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6.新たなメンバー

「五万円で生き返る?どうやって生き返るんだよ」


 ゾンビの彷徨う街のど真ん中で突如現れた謎のスマホについて調べている最中だ。

 ナイフのときも驚いたが、スマホの中から人がうにょうにょ出てくるのか?どういう原理だよ。

 俺が考えても埒が明かないため、スマホをポケットにしまい生存者を探した。


「ほーんと、誰もいねえな」


 歩くこと数分、ショッピングモールが見えた。

 入口は車で固められており、中の様子がわからない。


「ショッピングモールっていうと何個も入口があるな」


 この入口以外にも何個か別ルートで入ることができるため、歩いて探すことにした。


「おいおい、また車かよ」


 全ての入口を探したが全て車によって妨げられている。どうやら入れそうにない。


「あっ。地下があるな」


 まだ探していないところがあったことに気付き、地下へ向かった。

 入口探しをしているときも生存者はいないか探し回ったがどうやらいないようだ。どこに隠れているのだろうか。


「おいおい、今度は地震か何かによって瓦礫の山かよ。車よりタチわりい」


 入れないことを確認し、ショッピングモールは諦めた。きっと多くの生存者がこの中にいるだろう。だが、こうも考えられる。

 もしも、この閉鎖空間で感染者が一人でもいたら?噛まれる前に殺せばどうってことはないだろう。でも、もし感染者が増えていた場合、逃げ道何て限られている。


「ゾンビって階段とか昇れるのかな?」


 素朴な疑問を洩らす。ゾンビ情報掲示板で載っていないかとネットを見る。

 階段を昇るゾンビは今のところ発見されていないとのことである。

 だが、階段を降りるゾンビは存在するらしい。もっとも、降りるというか落ちるというニュアンスのほうが正しいらしいが。


「・・・・・・ゾンビってけっこう可愛いな」


 よく探してみると面白い情報がたくさん載っている。

 どうでもいい情報が大半を占めてはいるが。

 ショッピングモールに入ることを諦めた俺はどこかに向かって歩いていた。

 周りをきょろきょろしながら生存者探しもしていたが見つからなかった。


「本当、どこにもいねえよな」


「キャァァァァ」


 言った瞬間、悲鳴が聞こえた。その声はかわいらしい声であった。


「すぐそこか」


 マンションの前に女性がいる。今にも噛まれてしまいそうだ。


「待ってろっ!」


 全速力で走る。おもむろにナイフを取り出し、ゾンビを殺した。

 返り血を浴び、血が口の中に入る。


「・・・・・・くっせえ」


 殺すことに抵抗もなくなり、血に対しての抵抗もなくなってきたが、血が口に入るというのは慣れるものではない。まず、他人の血を自分に取り入れる行為自体が良くない。


「あの・・・・・その・・・・・・ありがとうございます!」


 深々とお辞儀をする。顔を上げると可愛らしい端正な顔があった。

 

「えーっと、大丈夫かな?」


「はい、大丈夫です!」


 つい先ほどまで襲われていたというのに、自分を保っている。強い子だ。


「えーっと、名前聞いてもいいかな?」


「はい。加賀恵です!」


「えー、歳は?」


「十六歳です」


 事情聴取のように淡々と質問していくが、どれも嫌な顔をせずに教えてくれている。それに、俺と同い年のようだ。


「えっと、彼氏は?」


「・・・・・・いないです」


「!!」


 彼氏はいないみたいだ!俺チャンス!?


「俺は田中悠斗、十六歳だ」


 俺が自己紹介をすると、目を輝かせ前のめりになった。


「同い年なんですか!?とてもそうは見えませんでした」


「え・・・・・・それって俺が老けて見えたってこと・・・・・・?」


 え、なにそれひどくない?俺ってそんな老けてるの?最近過労だったからシワとかできたかも・・・・・・悲しい。

 


「いえ、大人びていて格好いいと思いました。その、本当格好良かったです・・・・・」


 顔を俯かせなにやらボソボソと言っている。

 大人びていて格好いいと聞き、内心すごくホッとし、これからについて考えた。

 正直なところ加賀恵は可愛い。学校トップ3の3人よりも可愛い。

 恵の体を見る。出るとこは出ていて、きゅっとしまっている。顔はとても可愛らしく、立ち居振る舞いも良い。いいとこで育てられたんだなと思う。


「あの、恵さん」


「恵でいいですよ」


「あ、うん。俺のことは、ゆうって呼んでくれていいよ」


「ゆうとさんと呼びますね!」


「あ、はい」


 一気に親密度がアップした気がした。このままラブコメ展開突入か!?と期待したが、ここは二次元ではない。三次元である。ただ助けただけでそんなイベントが発生したら俺はもう何百という彼女ができちゃうよ。


「ゆうとさん、これからどこ向かうのですか?」


「あ、うん。まだ決まってないんだけどね、恵も一緒に来る?」


「あ、はい!行きます、行きたいです!」


 とても真っ直ぐで、俺なんかではとても出来そうもない良い返事だった。

 目をキラキラと輝かせ、それは、まだ外に出たこともない猫を思い浮かばせた。

 

「楽しみか?」


 俺の質問に恵は一呼吸おいてから楽しそうに言った。


「はい、楽しみです!」


 俺に新たなメンバーが加わった。容姿は完璧だ。いつかこんな子と付き合えたらいいな、なんて思ったがあり得るはずがない。まずは恵の安全を確保しようと一緒に、場所を探しに出かけた。

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