問いとサイコ
導:分かりました。最初の被害者は26歳のアパレル店員。帰宅途中に襲われました。時刻は22時を回っていたとの事です
西園寺:(紅茶を1口飲む)ふむ…そうか
導:続けても?
西園寺:どうぞ
導:2人目は18歳の女子学生。同じく帰宅途中で被害に合いました。時間は21時前かと
西園寺:その女子学生は何故そんな時間に帰宅を?
武藤:バイトだとよ!世間のガキはどっかのサイコ野郎と違って汗水垂らして金を稼いでるんだよ!
西園寺:労働というものは、大変だな。ちなみにその女子学生の働き先は?
導:コンビニです。その日もいつも通りの時間に帰路についていたとのことです
西園寺:コンビニか…分かった。次頼む
導:はい。3人目は26歳専業主婦。同窓会の帰りに被害に合いました。時刻は酔っていたこともあり曖昧で深夜12時頃ではないか、という話です
武藤:まぁ酔ってる女が一人夜道を歩いてたら襲ってくれと言ってるようなものだ!ホントに女はバカだよな!
西園寺:…専業主婦…か。無能刑事の男尊女卑は相変わらずなのでスルーさせてもらおう。次を頼む
導:4人目は21歳の女子大生。こちらも飲み会の帰りにほぼ同時刻に襲われたみたいです。そして現場には使用済みの避妊具が落ちていました。なおデータベースに該当者なしです
西園寺:ちなみにその飲み会はサークル仲間とかい?
武藤:そんな事関係ないだろ!
西園寺:だからキミは無能刑事なんだ。これは非常に大事な情報なんだよ
武藤:だから俺を無能呼ばわりするな!
導:…続けてもよろしいですか?
西園寺:あぁ頼む
導:サークル仲間ではなくアルバイトの同僚とですね。ちなみに避妊具の中身から年代が分かりました…
西園寺:いや、いい。余計な情報には興味がないのでね
武藤:はぁ?決定的な証拠に興味がないだぁ?サイコ野郎お前ふざけるのも大概にしろよ!
西園寺:ボクの役割は証拠から導くのではなく、人から導くものだ。余計な口を挟むなら今回の件はここまでにさせてもらうよ?
武藤:…必ず殺してやるからな
導:分かりました。最後の被害者は26歳会社員。帰宅途中に襲われました。時刻は23時頃です
西園寺:その女性は既婚者だよね?
導:え、えぇ。既婚者は3番目と5番目の被害者だけです
西園寺:ありがとう。ちなみにキミたち警察の考えを伺ってもよろしいかい?
武藤:犯人は犯罪歴のない性欲モンスターだ!計画的でなく衝動的に行動してる知能の低いゴミだ!
導:言い方はアレですが…警察の総意で間違いないです
西園寺:なるほどな。さすが無能刑事だ
武藤:てめぇ!いい加減にしろよ!
導:武藤さんっ!
0:導は身を呈して殴りかかるの武藤を止める
西園寺:おや?殴らないのかい?殴ってくれれば証拠が残っただけに残念だ。優秀な部下に感謝したまえ
武藤:クソが!
西園寺:では、丁度いい。最初の問だ。初回サービスで特別にヒントもあげよう
導:ヒントですか?
西園寺:あぁ、ヒントだ。キミたちの考えは間違っている。今回の犯人は2人いる
武藤:2人だぁ?つまり複数犯って事か?
西園寺:模倣犯がいるということだ。恐らくその2人には接点はない。そこで問題だ。模倣犯が起こした事件は何番目だと思う?
武藤:は?そんなの決まってるだろ!4番目だ!証拠を残すマヌケだからな!そうか!だからデータベースに引っかからなかったのか!
西園寺:(恍惚の表情を浮かべ)んー、模範解答ありがとう。中々に満足だよ。ではお嬢さんも同じ考えという事で良いかな?
導:…3番目
西園寺:…ほう。その心は?
導:3番目の女性だけ現在働いていないからです。西園寺さんが気にされていた部分ですよね?
武藤:そんな訳あるかよ!たったそれだけの事かよ!
西園寺:導くん、正解だ!よくボクの話を聞いていたね。無能刑事、『たったそれだけの事』で人は大きな選択をする事を忘れるな