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3つの宝石  作者: oga
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魔族

「金貨はいらん、盗賊の女の居場所、もしくは私物を寄越せ」


 クロードは、キャットからナイフを預かっていた。

自分ははめられた。

あの女がどうなろうと、知ったことでは無い。

しかし、相手は魔族であり、ナイフを渡せばキャットの命の保証はない。


(……そんなことより)


 老人の射るような眼差しが、自分の秘密を暴いてしまうのではないか? クロードはそう思った。


(もしダイヤのことがばれちまったら……)


 クロードの表情の強ばりが伝わったか、老人が口を開きかけた、その時。


「……困りましたね。 我々も宝石を集めている。 この場なら、他の冒険者の協力も得られるし、あなたを葬ることもできます」


 ブラックの思わぬ発言に、凍り付いたのはクロードの方だった。

老人は穏やかに話し始めた。


「……ここで争う気はない」


 老人も魔族と言えど、この場にいる冒険者全てを相手取ることはできない。


「……ワシらの目当ては、あくまで賢者の石。 それを精製した後は、貴様らにくれてやる」


 宝石は賢者の石を作るための資料で、それを作ってしまえば用済み、とのことだ。

その話を聞き、ブラックが一瞬口角を上げたように、クロードには見えた。


「……ならば、協力しませんか? 2人が一つの物を奪い合うより、手分けして宝石を探した方が効率がいい。 我々は泥棒猫を探すので、あなたにはブラックダイヤモンドを追って欲しい」


「……アテはあるのか?」


 ブラックが何を口にするのか、クロードにも検討がつかない。


(ここで裏切る気じゃねーだろーな……)


「ブラックダイヤモンドは、災いをもたらす石として、持ち主を転々としています。 今は、スライム石鹸で一山当てた、ヤマシタという男が所有者とのことです」


「……何だと?」


 老人とクロードは、同時に声を発した。


(災いをもたらすとか、聞いてねーぞ!)


「そのヤマシタという者は、どこにいる?」


 ブラックは、ヤマシタの経営する農場の場所を説明し、手分けして宝石を集める約束をした。






 別れ際、クロードがブラックに問い詰める。


「あの話、本当なのかよ?」


「……それより、お前は泥棒猫を見つけろ。 俺は魔族の住処を探って、イエローサファイアを手に入れる」


 災い云々が気になるクロードであったが、今は老人に嘘がバレる前に、キャットの居場所を突き止めなければならない。


「……分かったよ。 おまえんち、ここら辺なのか?」


「俺の家はそこだ」


 ブラックが指差した先には、クロキクリニック、という看板の掲げられた家があった。


(……てか、すげー近所じゃねーか!)

 

 しかも、本名はクロキ、というらしい。

クロキだからブラック。

あまりにもダサい。


「何か進展があったら、連絡くれ」


「……」


 




 ブラックを見送り、クロードは井戸の方へと歩き出した。



 




 

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