃねえか。宿とか食事はどうすんだよ!」
「……私に言われても困る。……こっちに進むと決めたのは総意のはず」
「あぁん?なんだてめえ!?」
「達也!やめないか!」
達也が今にも掴みかかりそうだったので静止した。
こいつもこれがなければ問題ないのに。
「別れた五人が集合場所に戻ってるかもしれないし一回戻ろう。後のことを考えるのはそれからでいいだろ?」
「裕翔がそう言うならそれでいいぜ」
「そうだねー僕も賛成かな」
周りを見渡すと他の者も反論はないようだ。
ここの魔物が全体でいうとどれくらいなのかはわからないがこの程度なら魔王がどうであれ僕たちが負けることはないと思う。
ましてや攻略組として集めたクラスメイトは皆攻撃スキルや回復スキルなどで優れているものばかりだからだ。
「早く帰らないとな……」
向こうでどういう扱いになっているか分からないが、急にクラスが消えたのだ。
警察や保護者など心配をかけているに違いない、だからこそ早く帰れるように魔王を倒さないと……!
「あの、大丈夫っすか?皇くん」
萌に話しかけられてハッとした、少し進んだ先で他の者もこちらを心配そうに見ている。
「あ、あぁ大丈夫だよ。萌……」
「?」
「頑張ろうな」
「うん!」