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アンジェ&ニカ&カミトシリーズ

堕天使ニカの物語

作者: リィズ・ブランディシュカ



 その世界には人間のほかに、天使と堕天使という生き物がいた。


 高層ビルが立ち並び、飛行機が空を横切るようになっても、神話の時代から現代社会まで天使と堕天使は存在し続ける。

 別の世界では幻想の生き物とされる存在は、その世界では生き続けていた。







 堕天使のニカは、天使と人間に迫害されていた。


 堕天使は、神話の時代に、人間を裏切った天使だといわれているからだ。


 世界各地には、堕天使がいるが、その誰もが多くの者達から迫害を受けている。


 だから、堕天使のニカも隠れて生きていかなければならなかった。


 天使や堕天使に両親はいない。


 ある日、世界に突然生まれてくるから、人間のような親はいなかった。


 だから、迫害されている堕天使は、幼い頃から厳しい環境で生き延びなければならなかった。






 人間から石をなげられ、水をあびせられ、罵詈雑言を投げつけられる。


 そんな毎日に傷ついていたニカは、とある神社で隠れ住んでいた。


 その神社の主である老人、源三は。表立って堕天使をかばう事はしないが、積極的に虐げる事もなかった。


 だからニカが隠れ住んでいても知らないふりをしてくれた。


 ニカは、そんな源三に申し訳なく思いながらも、感謝していた。


 今までマイナスの感情をぶつけられてばかりだった二カは、それがぶつけられないだけでもありがたかったからだ。





 


 そんなニカはある日、心優しい人間の少年と出会う。


 その少年の名前はカミト、人間や天使に虐げられていたニカの事を案じ、楽しい話をしてくれたり、美味しい食べ物を分け与えてくれた。


 ニカはカミトの事がすぐに好きになった。


 他の人間とは違って、カミトはニカを虐げる事はしない。それどころか、積極的にかかわりを持とうと思っているようだった。


 ニカは次第に、そんなカミトに惹かれるようになるが、自分には過ぎた相手だと思っていた。


 多くの者達から嫌われる自分と一緒になったら、カミトの迷惑になる。


 そう思っていた。


 しかし、


「ニカ、君が好きなんだ」


 カミトにそう告白された時、ニカはとても嬉しくなった。


「私も、カミトの事が好き」


 そして自分も好きだと思わずそう言ってしまったのだった。


 それから二カとカミトは以前よりも一緒にいるようになった。


 あいからわず、人や天使に出会うと虐められてしまうニカだったが、前より辛くはなかった。


 カミトと一緒ならどんなに辛い事でも乗り越えられるような気がしたからだ。






「ニカ、これプレゼント。ニカに似合うと思って、選んだ髪飾りだけど、受け取ってくれるかな」


 生まれてから一度も誰かに贈り物を去れたことがなかった。


 けれど、カミトはそれをしてくれる。


 食べ物やたのしい話だけではなく、特別なおもいのこもった品物まで贈ってくれる。


 だからニカは、カミトの事がもっと好きになった。


 これからもずっと一緒にいたいと思うくらいに。


 カミトは人望があり、誰にでも優しい。


 だからめったに困る事はないだろうと思うが、それでもカミトが何かに困る事があったら、自分が助けてあげようと思った。


 けれどニカは知らない。


 カミトを好いている天使がその場面を見ていた事を。


 嫉妬の感情をやどした瞳でじっと見つめていた事を。


 その天使は後にとりかえしのつかない悲劇を起こす事を。


 まだニカは知らない。



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