邪魔者
狩りから帰ってきたバジルは、捕らえた獲物を置き、外を用心深く見て入口の扉を閉めた。
「昨日の疲れは取れたかな?まぁ、そのまま座っててくれ。」
バジルはそういうと、狩りに使う道具をしまい始めた。
おっさんは、魔法使いであり狩人かよ。
てか、狩ってきた動物まったく見たことない。
ウサギに見えるが翼がある。まったく奇妙な動物だな。
バジルは食卓の椅子に座ると、少女に食事の用意を頼んだ。
「さてと、まずは私の名を申しないとな。私はバジルだ。で、そこにいるのがセシルだ。」
少女の名前はセシルっていうのか。
なんか照れくさそうにしている。可愛いな。
俺も自己紹介しておくか。
自己紹介が終えセシルのほうをちらちら見ていたら、バジルが咳払いをした。
「ゴホン。それでどこの国から来たのか聞いてもいいか?」
とりあえず日本って言うしかないだろうな。
「ニホン?聞いたことがない。遠い海の向こうの国なんだろうか。」
えぇ。ずっとずっと遥か遠い国ではなく別世界だけどね。
とりあえず、おっさんは何で俺を助けたんだ?
「私が街にいるときに、君が奴隷馬車から下ろされるのを偶然にも見たのだ。服装が今まで見たことがなかったからね」
あらら、見られてたんだね。てか、一緒に居たじいさんは助けなかったの?まぁどうでもいいか。
それで、物珍しいから俺を助けたのか?
「いや、昔に君に似た…」
バジルが話をしようとしたとき、突然、家が小さく揺れ始めた。
「これは……まずい!ここの居場所がばれた!セシル!急いで魔方陣の用意を!」
「はい!バジル様!」
セシルは杖みたいな小さな棒で、手際よく床に何かを書き始めた。バジルはこれから来るであろう者に身構えていた。
え!?てか、何が起きてるの?
家が揺れてるんだけど!これから何が起きるの!?。おっさん何か答えてくれよ!
揺れが大きくになるにつれ、床に黒い渦が現れた。
おっさん!床に何か黒いの出てきたよ!
何か今にも、宇宙に飲み込まれそうだけど!
おっさん固まってないで、なんかやれよ!
考える暇もなく、黒い渦から黒装束の人達が現れた。俺とバジルは様子を伺っていると、黒装束達は大きく両手を天井に広げた。
すると、両手から黒い霧が噴出され、視界を瞬く間に遮られた。
真っ暗で何も見えないぞ!おっさん!セシル!
くそ!身動きが取れない。どうなってるんだ。
暗闇で身動きが取れなくなっていると、家が壊れる音がして突然、何かに体中が強く締め付けられた。
まるで、巨大な蛇に巻き付かれてる感じだ。
必死に振りほどこうとしても、無駄だった。
締め付けられて息が苦しい。
なんなんだよこれ…。
すると、体が宙に浮く感じがして暗闇から抜けだせた。
外は眩しく、どこかの岩壁にいる錯覚をした。
よく見ると、巨大な体が目の前にあった。
俺は宙に浮いてると思ってたら、巨大な手の中にいた。
俺は…巨人に掴まれていた…。