真実とサイコ
0:時間は少し遡り、トイレ内で西園寺の名刺を見る導
導:…やっぱり、この名刺の内容はメッセージだ。アドレスのW・G・Cだけ字体が違う…
つまりWC・G…トイレに行けってことだよね。じゃあこの棚の中に…
0:導は棚の中からナンバーロック式南京錠つきの箱を取り出す
導:この鍵のナンバーは4桁…つまり電話番号?1…4…2…1…。開いた!これはボイスレコーダーとイヤホン?
0:不思議に思いながらイヤホンを耳に入れ再生する導
西園寺:ボクは西園寺だ。まずはお礼を言わせて欲しい。ボクの意図を理解してくれてありがとう、賢き者
導:…!?西園寺さん!
西園寺:もちろんこれは事前に録音したものだ。あまりにも長いと武藤刑事に疑われるだろうから手短に話す
導:どうして武藤さんの事が出てくるの?
西園寺:ボクの恋人、東条燈を殺した犯人は武藤だ。そしてボクを犯人に仕立て上げている。だが証拠もなくボクも動けない。だからこれを聴いているキミに一芝居打って欲しいのだ
導:犯人は武藤さん!?いや…でも信じられるわけ…
西園寺:もちろん、キミも刑事なのだろう。突然こんな事言われても納得出来ない事は百も承知だ。…だからここで問だ。東条燈を殺した犯人が武藤と思うなら、上の棚に入っている耐電圧ベストを中に着て、ボクを殺そうとする芝居をしてくれ。
西園寺:その際にこのボイスレコーダーを使って武藤の自供を録音して欲しい
導:こんな犯罪者の言う事なんて信じられない!早くこの証拠を武藤さんに…
西園寺:…これを聞いてくれているのが東条導だと嬉しいのだが…
導:…えっ?今、私の名前を言った…?
西園寺:おっと、すまない。人に頼み事をしているのに他人の話をしてしまって。ただ…ボクの直感だが、彼女がここに来てくれる気がしてね…ただの妄想さ…気にしないでくれ
西園寺:だが、本当に彼女ならボクの事など信じなくていい。でも燈を…姉さんを信じて欲しい
導:…ずるいよ、西園寺さん。でも私はあなたを信じない…!
導:私は…お姉ちゃんを信じるっ!
0:時間は戻り現在
西園寺:…と、いう事だよ。納得してもらえたかね?
武藤:納得出来るかあぁぁぁ!お前の得意の洗脳で東条を誘導したんだろ!
武藤:東条っ!今ならまだ間に合う!そのボイスレコーダーを俺に渡せ!
導:武藤さん動かないで下さい!少しでも怪しい動きをしたら撃ちますよ!
武藤:くっ!分かったよ!降参だ!
導:では、そのテーブルの上に銃を置いて下さい!
武藤:…分かった
0:テーブルの上に銃を置く武藤
導:そのまま後ろを向いて両手を後ろに!
武藤:くっ…これで良いか?
導:手錠をかけますね
武藤:(小声で)ふっ、バカな女だ
西園寺:導くん!危ないっ!
0:武藤は振り返り隠し持ってたナイフを導に突き出す
導:…っ!やっぱりアナタは最低です
0:導は武藤の突き出した腕を取り一本背負いで投げ飛ばす
導:はぁ…っ!!
武藤:ぐはっ!そんなのありかよ…?
西園寺:ふふっ、さすがだね。無能容疑者、キミの計画には1つ大きな穴があるのだよ。それは…
導:私がこんな、ひ弱な男に襲われる訳がないんですよ!…っ!
西園寺:導くん!頬から出血が!
導:カスっただけです。武藤容疑者、傷害及び殺人未遂の現行犯で逮捕します
武藤に手錠をかける
武藤:なんで俺がこんな小娘に…
導:黙れ。女の身体と心を傷付けた罪、一生ブタ箱で懺悔しろ
西園寺:(口笛を吹く)さすが導くん、中々に鮮やかでクールだね
導:お褒めの言葉ありがとうございます。では、武藤容疑者を連行致しますので、これで失礼します…
西園寺:待ちたまえ。忘れ物だ
導:忘れ物?