救急車
ある日のこと、
私と主人が、帰ってきたら
いつもは椅子に座っているのに
茶の間に義母が寝っ転がっている
[こんなところで寝んと部屋行きさいや]
‥‥‥‥‥‥
返事がない
なんか様子がおかしいと思って
(のいて、ゆきちゃん)
(お義母さん、お義母さん、)
大きな声で声かける
息はしてるけど、動かない
脈は、76、凄く弱い
(血圧計と体温計、持ってきて)
[どこにあったかなぁ?]
(テレビのとこに置いとろ)
[あっ!]
(普段、どのくらい?)
[知らない]
(えっ?修二さんに聞いて)
[修二ー!お袋の血圧、普段どのくらい?]
{知らんで!高血圧やけん}
血圧120/70 体温36.1
マジかぁ〜!つまり、義母は自分で?
無責任な息子らやなあ?
(お義母さん、喋れますか?)
頷く
(ご飯、食べました?)
首を僅かに右に動かす
(水分は、とってますか?)
同じく、首を僅かに右に動かす
(もしかして?下痢してます?)
目を伏せて、そうと言う
(ゆきちゃん、私達の部屋の食器棚の一番下の
右の引き出しに、ポカリあるから、持ってきて)
(お義母さん、これ、飲めます?)
首を僅かに右に動かす
(ゆきちゃん、救急車、呼んで!
多分、脱水起こしとる!
お義母さん、動けんし、点滴せないかんと思う)
[えーっ?でもー?救急車は、死ぬ時に乗るんよ]
(違う!助かる為に乗るんよ)
(誰かに何か言われたら、嫁が勝手にしたと
言っていいけん!
このままじゃ、お義母さん、死ぬよ)
[わかった!救急車、呼ぶけんな!]
主人が電話してたら、義弟がやってきた
{なんで救急車なんか、呼ぶがよ!
お母さん、生きとるんよ}
もう嫌ー!なんなんだろう?この価値観!
救急車も呼べんの?
[おまえは、黙っとれ!俺が決めたんよ!
邪魔やけん、部屋に入っとれ!]
救急車が来て、隊員さんが、いろいろ処置をする
そのうち一人は主人の同級生だったらしい
『最近、多いんよ、高齢者の脱水!
助からないこともあらから、いい判断やったな!』
その言葉で主人はドヤ顔になる
[薫は看護師やったけんな]
いらんことを!現役じゃないから黙っているのに!
『救急車、誰が、乗っていきますか?』
[薫、行ってや!俺、後から車で追いかけるけん]
そうして、病院につき、点滴をしながら
一晩、様子を見ることになった
翌日の昼過ぎ、お医者様から
『血圧も高いし、ご家族がもう少し、
気をつけてあげてください
お年寄りと赤ちゃんは、急変しやすいですから、
おかしかったら、すぐに、病院に連れて来てください』
と、言われ、主人は、少し、気を悪くしていた
人に何か言われるのが嫌なんだろう
義母は、義弟がみる
義弟で駄目な時は、主人も手伝う
私は関係ないと言われてたけど
[これからは、薫も、お袋のこと、してやってや]
(いいの?修二さん、嫌がらない?)
[修二じゃ、お袋の面倒、見えてないがやけん!
また、こんなことになったら、困るやろ]
この人は、面倒みないのかな?
(来たばっかの私一人じゃあ、無理やけん
ゆきちゃんも手伝ってね)
[当然やろ]
怪しいけど、言質はとった!
とりあえず、最低限だけ、することにした
家に帰ると義弟に
[これからは、お袋のこと、薫に任せるけん]
{なんでぇー!
お母さんのことは、僕が面倒みよるがでー!}
[おまえがちゃんと見てなかったから、
こんなことに、なったがで!
一晩で、いくら、かかったと思とるがよ!]
義弟はぶつぶつ言っているが主人の言葉は絶対だ
まさか、お金の話?
お義母さんが助かったことより、治療費の話?
まさか、そんな!
聞かなかったことにする
私だって、たいして仲の良くない
むしろ、いろいろ、思うところのある
姑の面倒なんて、できるなら、遠慮したいよ
体調戻るまで、義母は、消化の良い物にし
水分をこまめにとるよう、声をかけることにした
お薬も、食後、水を用意し、目の前で飲んだ所を
確認することにした
なんか、どんどん、用事が増えていく
また一つ、不安になりながらも、
ため息しかでなかった




