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金髪のお話

全く、今日は無駄な時間を過ごしてしまった。

 何が『桃園の誓い』か。民を救うために立ち上がった劉備三兄弟に腹を切って侘びるべきである。全く、一体なにを救おうとして何に誓ったのだ、我らは。

 否、腐敗臭のする臭いの帯を固く結び合うことをありがた迷惑にも後一週間も生命が保持されぬであろう桜の花弁に押し付けただけではないか。

 これから花見を目的にあそこへ行く人々は数知れず、つまり我らがあの桜に固く結んだ腐敗臭を嗅ぐ人も数知れず、酒も食料も、更に人と人とを結ぶ縁もいつの間にかに腐ってしまうことであろう。

「否、四六時中蔦つたのように絡まりあっているような男女であれば、雑草は刈り取るが如く腐り落ちてしまうが良い」

 私は一人物騒なことを呟きつつ、家まで歩を進めた。



「・・・・・なんだこれは」

私が家に付くと、そこには残虐的且つ悲惨的な動機が見られる景色が広がっていた。なんと、水彩絵の具がそこらじゅうにぶちまけられ、私の家具やら何やらを染めていた。

「しかし!」

 酔っているとはいえ、それを美しい光景であると感じてしまう私が悲しかった。

「誰だ?ちゃんと鍵は閉めていたはず。」

 貴重品は盗られてはいないところを見ると、どうやら犯人は愉快犯らしい。

 『桃園の誓い』を馬鹿にしたことへの天誅だとすれば、この光景がどれほど素晴らしく感じようとも、私は釘バットを作成して犯人のもとへと向かうであろう。

「しかし、この綺麗さは芸術にすら感じる。どうやら犯人は私と美的感覚が合うらしい」

 掃除するのは面倒だし、いっそこのままの状態で一年ほど過ごすのも悪くは無い。

「まぁ掃除はするが、しかし明日の朝まではこの芸術を消す事はやめておこう。」

 私は一つ大きな欠伸をし、幻想的な色の床で横になった。

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