プロローグ
一日でファンタジーを書こう企画作品です。
ここは、様々な種族の生活する王国。
石造りの大通りの脇には、武器、防具、アイテムショップ、酒場などが所狭しと並び、行き交う人は、市民、兵士、冒険者に、学者、職人、異国の者など、千差万別である。
そんな町の中に、ひっそり佇む鉱石ショップがあった。
裏通りの寂れた一角に、消えかけた文字で、「コールド・ストーン」と書かれた看板を構える店がある。
店内の広さは10畳ほどで、大小様々な鉱石が売られているが、関心の客は一人もいない。
石は殆ど売れなかった。
「ゴホッ、ゴホッ」
「……また咳とまんねーのかよ」
そう言ったのは、クロード(20)で、体調の良くない親の面倒を見ながら、店を切り盛りしていた。
「ゴホッ、ゴホッ…… クロード、いい加減、うまい飯が食いてぇんだがな」
「……だって、金ねーし」
朝食はいつも、塩気の効いたスープと、パン切れ一つのみ。
クロード本人も、いい加減嫌気が差していた。
店を出て国の兵隊として働こう、と思った時もあったが、体の具合の良くない親を放ってはおけなかった。
「はぁ~……」
先行きの見えない生活のことを考えると、思わずため息が出る。
「……ちょっと待ってろ」
「……?」
突然、父親が立ち上がり、奧の自室へと入って行った。
しばらくして戻って来た父親の手には、鞘に入れられた剣が握られていた。
「剣?」
「俺が冒険者をやってた頃のお下がりだ。 あと、こいつを受け取れ」
ズシャ、と拳大の皮袋が、クロードの目の前に放られた。
中身は、銀貨10枚である。
「何だよ、この金……」
「この店はこのままじゃ潰れちまう。 だから、5つの名高い宝石を見つけて来るんだ」
「5つの、宝石?」
父親の口から語られたのは、この世界に点在する、伝説の宝石の話であった。
一つは、森のコロボックルが所有する、グリーンパール。
迷いの森のどこかに、コロボックルの住む都がある。
一つは、とある湖の底に眠る、ブルースフィア。
しかし、湖には巨大な生物がいて、迂闊には近づけないとのことだ。
更に、レッドストーン、イエローサファイア、ブラックダイヤモンドがあるとされるが、その内の2つは、何者かによって既に取られた、とのことだ。
「活火山のレッドストーンを手に入れた男は、それを売って巨万の富を得たらしい。 ブラックダイヤモンドも噂では誰かに取られちまったって話だ」
「イエローサファイアは?」
「……イエローサファイアの在処は、聞くだけ無駄だ」
「……何でだよ」
父親は、意地の悪い笑みを浮かべ、こう言った。
「空に浮かぶ城に、あるらしい