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0001. 出会いには準備と努力が必要

【戦国幻獣物語】という私の別作品で閑話として書いていたものを別作品化したものです。

良かったら、こちらの作品も読んでください。

https://ncode.syosetu.com/n5020hw/


基本的に上記作品の2章(2023年12月31日)までの閑話の焼き直しで、一部言葉を変更したり、追記した作品になりますが、2024年1月1日以降はこの作品でしか投稿しない予定です。


投稿は焼き直し部分は週2回(水・日)で、新規部分から週1回(水)の予定にしています。

「里見〜、悪いが明日のポケップ社とのミーティング資料の修正、あとはよろしく頼むなぁ、ちょっと、このあと接待に行くことになったんで」

 笑いながら、課長が私に声をかけてきた。


「そんなぁ~、今日は残業出来ないって、前から言ってたじゃないですかぁ」

 相変わらずなブラック企業である私の働いている会社は、理不尽に仕事を部下に押し付けてくる。


「オレも行けないって、言ったんだけどな。部長がどうしてもって言うから、まぁ、今度、何かするから頼んだぞぉ〜。最近、多少の残業はしても、長い残業を避けて来たんだから、今日ぐらいは長く残業して、会社に貢献しろよ。ほんとに最近の若い奴らは」

 相変わらず、昭和、平成初めの古い価値観を押し付けてくる、いやっ、平成半ば以降でもそうかも。部長も課長も平成後半、終わり頃に社会人になったって言ってたから。

 長い時間働いているのが()()()()()()()()()()のだ。

 部長や課長も昭和なんて知らないのに、まぁ、うちの会社もなんだかんだで昭和からあるらしいから、そのときからの社風が引き継がれているのだろうけど。

 古くからある社風は、良いし悪くないけど、悪しき社風は、廃れてすぐに無くなって欲しい。


 今はそんなことを考えている場合じゃない。残業拒否宣言+早退宣言を伝えないと。

「あぁ~、課長、残念なお知らせですが、今日は残業すらせず、と言うか早上がりで今から帰らせていただきますので、ポケップ社とのミーティング資料の修正はお任せします。

 課長、自分で修正やらないと説明できませんよ。それと、少しはパソコンの使い方を覚えてくださいね。それじゃぁ、あとはよろしくお願いします~。お先に失礼します」

 課長と話をしながら、すでにパソコンはシャットダウンしていたのだ。私は、課長にそう一言かけると、笑顔でオフィスからサッサと出た。


「は?はぁ?はぁぁぁぁああ! ちょっ、ちょっ、ちょっと、里見、何言ってるんだ!早上がりなんて、認めるわけぇないだろぉう。まだ16時30分だぞ、戻って仕事しろ!終電ギリギリまでは仕事しろ、なんだと思ってるんだ。仕事を」

 後ろから聞こえる課長の罵声を気持ち悪いバックミュージックにして、私の心はすでに今日から始まるVRMMO一色になっていたのだ。


 私が早上がりの行動をしてまで、心待ちにしている、やりたいVRMMOは、正月に始まり、旧正月、バレンタイン、イースター、夏祭り、七夕、お盆、ハロウィン、クリスマスといろいろなイベントをごった煮で、何でも取り込んで昇華させようとする日本企業らしい、和風VRMMO【八百万の幻獣物語】というゲームだ。

 このゲーム、八百万という名前に負けないぐらい、ギリシャ神話から始まり、ローマ、北欧、ケルト、メソポタミア、エジプト、マヤ、インド、日本、中国、アメリカ、アボリジニ、東南アジアの地球規模の各地の神話とクトゥルフに代表される創作神話、鬼、天狗などの妖怪・付喪神、民族宗教などの仏様、天使・悪魔をこれでもかって、盛り込んでしまったVRMMOで、さらに最近には珍しい和風をベースにしているのだ。

 いや、ここまで盛り込んでいて、どこが和風なのだというツッコミをβテスター達も言ってたそうだが、テストが終わるころには、和風で間違いないって、評価になっていたらしい。

 それを聞いて私もPR用の動画を見たけど、和風要素のあるVRMMOにしか見えなかったので、どこが和風で間違いないって言える要素があるのか、今から探すのが楽しみなのだ。

 まぁ、最近は剣と魔法の中世ヨーロッパ風世界がVRMMOの主流だからね。そんな中での和風VRMMOを謳っているので、【八百万の幻獣物語】の注目度は非常に高く、βテストの参加応募も10数倍あったらしい。

 当然、私も応募したのだが、残念ながら落選してしまって、リリースされる今日までずっと楽しみに待っていたのだ。

 そして、なんの問題もなく、βテストも評判良く終わり、第1陣の応募が開始されたのだが、応募数はβテストを遥かにしのぎ、ゆうに100倍を超えたのだ。私も当然、1陣の応募をして見事、この難関を飛び越えたのである。

 今日の【八百万の幻獣物語】オープニングデーから参加できるのは、たった7万人。たったの7万人なのだ。最終的には、応募倍率から最低でも700万人、1000万人は余裕で超えると言われているVRMMOのリリース記念日、そんな超重要な特別の日に残業なんて、できるかっての!

 そういうところがわかってないんだよね、うちの部長と課長は。人生は一度しかないのだ。今、優先しないといけないことは、仕事以外にもたくさんあるし、人それぞれ違うのだから、もっと大らかに送り出してほしいものだ。


 そんな【八百幻】『プレイヤーからは八百幻やおげんと呼ばれている』のことや部長と課長への不満をあれやこれやと考えながら、無事に帰宅する。

 いやぁ~、電車が止まったり、事故や不測の事態に巻き込まれずでよかったわ。これも日頃の行いの良さのおかげだね(自己申告制)。

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