ナス湖へ
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「あなたもこっち来なさいよ」
思わぬキャットの登場に、たじろいでいると、船長も手招きしてきた。
「これから仕事の話をしようとしていた所じゃ。 メニューも頼んでいないのなら、丁度いい」
「……」
断る理由もなく、クロード、キャット、船長の3人で円卓を囲むこととなった。
「クロード君、ワインは飲めるかね?」
「ワイン…… ですか」
「試しに飲んでみたら?」
キャットに促され、白ワインをグラスで注文した。
料理が運ばれてくる間に、船長が明日の段取りの説明をする。
「早朝、20マイリーを海から引き上げ、改造した馬車に乗せ、ナス湖へと向かう。 最短ルートは森を抜ける道だが、馬車では無理じゃ。 よって、ゴブリン荒野を抜ける他ない」
ゴブリン荒野を抜けた先にナス湖があるとのことだが、文字通り、野党ゴブリンに襲われる危険が高い。
「あんな重たいものを乗せた馬車なんか、格好の標的よね」
運ばれてきたパエリアを口に運びながら、キャットが言った。
クロードも、ワインを口にする。
「……うぷっ」
初めて飲むワインに、思わずむせ込んだ。
「ごほっ、ごほっ……」
「ふふ、大丈夫?」
(くそ…… 赤っ恥だ)
「ゴブリンは水牛に乗ってこちらの馬車を狙ってくるはずじゃ。 それを追い払う護衛が必要になるが、それを君に頼みたい、クロード君」
「……お、俺っすか?」
「安心して。 私が弓で追い払うから、あなたは保険みたいなものよ」
「……」
保険、と聞いて、少しムスッとしたクロードだが、船長が話を進めたため、一旦そちらに耳を傾ける。
「ナス湖には昼頃到着する予定じゃ。 補足として説明しておくと、ナス湖は水深10キロメートル、直径20キロの国内最大の湖じゃ。 そこに住む巨大生物の大きさは、噂では40メートルを超すと言われておる」
「40メートルだって!?」
ガタッ、とテーブルに手をつき、クロードが立ち上がる。
グラスの中味が大きく揺れた。
「……ちょっと、大人しくしてよ」
「わ、わりぃ……」
しかし、そんな生物が湖に生息するとは考えにくい。
「恐らく、スフィアの力じゃろう」