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未知なる世界の歩み方  作者: 月見幻
3/6

先の景色

 今作初のブクマありがとうございます(*´▽`*)

 街道は石畳で作られていた。

 大きさの違う石が組合わさった平らな道が一方は森へ。そしてもう一方は平地が続き、その奥にある小高い丘を迂回しながら続いているのか先が見えない。


「どっちに進むの?」

「そうだな……」


 左右の道を見比べながら考える。ここでどちらに進むかによって、今後に大きく関わるといっても過言ではないだろう。

 森に行くか? だが熊や猪のように、人を襲う生き物がいるかもしれない。しかもその先は山へと続いている様にも見える。

 ならば平地だろうか? けれど、その奥は緩い上り坂と小高い丘のせいで先が見えない。先が見えない? そうだ。何も街道を正直に歩く必要もないか。それに、確認してからでも遅くはない。


「平地の方へ行こう。一旦街道を外れてあの丘を登ってみたら、もしかしたら何か見えるかもしれない。それに、森の方より見晴らしが良くて安全だろう」

「そうね。そうしましょう」


 歩き出すと、再び先程と同じ違和感……。足が軽い。軽いというか、疲れないというか。それと、こんなにも日が照っているのに汗が出てこない。風が吹いて涼しいのもあるが……それでも変な感じだ。


「どうかしたの?」


 その違和感が顔に出ていたのだろうか。サクラが心配そうに、俺の顔を覗き込んでくる。


「慣れない環境だからか、少し違和感があるだけだよ。その内慣れてくると思う」

「それなら安心だけど」


 確かに違和感はあるが、歩けないわけでも体調が悪いわけでもない。その内気にならなくなるだろう。


「――よし、それじゃあ丘を登ってみるか」


 十数分ほど歩くと、目的だった丘の下まで着いた。どうやら街道は、この丘を右へ迂回して続いているようだ。

 サクラは飛ぶのが疲れたのか、今は俺の肩に座っている。

 最初に見たときはそこまで高くはないと思ったが、近くで見る丘はそこそこ傾斜がある。だが、登れないわけではない。

 足の違和感にも慣れ始め、地を軽く蹴りながら苦もなく丘を登っていく。


「もうすぐ上まで着きそうね」

「あ、ずるいぞ」


 あと少しで頂上といったところで、俺の肩に止まっていたサクラが我先に飛ぶ。

 負けじと俺も走るが、あと一歩の差で負けてしまった。


「いっちばーん。わぁ……」

「おぉ……どうやら当たりだったみたいだな」


 小高い丘からは、遠目でも分かるほどに大きな街が見えた。

 馬車の様なものや人の様に見える生き物が、街を囲う大きな城壁に備わった門の前でちょっとした列を作っている。あそこが出入口だろうか。

 地球ほど文明は発達していないように見えるが、何があるかは分からない。もし敵対的であれば、何も防御手段を持たない俺はどうなるだろうか。一応運動は得意でいくつか稽古も習っていたが、流石に素手では無理があるだろう。


「タクヤ、早く行こうよ」


 いつの間にかサクラが俺の袖を引っ張り、早く行こうと促してくる。

 あまり警戒心はないのだろうか。


「そうだな。だけどあの街が友好的とは限らない。そもそも日本語が通じるかどうかも。もし不味いことになりそうなら、すぐに逃げるぞ」

「そうね。でも私はいざとなったら飛べばいいし、他にも逃げる手段はあるから大丈夫!」

「それならいいんだが……」


 若干の不安が残るが、本人が大丈夫と言うのであれば大丈夫なのだろう。それに、サクラは飛べても俺は飛べない。逃げることに関して心配するべきなのは、むしろ俺自身か。


「よし。もし逃げる状況になるかその途中ではぐれる様なことがあれば、ここに集まろう。その時の事はその時に考えればいいさ」

「はーい」


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