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1.水の精霊の導き②

馬に乗せられたダイは風を感じる間もなく、とある城の前に到着した。

その城は群青色の屋根と真っ白な壁で統一されていた。

また、城の周辺は水で満たされているような、

まさに水の国というのが相応しい壮大な景観であった。

その城をダイは茫然とした表情で見上げていると、

無理やり馬から下ろされた。

ダイはこの展開の速さについていけず、

放心状態で巨大な城門の前で尻もちをついていていた。

「ダイ殿!行きますよ。王がお待ちです」

と、ブルーノが後方から声をかけてきた。

ダイはビクッと反応し、

「はい」

そう答えるのが精一杯だった。

その後、ブルーノに連れられて、

ダイは蒼い絨毯で覆われた広間へと導かれた。

その中央にある王座にはブローウ3世が仁王立ちで待っていた。

そして王を挟むようにして従者らしき男女や兵士らしき男性が並んでいた。

彼らによりできた王座までの道を通りぬけると、

「よくきてくれた。まずは礼を言おう」

ダイが戸惑っていると、ブローウが突然声をかけてきた。

ダイは緊張した面持ちで立ちすくみ、

何も言葉を発する事が出来ずにいると、更に声をかけ続けた。

「そんなに緊張しなくてもよい。

 そなたは、ワシの従者ではなく客人として招いているのだ」

「わかりました。それで、私に聞きたいことというのは何でしょうか?」

 ダイの問いかけに対して、ブーロウ王は何も答えずに頷くだけだった。

 さらに、周りの従者達に対して、

「ダイ殿とブルーノを残して、全員席をはずせ。

 3人だけで話がしたい。わかったな」

ブローウがそう言うと、ブルーノとダイの3人だけとなった。

すると、先ほどより少し柔らかい表情で、

ダイの目をじっと見ながら、話始めた。

「すまない。この国に取っても重要なことであるため、

 3人だけで話をしたかったのだ。

 これで落ち着いて話ができる。

 それでは、ダイ殿に質問をさせて頂こう。

 まず、そなたは一体どこからやってきたのだ?」

ブローウの質問にダイは答えた。

「正直な所、ここがどこなのかがまだわかりません。

 しかし、おそらくここは私のいた世界とは別の世界だと思います」

「そうか…、そなたのいた世界はそなたのような種族が多く存在しておるのか?」

「そうです。人間ばかりですよ。

 むしろ人間以外に言葉を話す生物を見たことがありません。」

「むぅ…。ブルーノ、そなたはどう思う?」

と、ブローウはブルーノに問いかけた。

すると、

「これは私の勝手な考えなのですが、このダイ殿との出会いは、

 精霊予言書が関係あるのではないでしょうか?」

「そうか! 確かに……。ダイ殿、そなたは自分がこの世界に現れた事をどう思う?」

「そうですね…。今の話から考えると偶然とは思えませんし、

 何か意味があると思います。ところで、その精霊預言書とは?」

「やはり、そなたもそう思うか…。

 ワシがそなたを招いたのも何か運命的なものを感じたからなのだ。

 この国には先祖から代々受け継がれている『精霊予言書』があり、

 その時代に起こる出来事を精霊様が予言されているのだ。

 その中に

 『世界が混沌に陥りしとき、

  精霊の意思を受けし異形なるもの共現れ、

 世界を真なる方向へと導かん。』

 と記述されておる。

 ダイ殿にも何かと都合があるだろうが。

 しばらくこの城に留まってもらえないだろうか?

 無理を承知でお願いする。

 どうしてもワシにはそなたとの出会いが偶然とは思えんのだ。

 この国の抱える問題も解決できるかもしれぬ」

ブローウがそう言うとブルーノが続けた。

「私からもお願いします。

 最近、わが国で不振な動きというか、隣国が怪しい動きをしており、

 何かが起こりそうな、気がしてならないのです」

「いえ、自分なんて何の役に立てるのか分かりませんが……。

 確かにその予言は自分の事を言っているような気はします……」

「まぁ、よい。結論は慌てることはない。

 そなたも今日はこの城に留まるのがよかろう。

 そなたのために部屋も用意してある。

 ゆっくり休んで今後のことを考えるがよい」

「ありがとうございます。お心遣い感謝致します」

「では、部屋の方に案内させよう。

 ゆっくり休んでくれ。ブルーノ後は頼んだぞ」

 ブーロウはそう言うと、立ち上がり奥へと消えて行った。

 それを見届けたブルーノは、立ち上がりながらダイの肩に触れ、

「御意。では、ダイ殿、お部屋に案内させていただきます」

とダイを促した。

そして、城の内部を一通り案内され、最後に大きな扉の前で、

「ここがダイ殿の部屋です。

 何か必要な物などありましたら、

 隣の部屋に待機しているものに申しつけください。

 では、ごゆっくりしてください」

それだけを言うと、さっと立ち去っていった。

もう少し説明回が続きます。

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