~第十一章~
「何故、貴方がこんな処にいらっしゃるんですか?」
「お前が怪我したって聞いたから。お前が心配だったんだ!」
「貴方という方は……。何時も申し上げているでしょう! 一臣下の事を一々気にかけていたら貴方のお身体がもちません。私の事など、捨て置いて下されば良かったものを……」
「お前はっ! 何時もどうしてそんな事ばっかり言うんだ! 臣下の心配をして何が悪い!? それに俺は、お前の事を一臣下だなんて思ってないって言っただろ! 何の為に俺がお前を側近から外したと思ってるんだ!」
勢いに任せてそう言った瞬間、シェルは“しまった!”と思った。
だが、もう遅い。
(私を側近から外した理由? やはり貴方は、私にシューレンベルグを継がせる為に側近から外したのではなく、側近から外す事が目的だったんですね)
「何故ですか? 何故、貴方は私をっ!?」
「そ、それは……」
「シェルタイト様っ!」
思わず起き上がろうとしたセラフィナイトをシェルは止めようとした。
「寝てなきゃダメだ!」
「大丈夫です。それより、何故なんですか?」
「…………」
シェルはクローゼットにあったガウンをセラフィナイトに羽織らせながら
「お前を護りたかったからだ」
意を決したようにそう答えた。
「私を、護る?」
「そうだ。お前のこんな姿を見たくなかった。お前が傷つくのが嫌だったんだ! ……なのに、何でこんな事になる!?」
「シェルタイト様?」
「お前は何時も冷静で的確な状況判断の出来る奴だから、無理な事は決してしない。でも、俺の事となると話は別だ。お前は何時だって無茶をするから。だから俺の傍には居ない方がいいって! 俺だって本当はお前に傍に居てほしかったんだ!」
「何を仰ってるんですか? それでは本末転倒です。私は貴方を護る為にお傍に居たのですよ。臣下が傷つくのが嫌だから……等という理由で一々遠ざけていたら、誰が貴方をお護りするんです?」
「そんな事は分かってる!」
「俺は、このシューレンベルグと爵位を授ける事を、お前は喜んでくれると思ってた。けど、お前は爵位なんか欲しくないって! 俺の傍に居たいって、俺を愛してるって言ってくれた。俺は本当は嬉しかったんだ。だけど……だからこそ余計に、お前を傍に置く訳にはいかなかった」
「シェルタイト様……?」
「お前に嫌われても仕方ないって。お前を護る為には、お前の心を失う事になっても構わないってそう思ってた。でも、実際にそうなったら辛くて。まるでこの世界に自分一人しか居ないみたいに淋しくて……」
(それで気づいた。多分、俺は……)
「俺は勝手に信じてたんだ。お前だけはどんな事があっても、どんなに離れてても、ずっと俺の事を想っててくれるんだって。お前は何時も、俺の傍に居てくれたから。居てくれるのが当たり前だったから。……だから、気づかなかった。俺はお前を“臣下”だなんて思ってない。多分、俺はずっと前からお前の事が好きだったんだ」
「……っ!!?」
「俺はお前を護りたい! 誰よりもお前が大切なんだ!! セラフィナイトっ!!」
シェルくん告白タイムです。
この子は追い詰められないと本音を言わないので大変です。
王としてのこの子は兎も角、素に戻ると子供の頃のトラウマもあって、この子は自分に自信がないんですよね。
自分の傍に居る事がセラフィナイトにとって一番幸せなんだとは到底思えない。
自分から離す事を考えちゃう。
だから、この子自身に「セラフィナイトはどんなに大変でも、あんたの傍に居るのが一番幸せなんだよ!」というのを気づかせる為に、かなりセラフィナイトには心身共にボロボロになってもらいました。
でも、その方が結ばれた時は幸せですよね。
……なんて言い訳してみる。←




