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3つの宝石  作者: oga
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井戸へ

「……やべっ!」


 クロードは、飛び起きた。

昨晩は家に帰ってから、倒れ込むようにして眠りについていた。

床に転がっていた宝石を確認し、安堵する。


(石を無くしたら、笑えねーからな)


 宝石を手に取ると、1階へと向かった。

全身筋肉痛で、階段を降りるのにも苦労したが、今日はクロキと共に井戸の散策をしなければならない。

その旨を父親に説明した。


「……ってことだから、行ってくるぜ」


「気をつけ…… ゴホッ、ゴホッ、オエエッ……」


(また咳が悪化しちまってんな……)


「今日は安静にしとけよ、じゃあな」






 路地から大通りを抜け、クロキクリニックの前までやって来ると、扉をノックした。

扉の前にはクローズの看板がかけられている。


(宝石を取り戻すまでは、開店する気はねーのか?)


 しばらく待っていると、扉がゆっくり開き、その隙間からクロキが顔を出した。


「……何だ? キャットは見つかったのか?」


 クロードは、久しぶりにクロキの顔を見たような気になったが、昨日のことを告げた。


「ちげーよ、イエローサファイアが見つかったんだ」


「何を馬鹿な……」


 口で言っても信じてもらえないだろうと、クロードはポケットから実物を取り出した。


「ほら」


「……」


 バアン、と今度は勢いよく扉が開く。


「本物か!? 一体、どうやって手に入れた!?」


 クロードは事情を説明し、井戸の底にいる魔族の長に会いに行く必要があると言った。


「……立ち話で聞かれたらまずい内容だな。 ちょっと入れ」


 






 入ってすぐに受付があり、クロードは奥の小部屋に通された。

部屋の中は専門書であふれており、机の上には書類が散乱していた。

しばらく待っていると、クロキがインスタントコーヒーの入ったコップを2つ、手にして戻って来た。


「サンキュー」


「で、話の続きは?」


 クロードは、昨日の出来事を話し、イエローサファイアを展示して客を集める許可を貰いに、一度魔族の長に会いに行かなければならないことを説明した。


「無断で展示したら、相手も黙っちゃいないだろうからな」


「……魔族の目的は、あくまで賢者の石。 だから、それと交換条件でしばらく展示させて欲しい、こういうことか?」


「その通り。 魔族が手を出してこなければ、キャットの方に集中できる」


 クロードは、客引きのついでに、キャットをおびき出そうと考えていた。


(絶対に、食いついて来るはずだ)


 その話を終えると、クロキが立ち上がった。


「早速井戸の底に向かうぞ。 かぎ爪ロープと、ランタンを持って行こう」




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