SCA×PASS
西園寺:…クライアント29名を自殺に追い込んだのはボクだ
導:…えっ?何を言ってるんですか?
西園寺:約束だったろ?ボクの問に正解する度にボクの罪を告白すると
武藤:おいおいおい!散々否定しといて、やっぱりお前が犯人じゃねぇか!
導:黙ってください!なんで…なんで…今自白するんですか…?ほぼ確実に死刑なんですよ?
西園寺:だからだ。ボクの役目は終えた。燈の無念を晴らした。だからボクにこれ以上生きる意味はないよ
導:…分かりました
西園寺:ありがとう。じゃあこの電話で応援を呼んでくれ…。すまないが最後に紅茶を一杯だけ飲ませてもらうよ
導:アナタの命私がもらいます
西園寺:何を言ってるんだ…
導:確かに西園寺さんは多くの人の命を奪ったかもしれない。でも今みたいに助けようとしてくれた。アナタにしか出来ない事がまだあるはずです!だから命尽きるその日まで私の為に生きてるくれませんか?
0:一瞬燈の姿と被り、涙を流す西園寺
西園寺:あ、あか…り…?
導:え?お姉ちゃんですか?
西園寺:あ…いや…。まさか燈がボクに言ってくれた言葉を導くんから聞くことになるとはね…涙なんて何年ぶりに流しただろう…
導:お姉ちゃんが亡くなった時以来ですか?
西園寺:いや。燈に今の言葉を言われた時…以来かな。ボクは幼少の頃、酷い虐待を受けていてね…その影響で前頭葉の機能に壊れている部分があるのさ…
武藤:おいおい、言い訳するなよサイコ野郎
西園寺:何とでも言ってくれ。ボクはキミのように犯す事でしか快楽を得られない愉快犯とは違う。クライアントを自殺に追い込んでしまったのも、燈は自殺ではないと証明したかったからだ
導:…そうだったんですね。西園寺さん、最後に2つだけ教えてくれますか?
西園寺:なんなりと
導:私が信じずに武藤容疑者に話していたらどうするつもりだったんですか?
西園寺:愚問だな。それは無いと確信してたよ?
導:どうしてですか?
西園寺:ボクは人の心を読めると言われたカウンセラーだよ?導くんがどうして警察官になったか理由も知っていた。だからお姉さんの死について情報を得る事が出来るなら、それを選ぶ確信があった
導:…イヤな性格してますね
西園寺:あぁ。カウンセラーなんて人の不幸を金に替える卑しい生き物さ。それで…もうひとつは?
導:この、頭文字3文字の『SAC』ってなんですか?
武藤:ふっ、どうせサイコ野郎のサイコだろ!
西園寺:やはり無能容疑者はボクの思った事を言ってくれるね
武藤:ああんっ?
西園寺:そんな事より、どうしてここが気になったんだい?
導:最初はそこまで気になりませんでしたよ。…でも人の作った文字の羅列と数字には意味があるんですよね?
導:メッセージめいたアドレスならきっと特別な意味があるんだと思いました
西園寺:そうか…。まぁ…意味はある
導:教えてくれませんか?
西園寺:正直恥ずかしいのだが…言葉遊びと名前だよ
武藤:つまり、自分の名前を入れただけか!くだらないな!
西園寺:そう…くだらないさ。ただの妄言と言っても過言でない位にね
導:アドレスを和訳すると…『揺れ動いた後、真実をつかみ取る』と言ったとこですか?
西園寺:ご明察。さすがだね
導:名前は…もしかして私たち3人の名前ですか?
西園寺:…そうだ。導・燈・弧涼の頭文字さ
導:どうしてですか?お姉ちゃんは分かるけど…どうして私も?
西園寺:夢だったからさ
導:夢?
西園寺:あぁ。ボク達3人でこの街を守るというね。よく燈と話していたのさ
導:そうだったんですね…。西園寺さんもだったんですね
武藤:おいおい!いつまで、くっちゃべってるんだ!こちとら身体中痛ぇんだよ!早く連れていきやがれ!
西園寺:それもそうだね。導くん、キミも早く手当をした方が良い。せっかくの美しい顔に傷が残るのは中々に残念で忍びない。だからまたいつか思い出話をゆっくり語り合おう
導:もちろんです!西園寺さんも色々教えてくださいね!
西園寺:あぁ喜んで
導:では失礼します!
0:敬礼をして武藤と部屋を出る導。その後西園寺は紅茶を入れパソコンの前に座る
西園寺:さてと…これで終わったんだな…
0:キーボードにパスワードを打ち付ける
西園寺:これでよし、っと
0:西園寺は今回の事件の詳細を事細かに記録し保存する
西園寺:ボクが消されても導くんならこの証拠を見付けてくれたとは思うけどね
0:紅茶を一口飲み、深く息を吐く
西園寺:ん?パスワードが知りたいって?キミも強欲だな。でも特別に教えてあげよう。今のボクは中々に気分が良い
0:ティーカップを置いて
西園寺:『SACPASS』当て字だけどね。本当にイカれた奴を証明する魔法の言葉さ。でも…本当にイカれてるのは殺人犯を相棒にした彼女…なのかもね
0:終