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昨日、仕事を辞めた。
パソコンで使うプログラムを延々と作る物だった。
1日中薄暗い部屋の中でパソコンのモニターにずっと向かっていると頭がおかしくなりそうだった。
3年もすれば使われなくなるようなソフトを作るのは、誰かの役に立てたのだろうかと疑問に思う。
この仕事の同業者は自殺する人が多いと聞く。
多分、仕事を辞めるという選択肢は無かったのだろう。
薄暗い部屋でモニターにずっと向かう生活を延々と続けていたら、きっとそうなってしまうのだろう。
僕もそうなりそうだったが、なんとか踏みとどまる事が出来た。
少し遅かったら自殺してたんじゃないかと思う。
自殺する勇気が無い僕が言っても説得力は無いけど、それくらい厳しい仕事だったと思う。
就職活動をしないといけないが、仕事の反動のせいかなにもやる気が起きなかった。
1日中布団の中にいて、なにもしない毎日が続いた。
どうでもいいようなことを考えて、眠くなったら寝て、時々シャワーを浴びる。
最低限必要な物を買う時以外は外に出ることは無かった。
幸い貯金はしていたから、1年くらいはなにもしなくても生活出来るようなお金は持っていた。
だから、僕は1年間なにもしない時間を作ってみようと思う。
普通の人から見たらやる気が無い奴だと思うかもしれない。
でも1度はやってみたかったことだ。
お金のために働く時間を、自分のための時間に費やせると、色々とやりたいことも見つかるかもしれないし、きっと良い方向に向かうかもしれない。
自分の価値観が大きく変わるかもしれない。
そういうことを信じて、僕は家に引き篭ることを決意した。




