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24/202

トラウマ再び?

前回のあらすじ:学園に戻ってきたアレスはクラスメイトのマグナ、メアリー、アリアの3人と次なるダンジョン、メーヴァレア遺跡へ行くことになった

バスカウェール山脈から帰還したアレスが平穏な学生生活を送っていたある日。

クラスメイトのマグナ達から四級ダンジョンのメーヴァレア遺跡へ一緒に素材回収へ行ってくれないかとお願いされたのだった。


「別に構わないけど。人数は足りてるんだし、その3人だと何か不都合があるのか?」

「不都合って程じゃないんだけど、私たちはまだ五級ダンジョンにしか行ったことがないから、四級ダンジョンにたくさん行ってる2人に一緒に来て貰いたかったの」

「そういうことか。それなら喜んで協力するぜ」

「はい。僕も行きますよ」

「あん?ジョージ、お前は忙しいからって俺の誘いを断ったじゃねえか」

「アレスさんの話とは事情が違うじゃないですか。クラスメイトが困っているなら行かない訳にはいきませんよ」

「無理しなくてもいいですよジョージさん。あくまで四級ダンジョン経験者がいてくれると心強いというだけのことですので」

「そうですか?それではアレスさんにお任せしてしまいましょうか」

「おう。任しとけ。もういつ行くか決まってんの?」

「今週末行こうぜって話になってんだ。メアリーが早い方がいいって言うからよ」

「こういう課題って後回しにしたくない性格なのよね。アレス君はそれでもいい?」

「OK。んじゃあサクッと行って素材を回収して帰ってきますか」

「さすがアレス君♡四級ダンジョンでもその余裕っぷり!カッコいい♡」

「だぁーー!!お前はいちいちくっついてくんなよー!」


こうして用事で忙しいジョージは学園に残り、アレスがマグナ達3人のダンジョン攻略へ付き添うこととなったのだ。



そして時は流れ、アレスたちのメーヴァレア遺跡探索の日が訪れた。

ハズヴァルド学園から少し距離があるメーヴァレア遺跡へ行くために、アレスたちは申請を出して前日から最寄りの村へ移動していた。

メーヴァレア遺跡は200年以上も前に発見された遺跡であり、発見当初はかつての王が他国からの侵略を防ぐために張り巡らせた罠が多く残されていたことで二級ダンジョンに指定されていた。

しかし長年にわたる遺跡の調査や探索で罠の大半は解除され、さらに60年前の最深部調査にて遺跡内の罠を管理する機構が発見されたことでメーヴァレア遺跡は全ての罠が停止状態となり安全に探索できるようになっていた。

