古き神の贄
そして走ること数分、ルヴィの案内に導かれついに敵の陣取る場所。
儀式の地にたどり着いた。
真ん中は小高い丘のようにされていてそこでは加賀美と珠美が半裸で掲げられていた。
「オイ!お前ら!」
丘の方を見ていた魔物も一斉にこちらを向く。
数えきれないほどの魔物がこちらを狙っている。
「おや?」
その中で丘にいた奴がこちらに気づく。
「あぁ!貴方が新しい天魔様ですね!」
よく見るとその脇の2人も他の魔物と比べると全く違う。
「申し遅れました。私、三鬼の1人で智鬼と申します。そして右側が剛鬼。左側が狼鬼です」
こいつらが三鬼!
「えぇえぇ。貴方様の言いたいことは大変よくわかります。ですが!」
仰々しい言いかたで勿体つける智鬼。
「役者が揃ってない。この生娘2人を生贄にして蛮神を復活させませんとぉ!非常につまらない」
真ん中の加賀美と珠美を生贄と言い放った。
そして剛鬼が続く。
「弱い女たち……生贄になるならそれでよくないか?」
「そうだな、早く天魔と戦わせろ」
狼鬼は今か今かと待ちきれない状態だ。
「いえいえ。御二方まだまだ時間がかかります。それまで天魔様には楽しんでもらうアトラクションを用意しておりますよ……まずは」
智鬼が言い終わる前に周りの敵が襲いかかってくる!
「おやおや、堪え性のないやつらですね」
智鬼の独り言を背に俺はゴブリンやスライムを片っ端から薙ぎ倒す。
レベルは大したことはない。
だからこそだ。
三鬼が控えている今、こんなところで体力を使ってられない。
ひたすらなぎ払いながら前進する。
ただ真ん中の儀式の丘に向かい突き進む!
「うおおおおおお!」
右も左も前も敵。
止まるな……
止まるな。
止まるな!
「なぁ、もういいか?あいつらじゃ数にしかならねえよ」
「仕方ありませんねぇ。といっても止めても行ったでしょ?」
「ハハ、違いねえや」
丘からなにかが飛んでくる……あれは。狼鬼!
着地地点の魔物を吹き飛ばして俺の前に立つ。
狼鬼が降りてきてから周りの魔物は俺から距離をとった。
本能的に巻き込まれることを悟っているのだろうな。
「よぉ天魔様。少し前は逃げられたけどよ。今回は付き合ってくれるよな!」
分かってたけどこいつは骨が折れるな……
狼鬼はワーウルフの魔族で高い身体能力を有している。
獲物もないから恐らくステゴロだろう。
「来ないならこちらから行かせてもらうぜ!」
四足体勢からの足を狙いにきている。
獰猛な爪が足に襲いかかる。
瞬間的に足を引き上から拳を叩き込もうとした。
しかし相手はそのまま倒立をし踵を当ててきた。
肩にのしかかる痛み、俺はそのまま後ろに飛び退いた。
「どうしたよ、天魔様。そんなもんなのか?」
はぁやっぱり強いよな。
だけど俺も時間がないんだ。
「悪いけど急いでるんだ!」
今度はこちらからしかける!
足を蹴り上げる。
当然ガードされるが空いた顔面に握りこんでいた砂をぶちまける。
「ぐおっ!てめえ」
卑怯だなんていうなよ。そもそもこっちは急いでんだ!