表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/16

4 役場

 茜に気を遣ったのか、以降箱船は彼女と横に並んで歩いた。

 言動は変人のそれだけど、根が悪い人ではなさそうだ、と茜は内心胸を撫で下ろす。

 やがて二人はこの地に来て初めて出くわした建物の前に立った。かなり年期を感じさせる木造の平屋建てで、屋根瓦にはところどころにヒビや浮いた部分がある。

 そして両開きの扉の横には『羅生村役場』と薄れかけた筆字の看板が掲げられている。


「意外と距離がありましたね。あの地図、思ったより縮尺が小さかったようだ」

「……なんだか、役場らしくないです。こんな村の外れみたいなところにあるし」

「それは当然ですよ」

「え?」


 聞き返した茜を尻目に、箱船は役場の飾り気ない扉を押し開けた。茜も慌てて追い掛ける。

 からん、と擦れたような鐘が鳴る。

 扉の奥にはすぐ部屋があって、目の前にカウンター机が設けられ部屋を半分に区切っていた。

 人はいなかった。カウンターの奥にも扉があっても半開きになっている。

 二人はしばらく待った。が、誰かが現われる気配はない。

 茜は首を傾げる。


「いないんですかね」

「そんなはずはありません。もう少し待ってみましょう」


 そして更に数分後。


「やっぱりいないみたいですよ。出直した方が――」

「いやいや、すみませんすみません、まったく気づきませんでして」


 茜が根負けしかけたのと同時に、カウンターの奥から男が姿を現した。五十代近くの中年で丸々とした体型をしている。服装は、役場の人間には思えないラフな格好だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