そのため今のメーヴァレア遺跡は罠もなく危険な魔物も出現せず、内部が広大過ぎるという理由を考慮して四級ダンジョンに格下げされていたのだ。


「くあぁ~、暑かった。遺跡に来ただけでもうへとへとだぜ」

「情けねえなマグナ。ダンジョンで油断すると怪我じゃ済まないかもだぞ」

「そうだね。でもアレスさんが一緒に来てくれてとても心強いです」

「うん♡アレス君、何かあったら私を守ってね♡」

「暑いんだからくっつくなお前!」


そんなメーヴァレア遺跡の入り口に、剣士であるアレスとマグナ、斥候のメアリー、そして光魔術師のアリアが到着していた。


「うし。最終確認すんぞ。アリア、魔力は万全だな?」

「はい」

「よし。マグナ、メアリー。松明は持ってるな?」

「おうよ!」

「当然!」

「ポーションはさっき数えたし。それじゃあ行こうか。アリア、明かりを頼む」

「分かりました。光の精よ!」


アリアが略式詠唱を唱えると眩い光を放つ球体が彼女の周囲に浮かび上がる。

その光はまだ遺跡内に踏み込んでいないこの段階でもはっきりとわかるほど眩しく辺りを照らしていた。


「うお眩し。アリア張り切り過ぎ、ちょっと光抑えて」

「すみません!しっかり照らさないとと思ってやり過ぎてしまって」

「流石光魔術師!これなら松明要らずね」

「んじゃあとっとと探索を始めようぜ!」


こうして明かりを確保したアレスたちはメーヴァレア遺跡の中に足を踏み入れていった。




「まだ下に潜るのかぁ?もう疲れて来たぜ」

「だから早いってマグナ。もっと鍛えたほうがいいんじゃねえの?」


アレスを先頭にアリアの光で周囲を照らし、4人は広大なメーヴァレア遺跡の中を進んでいた。

すでにだいぶ下に降りてきた影響か辺りはかなり涼しくなかなかに快適な環境となっている。

しかしその環境と魔物の少なさ、そして罠が動作していないという影響で探索はあまりに退屈なものだった。


「四級ダンジョンと聞いていたのでかなり身構えていましたが、ここまで驚くほど何も起きていませんね」

「まあメーヴァレア遺跡は今じゃ建物の広大さだけが特徴のダンジョンだからな。正直五級でもいいと思ってるくらいだ」

「これならアレス無しでも楽勝だったなぁ」

「マグナさん、せっかくアレスさんが一緒に来てくれたのにそんなこと言ったらだめですよ?私はアレスさんが一緒に来てくれてよかったと思っていますよ」

「そうそう!なんたってアレスはこの学園1の剣士なんだから♡マグナなんかとは安心感が違うわ」

「んだとメアリーてめぇ!俺だってやるときはちゃんとやるさ!」

「なによ!この前洞窟の中でゴブリンとばったり出くわして情けない悲鳴をあげてたのはどこの誰よ!」

「う、うるせー!アレはちょっとびっくりしただけだ!」

「ふ、2人とも!こんなところで喧嘩なんてやめようよ」

「お前らなぁ、一応ダンジョン攻略の途中なんだぞ?お喋りするのはいいがあまり気を抜きすぎるな……うおッ!?」


騒ぐマグナとメアリーの2人をアレスが窘めようとしたその時、突如前を歩いていたアレスは地面が沈み込むような感覚と共に大きくバランスを崩し転びそうになってしまったのだ。

アレスは感覚で右足を踏み出した先の床の一部が自身の重みで沈んだことを理解する。


(おいこれまさかヤバいんじゃ……)

ヒュンッ!!

「ッあああ!!」

「アレスさん!?」

「な、なにが起きたんだよ!!」


直後真横の壁に開いていた小さな穴から弓矢がアレスに向けて勢い良く放たれた。

アレスは何とか上体を反らし弓の罠を回避する。


「っぶねえ!危うく死にかけた!!」

「アレス君!一体何が……きゃ!?」

「危ないメアリーさん!!」


アレスに突如襲い掛かった災難に3人は動揺を隠しきれなかったのだが、思わず後ずさりをしてしまったメアリーがアレスと同様に罠を起動させる床のスイッチを踏んでしまったのだ。

悲鳴をあげるメアリーに、とっさにアリアは彼女を助けようと彼女を突き飛ばす。

そうして天井付近から放たれた何かがメアリーを庇ったアリアに襲い掛かったのだ。

それを見たアレスはすぐさま剣を抜きアリアを助けに入ろうとする。

しかし……


「うっ!?ガス!?」

「あ、アレスさん!」


放たれたのは先程アレスを襲った矢ではなく毒ガスだったのだ。

完全に矢を両断する気で飛び込んだアレスはその毒ガスをもろに食らってしまう。


「アレスさん大丈夫ですか!?」

「げほっ……だ、大丈夫だ。すぐに息を止めたからあんまり吸い込んじゃいねぇ……」

「凄い辛そうよ!?ほんとに大丈夫!?」

「どういうことだよアレス!さっき罠は全部止まってるって言ってたじゃねえか!」

(そうだ……メーヴァレア遺跡の罠はもう動いていないはず。だれかが再び作動させたのか?いったい何の目的で……)

「おや?先客ですかな」

「っ!?誰だ貴様!!」


毒ガスを喰らい膝をつくアレスだったのだが、その時背後の暗闇から落ち着きを纏った男の声が聞こえてきたのだ。

警戒心をあらわにしマグナ達の前に出るアレス。

コツコツと暗闇の中を誰かが歩いてくる音が少しの間響いた後、光源魔法が使用され暗闇から老人が姿を現したのだ。


「その制服は、かの有名なハズヴァルド学園のものですね。しかし未熟な。警戒を怠り罠にかかってしまうとは」

「ご説教ありがとうございます。んで、誰だお前」

(一瞬俺から剣聖のスキルを奪った老人かと思ったが……流石に違うようだな。だがこの雰囲気……苦手だな)


アレスは紳士風な老人の立ち振る舞いにかつて自身のスキルを奪った老人のことを思い出し顔をしかめた。

一見ダンジョン探索に向かないような彼の拘りがうかがえるスーツ姿に、素材をたくさん詰め込めそうな大きなバッグ。

そしてこちらがハズヴァルド学園の生徒と気付いて迂闊に近づいてこない様子から、アレスは老人の正体について辺りを付けたのだった。


「おっさん。トレジャーハンターかなにかか?」

「ご明察。私はトレジャーハンターを生業にしております、モーリス・エドワルドと申します。私の正体を知ったあなた方にはここで死んでいただきます」

「自分から名乗ったんだろうが。ふざけんなよ」

「はっはっはっ。そうですな、これは失礼。ですが私の姿を見た時点で生きて帰す選択肢は私にはないのです」


モーリスはそう言うと炎魔法を構え戦闘態勢に入った。

その立ち姿に隙はなく、アレスは熟練の老兵の威圧感に緊張感を高めていた。

また1つ神ゲーを実況者さんの動画で初見を終えてしまった。今の時代こういうのもゲームとの関わり方の一つの形だとは思うんですけど、私は何か違うなって気になってしまう

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