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【連載版】嫌われ者の公爵令嬢。  作者: 池中織奈
番外編

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私はこの国での生活を満喫している ⑦


 少なくともそういう事象が流行っているのならば何かしらの原因があるはずと私は思っている。

 だから私はクレバス王国の文官として、原因を解明しなければならない。



 正直言って、このような難問に遭遇したことは初めてだから上手くいくかどうかは不明だ。世の中には原因不明の病って、案外沢山あったりする。

 幸いにも私は、命の危険を脅かされるような病気になったことはないけれど……、世の中には絶対はないのだからなるべく調べられるだけ調べたい。

 そういうわけで私は何人かの同僚と共に実際に体調不良者が続出している場所へと赴くことになった。

 オーリーとイフムート様にそれを伝えたら、心配されてしまった。



「ウェシーヤ嬢が行きたくないなら俺から働きかけることは出来るけれど?」


 そんな風にイフムート様に言われたけれど、きっと私が喜んで頷きでもしたら失望するんだろうなと呆れてしまった。

 イフムート様って、そう言う人だから。




 にこやかに微笑んでいても人のことを試していたりなんてことはよくある話なのだ。私はイフムート様のことを友人だとは思っているけれど、恋人にしたいかというと否だ。絶対に大変だもの。

 オーリーはその辺も含めてイフムート様と付き合っていっているのだろうけれどね。




 私は折角イフムート様とのご縁で、こうして文官として働いているのだからちゃんと成果は出したいと思っている。

 成果を出し続けられれば、私にとってもイフムート様にとっても良い事尽くしだもの。




「ナーテは気合が入っているな?」

「もちろん! 折角こうして現地に行くのだから、ちゃんと原因を掴まないと」

「おいおい、そんなに気合いを入れたところで一日で判明するはずはないのだからもっと気を抜いた方がいい」



 一緒に向かう文官の同僚にそんなことを言われる。



 今は、現地に向かう馬車の中だ。少し移動しなければいけないのと、調査のための荷物もあるから馬車移動なの。



 ……それも確かにそうかもしれない。この調査は短期間で終わるものでは決してない。逆に一日で原因が判明するなんてとんでもないことが起これば、それこそ自作自演でも疑われそうなレベルだとそう思う。

 実際に勘違いで処罰されるような事例って世の中にはあるらしい。私は国に仕える文官として、きっと片方の意見だけ聞いてはいけないんだとは思っている。




 上司も言っていた。

 ――片側が「あの人に酷いことをされた」などと口にしていても、本当は逆だったりしたなんて事例は溢れていると。



 所謂冤罪のようなもの。それこそオーリーが実際はそうではないのに“悪役令嬢”と呼ばれていたのも同じようなことだとは思う。

 オーリーの状況を知っている身としては、色んな視点からの意見を聞かなければならないなとそう思っている。



「そうだよね。空回ってしまったら駄目だもの。もっと落ち着いて行動をするわ」


 感情的にならないように、客観的に周りのことを見ていられるように。

 そんな文官になりたいと私はそう思っているのだ。



 これから向かうのは体調不良者が続出しているエリアだ。医療従事者も連れてきている。文官である私達だけでは分からないことも多いから。




 私も平民として暮らしていたから分かるけれど、平民だとちょっとした体調不良ぐらいならば放っておいたりしてしまう。

 貴族だとちょっとした病でもお医者さんがくるけれど、そうではない。

 お金の余裕もなかったりするし、気づいたらちょっとした体調不良から命を落としてしまうなんてこともよくある話だ。



 ……お母さんのことを思い出すな。

 お母さんも体調を崩してそのまま亡くなってしまったから、他人事だとは思えない。

 こういった体調不良者の続出から、驚くほどの犠牲者が出る可能性だってある。私はお父さんに引き取られて、貴族となったけれど……平民の子供が親を亡くしてから一人で生きて行くことは大変なこと。

 そんな子供が増えるのは凄く嫌だ。




 私の仕事は、そう言った責任を背負うものなんだ。移動中、同僚は一休みしていた。私がずっと起きているから、「寝た方がいい」なんて言われた。

 ……気を張りすぎて、全然ひと眠りする気にならなかった。

 でもずっと起きっぱなしだと、それはそれで大変かもしれないと思い至って無理やり瞳を閉じた。



 それからしばらく馬車に揺られて、目的地へとたどり着く。

 私達が向かったのは、王都から少しだけ離れた街だ。

 王都内でも体調不良者が出ているけれど、この街の方が多いらしい。とはいっても一部で流行っているだけらしいけれど、それでも今の段階で解決した方がずっといい。



 そういうわけで私達は準備をきちんとした上で、医療施設へと向かった。


書き下ろしの書籍3巻が12月に発売予定です(電子のみ)

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