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1.水の精霊の導き⑥

それから、日も傾き始めた頃にダイは意識を取り戻した。

目を開けると心配そうな表情のウンディアーナの姿があった。

ダイが意識を取り戻したことを確認すると安心した表情を浮かべ、

「気分はいかがですか?

 父とブルーノも心配していましたので、

ダイ様が目を覚まされたことを伝えてまいりますね。

まだ、安静にしておいてください」

そう言うと、ウンディアーナは部屋を出て行った。

一人になり、ダイは自分が今おかれている状況について考えた。

やはり大き過ぎる力と自分がこの世界に与える影響に対する不安が付きまとい、

正直逃げてしまいたくなる衝動に駆られた。

夢ならば今すぐ覚めて欲しいと思った。

しかし、実際にこれが現実であることを覆すことなどできるはずもなく、

水竜に接した感触、目の前に広がった水の竜巻のリアルさが

自分の置かれた状況を実感させた。

しかし、その不安を何とか振り払おうと、頭を左右に振った時、

「具合はいかがですか?」

と、ブローウとブルーノが飛び込んできた。

ダイは体を起こし、答えた。

「もう、大丈夫だと思います。

 正直、何が起こったのかよくわかっていないのですが……」

 それを聞いたブーロウは少し安心した表情を浮かべた。

 そして、ダイに向かって頭を下げて言った。

「そなたのおかげで、フロウ国の兵は退却したようだ。

 礼を言おう。それにしても、ダイ殿の魔力の源が水竜だとは……」

「魔力の源?」

ダイの疑問に対して、ウンディアーナが答えた。

「魔力は個々の中に源となるモノが宿っています。

 その力を利用して魔法を使うことができるのです。

 源の大きさや種類に応じて、使える魔法や強さが決まると言われています」

「そうだ、ウンディアーナはこう見えても我が国でもトップクラスの魔道士だ。

 魔法についてはこの娘に聞けば大抵ことはわかるだろう。

 それにしても、ダイ殿のおかげで、この国は救われた。

 救世主としてずっとこの国に居て頂きたいのだが、どうだろうか?」

「ありがたいお言葉ではありますが、私はこの世界のモノではありませんし、

 自分のもといた世界へと戻らなければなりません。

 申し訳ありませんが……。

 ただ、この世界での生活をしていかねばなりませんので、

 いろいろとご教授頂いてからの出発となると思います。

 どのくらいになるかはわかりませんが

 しばらくお世話になりたいと思っています。

 誠に勝手な申し出であることはわかっておりますが、

 よろしくお願いします」

「そうか……、仕方がない。ダイ殿の考えがあるのであろう。

 そなたの申し出は了解した。いつまでもここに居てもらって結構!

 必要なことがあればブルーノに言えばよい」

「私の我儘を聞き入れて下さり、ありがとうございます」

「では、ゆっくりとして下され……」

このやり取り後、3人は部屋を後にした。


それから数日間、ダイはブルーノに剣の稽古を行ったり、

ウンディアーナに簡単な魔法を教わったりして

この世界での生きていく術を学んでいった。

剣術に関しては、ブルーノも舌を巻くほど上達していた。

その姿を見たブローウ王は出発の前日にダイを呼び出した。

そして、よほどダイを手放すのが惜しいのか、

「なんとかこの城に留まって、

 ブルーノとともにこの国の発展に努めて貰えないだろうか…。

 ダイ殿の力をもってすればこの世界を収めることも……」

すべてを聞き終わる前に、不穏な雰囲気を感じたダイは、

「申し訳ありません。

 私がこの国に留まるのはこの世界のためにもよろしくないかと思いますので……。

 馬や剣など用意して頂き、とても感謝しております」

「そなたの意思がそこまで決まっているのならば、仕方がない。

 では、この許可証を持って行くがよい。何かの役に立つであろう」

「何から何まで、ありがとうございます。この御恩は決して忘れません」

そして出発の時、ダイは用意された黒い馬に跨り、

ブローウ王をはじめ大勢の兵士たちに見送られて、旅立とうとしていた。

ブルーノが、

「我が国の救世主、ダイ殿に敬礼!」

全ての兵士がダイに一礼し、それを見たダイは深々と頭を下げ、

「色々とお世話になりました。

 また、きっと立ち寄らせていただきますので、皆さんお元気で!」

その言葉を聞いたウンディアーナは、

「ぜひ、またお立ち寄りください。私も父もお待ちしております……」

「ありがとうございます。

 これ以上は、別れが辛くなりますので出発します。

 本当にお世話になりました」

そう言うと、ダイは一気に馬を走らせた。

やっと一章が終わりました。

次章からは、他の精霊などなどが出てきます。

今晩、更新できるといいのですが…。

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