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3つの宝石  作者: oga
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戦いの行方

 闘牛は猛然とクロードの方へと走ってくる。

眼前には、まき散らされた風船。

角がその内のひとつに触れた。


(くらえっ)


 しかし、風船は破裂せず、道端へと追いやられた。


(は!?)


 思わずツルハシを投げ捨て、クロードは横っ飛びにジャンプした。

紙一重で角を回避、勢い余ってローリングを披露し、地面に倒れ込んだ。


(くそ…… こうなったら)


 クロードは、脇に落ちていた風船をつかみ取ると、闘牛の方へダッシュ。

闘牛が方向転換した瞬間を狙い、角に押し当てる。

すると、それが破裂して、両者の目の前にコショウがまき散らされた。


「はっ、はっ、ぶええええっくしょん!」


 コショウのダメージが大きいのは、どちらかと言えばクロードの方である。

闘牛は頭を振り、ブルル、と呻くと、足を蹴ってクロードに突進した。


(……!)


 その時、何者かが闘牛の前に立ちはだかった。


「……ぐっ」


 それは、クロードの父親であった。

斧の柄で、どうにか闘牛の頭を抑え込んでる。


「親父、無理すんな!」


「……クロード、お前は絶対に死ぬんじゃねえ」


「ブルウウウウ!」


 闘牛が更に力を込める。

今はこらえているが、いつ何時、角が外れて胸を貫くか分からない。

それでも、耐え続ける。


「クロード、俺は、お前なら俺の出せなかった答えを出せると思ってる。 俺の人生は、辛いことばかりだった。 かけ出しの頃は、剣もろくに使えなくて、パーティから使えねーやつ扱いされてたし、慣れてきた頃には、絶対戦いたくねえ魔物と戦わなきゃいけねえ時だってあった」


「ブルウウウウッ!」


「るせえっ、話をさせろっ! クロード、お前はまだスレてねぇ。 お前なら、俺の越えられなかった壁を越えられるはずだっ!」


 困惑するクロードであったが、今の話を聞いて、クロードは納得した。

父親は恐らく、冒険者になったはいいが、途中で挫折したのではないか?

それでも、夢を諦めきれず、自分に冒険者になるよう勧め、託したのだ。

最後に、父親は振り向きもせず、こう言った。


「……クロード、お前の若さなら、どんな困難でも弾き飛ばせる。 ……頼んだぜ」


 言い終えると、父親は宙を舞った。

闘牛は、今度はクロードに狙いを定め、力をため込んだ。

そして、渾身の突きを放つ。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおっ」


 クロードは咆哮を上げ、向かってきた角を掴んだ。

ミシリ、と音がする。

体は後方に押し込まれたが、しばらくして止まった。

そして、どういう訳か、それ以上押し込めない。


「ンモウ!?」


 闘牛は目を丸くした。

普段のクロードでは、ここまで人間離れした力は出せなかったであろう。

クロードに力を与えたのは、生まれ持った素質でも、ダイヤの力でもなく、父親の言葉であった。


「ンモオオオオオオオオオウ!」


 闘牛は、頭を思い切り上下に振った。

その瞬間、クロードはそれに合わせてジャンプした。

空中で体をひねり、闘牛に馬乗りになると、腰のナイフを抜き、一気に首に突き立てた。  

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