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牛名物語  作者: Victoria るぅ
ゴミ屋敷
7/30

茶の間

とりあえず、大広間は

洗濯物を仕舞えるようになっので

後回しにする


主人の部屋(隠居)にあった荷物や元々積み上げられていたダンボールなど、まだまだ、壁が見えないくらいあるし、

とりあえず、畳の上に落ちていた汚れた洗濯物やレジ袋、ゴミ、瓶、本などなど、拾って捨てたので

通路はできた


大広間はここまでとし

日常よく使う、食事したり、テレビ観たりしたりして、一番長く過ごす茶の間兼、応接間を先に

片付けることにした


そこへ郵便屋さんが代引き商品を持ってきた

主人は急いで財布を持ってきて、お金を支払い

商品を受け取った


そこで、私は目をむいた!

(それ、私の財布じゃない?)

[そうよ、薫のカバンの中にあったけん、とってきた]

全く悪びれず、当たり前のように言う

(なんで?)

[そこにあったけん]

ちゃんと私達の部屋の私達専用の食器棚の中に

バッグを入れて、その中に財布をしまっていたのに!


(お金は返してくれるんよね?)

[なんで?俺が使ったものを返さないかんの?]


(でも、それは、私のお金でしょう)

[薫のお金って、細かいなぁー!]


(それは、私が結婚する時に持ってきたお金で

生活費も預かっているわけでも、

小遣いをもらっているわけでもないのに、

財布一緒って、おかしくない?

じゃあ、私もお金がいる時は、幸ちゃんの財布から

勝手にとっていいの?)

[わかったわい!返さい!ほんと、細かいなー!

飯食わせてやっとるんやけん、ええやないか!]


[じゃあ、2180円やけん、2000円でええな!]

そう言って、お金をこたつの上に投げつけた

あまりの事に、びっくりして涙が出た


子供の頃から、食べ物とお金は投げてはいけないと

教えられているし

たとえ、どんなに親しくても、親兄弟でも

許可なくバックの中、まして財布は勝手に触っては

いけないと言われて育ったのに

こんな人がいるのか?と信じられなかった


前の時や、私の両親も財布は共有していたから

勝手にお金を使うことはあった

でもそれは、財布一つで、給料まるまま、嫁に渡し

そこから、振り分け、基本自分の財布を使うけど

どうしてもという時に借りて、必ず伝えて、必ず返す


でも、幸雄は、自販機のジュース一つ自分で買えといい、生命保険も、年金は勿論、ガソリンや車検代、

日常の生理用品でさえ出してくれない


いくら収入、貯金があるのか?

どんな支出があるのか?全くわからない

幸雄は電気の仕事(ラダープログラム、エンジニア、

パソコンの仕事)と農業をしている

義母の貯金、義弟の年金、我が家の収入全部

管理しているらしい


生活費は勿論、小遣いももらった事はない

幸雄がいない時は全て立て替え、レシート、領収書がなければ返してもらえない

さらに、幸雄が無駄だと思ったもの、認めないものは

全て私の貯金から支払う

財布、経済は全て別だ

お金がなければ私は何もできない


住まわせてやって、ご飯を食べさせているのだから、

感謝しろと言うのが、主人と義弟、義母の口癖だった


悔しくて悲しくて涙が止まらなかった

[はよせんと、いつまでも終わらんよ

一人でやるんか!]

冷たい言い方に納得がいかないけど

茶の間を片付け始めた


[指示してや]

結婚したけど、まだまだ主人の家だと思うのに

私が一人で片付けるの?

私の仕事なの?


二度目だから、

他に嫁ぐ所ないから、仕方ないんだけど、

涙を払う為に黙々と片付けることにした


(まずは、こたつ布団を干して)

[上も下も?]

(そう、上も下も!

こたつも、ない方がいいから、庭に出して

干しとこう!)


(次に、ゴミ拾い、ゴミ袋に大広間の時のように

分別しながら、捨ててって!)

[じゃあ、コンテナ持ってくらい!]

そう言って、幸雄がコンテナを取りに行く


私は、4畳半の茶の間の片付けを始めた

下に落ちている義母の服を持ち上げた時

べちょっと、ねちゃついた感触と、強烈なアンモニア臭が!しかも、びしょ濡れで、畳も色が変わっていた

(いやぁー!)

