ほんのいたずら心
「お、気がついた?大丈夫なら教室戻っていいぞ。」
保健室の安藤こかげ先生、通称あんこ先生はが言う。相変わらず適当だな。
教室に戻りながらあのメッセージを探す。
ない。
おかしい。今11時ということは軽く30分はすぎている。それでいて、通知がない?もしや、、
――ピコン。
考えた直後に鳴るから、心臓に悪い。
恐る恐る画面を見る。
《10秒後、階段で転びそうになる》
……「そうになる」。 転ぶ、じゃない。それに10秒って、、
俺は目の前の階段を見つめる。
教室に戻るには、必ず階段を使わねばならない。
無視すれば、たぶん当たる。
でも。
ほんのいたずら心。今回は、避けてみることにした。
回れ右をし、怪我人用のエレベーターの方へ向かう。
普段は使わないから、少し変な感じがした。
時間をずらして、ゆっくり移動する。それでも階段から逃げようと早足になる。
何も起きない。
教室に着いたとき、俺は自分の足元を見下ろした。
転んでいない。
「転びそうに」もなっていない。
胸の奥で、何かが確かに動いた。
……避けられた。
その瞬間、スマホが震えた。
《未来が変わりました。次の予知は29分52秒後。》
さっきまでの優越感が一気に冷え、背中に冷たいものが走る。
偶然じゃない。
気のせいでもない。
俺は、これから起きることを、知ってしまっている。
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