思わず、悲鳴のような声が出た


[どした?何?ネズミ?虫?]

(違う、これ、見て!びしょびしょ!

多分、おしっこよ)

[なんだぁー!びっくりするやろ!

お袋は尿漏れやけん、よくあるんよ!]

こんなの初めて見たよ


(でも、こんなびしょびしょなの、なんでのけないの?

畳も濡れて、腐ってしまうよ)

[ほんと、お袋はいかんなー!

これは俺が持っていかい]

そう言って、洗濯中の洗濯機に投入しようとした


(待って、それを入れたら、他のも、もう一度

最初から洗い直しになるから、

これは、後で洗うから、バケツにでも入れといて)


義母の他の服も同じかも?と、思って

びくびくしながら、回収していると

いつのものか?すでに、乾いて茶色く変色した物が

次々、出てきた


さらに

(キャー!キャー!キャー!)

服の下にゴキブリが!生きているのや死んでいるのや


(ギャー!いやぁー!キャー!キャー!キャー!)

トドメに、ネズミの屍骸が!

(もう無理!もうやだ!)

涙目になりながら、叫んでいると


[ここは、俺がすらい]

そう言って、義母の服をコンテナに入れようとする

(お願い!ネズミとゴキブリのやつは捨てて!

色も変わっているし、洗ってもキレイにならないよ)


すっごく大きなため息をついて

[わかったわい!ほんと、お袋はいかんな!]

しぶしぶ、ゴキブリとネズミの上にあった変色した

服はゴミ袋に入れた


その後、ゴミ、汚れた洗濯物、捨てる物、本、

置いとく物を仕分けしていった


次に、テレビや、お義母さんの椅子などを、他の部屋に移動し、3段ボックスを庭に出して、キレイに拭く

それから、カーテンを外して洗濯機で回していると

義弟が帰ってきて、叫びだした


【なんでカーテン洗うがぁー!

カーテンなんか洗うもんじゃないよなあー!

薫さん、頭おかしいがよー!

入院せんといかんやろー!】

そう言って、凄い剣幕で私に詰め寄ってきた


主人が

[おまえは黙っとけ!

カーテンは洗った方がいいがよ!]

【お母さん、カーテンなんか洗うもんじゃないよな】

{幸雄が洗うと言うなら逆らうな!

部屋に入っとけ!}

それって!カーテン洗うのは、幸雄が認めたから?


【薫さんがおかしいがよ!カーテンは洗わんがに、

カーテンは洗わんがに‥】

ブツブツ言いながら部屋に入っていった

(ねえ、いいの?)

[いつものことやけん、気にせんでええけん

夕方までに終わらせたいけん、やるよ]


そうして畳を掃除機かけて、水拭きして、

網戸を庭で洗って、干して、窓拭きをして、

壁も拭いて、きれいにした後


大広間の押入れにあった3段ボックスを

全て持ってきて、テレビの横に3段ボックスを4段

天井まで積み上げ、隣に2個立てて積み上げた


倒れないようにボルトで固定し、大型収納を作り

一番下に、新聞、雑誌、チラシ置き場

2段目に、本、雑誌、書籍、取説、

3段目に、お義母さんの薬、血圧計、私物

4段目に、お土産品の飾りや色々収納し

[ようなったな]と、主人が満足していた


仕上げに、洗濯したカーテンをかけて驚いた

ずっと、黒ずんだ焦茶のような?灰色のような

重厚な重いカーテンだと思っていたのが

実は、軽い、淡いパステルピンクの花柄カーテンだった


義母がお嫁に来た時に持ってきた、嫁入り道具だった

主人が45歳、と、言うことは、45年間一度も洗濯してなかったってこと?

もはや、次元が違うとしか思えない


こたつ布団って、いつのだろう?

洗濯してるのかな?

思わず、口にしてしまった

(これ、いつクリーニングにだしたの?)

[いつやろう?おふくろ、いつ?]

{そんなもん、出したことない}

(いつ買ったんですか?)

{ゆきあんちゃんが大学の時やけん、?}

(33年以上前ですね?)

{そう}

なんとなく、こたつに入ったことなかったけど

気持ち悪い!


夜、部屋に戻ってから主人に言った

(そろそろ、こたつのけたら、こたつ布団、

クリーニングに出してね)

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