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【連載版】嫌われ者の公爵令嬢。  作者: 池中織奈
番外編

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49/55

私はこの国での生活を満喫している ②

 王宮内を歩いているとそれなりに視線を浴びる。



 イフムート様と友人関係にあるから、それも仕方がないことである。学園に通っていた頃のよく分からない“運命”としての視線よりは全然いいと思う。

 王太子妃の言っていた複数の男性との“運命”なんていうのは、私が望んだものではない。でもイフムート様の友人であることに関しては私も望んでいることだもの。



 ……まぁ、私がバーシェイク王国では複数の男性の“運命”なんて言われていたことを知っている一部の人に絡まれることはたまにあるけれど。でも王宮内では基本的にないわ。イフムート様が目を光らせてくれてるし。



「失礼します。レミラーナさんはいらっしゃいますか?」



 私がそう声をかけて侍女たちの休憩室に顔を出すと、視線が向いた。



「私に何か御用ですか?」

「先ほどぶつかった所に手鏡が落ちていたので、あなたのかと思い届けにきました」



 私がそう言ってポケットから取り出した手鏡を差し出せば、レミラーナさんは笑った。



「わざわざありがとうございます。ところでナーテさんは今はお時間ありますか?」

「はい」



 上司からは届けるついでにしばらく休憩してきていいと言われているので頷く。



 侍女たちの休憩室の中にきちんと入るのは初めてだから、少しだけ落ち着かない気持ちになった。それにしても私に何か話があるのだろうか?

 侍女たちの視線に悪意は感じないけれど、何かあった時のことはちゃんと想定しておかないと。

 そういうわけで警戒心は怠らずに案内されるままにソファに座った。レミラーナさんだけではなく、他の数名の侍女も腰かける。




「私に何か話でもあるのでしょうか?」



 私がそう問いかけるとこの場で一番若い侍女が元気よく私に話しかけてきた。




「ナーテさんは第二王子殿下に誘われてこちらにいらしたんですよね! 王宮勤めの文官をしているのも凄いと思います」

「ありがとうございます!」



 急に褒められたので、少し驚きながらお礼を言う。

 私はまだ文官として王宮に勤めて短いけれど、自分では頑張っているつもりなので嬉しい。




「ところで第二王子殿下とは恋仲なのですか?」

「違いますよ! イフムート様とは普通に友人です」




 目を輝かせて問いかけられたけれど、残念ながら私とイフムート様は普通に友人関係でしかない。

 ……それにしても恋愛話が好きなのかな?

 私もオーリーやイフムート様がくっつくかな? というのは楽しみではあるけれど、自分の恋愛は全然今のところない。仕事をするのが楽しいし、もし結婚するとしたら仕事を続けることを認めてくれる人がいいとは思う。





「それが凄いと思います。だって第二王子殿下の異性の友人ってあまりいないじゃないですか。殿下が実はナーテさんのことを好きだったりとか!」

「しないですね。イフムート様は好きな方いますし」

「え。誰ですか!」

「ええっと、流石に言いませんよ。イフムート様の個人的なことですからね」




 ぽつりと好きな方いますとは言ってしまったけれど、流石に他の人にイフムート様の恋心を勝手に言いふらすわけにもいかない。

 反射的に言ってしまったけれど、気をつけないと。




「そうなんですね。ナーテさんは好きな人とかいないんですか?」

「今は仕事をするのが楽しいので」

「もったいないなぁ。ナーテさん、凄く可愛いのに」




 そんな風に言われるけれど、恋愛ってやろうと思ってするものではないとは思っている。



 誰かと付き合ったりとか、結婚したりとか、そういうのは自由でいいってお父様にも言われているからあんまり考えていない。

 結婚しないならしないでいいかなと思っているので、そういう場合でも生活していけるようにはしておきたいなとは思っているけど。





「そういえばナーテさんは、オティーリエ様とも交流があるんですか?」

「はい。お友達ですから」




 オーリーは王宮にはそこまでやってこない。どちらかというと私やイフムート様がオーリーの所に遊びに行くことの方が多い。

 だからオーリーのことが実際にどういう人なのか知らない人はそれなりに多い。




「お友達なのですか? どんな方ですか? “悪役令嬢”と呼ばれていたけど、実際は違うっていうのは知っているのですけど」

「オティーリエ様は綺麗で優しくて可愛い方です。私にとって自慢の友人です」





 “悪役令嬢”と呼ばれていた人。だけど実際は違うというのは割とこの国の人たちは認識している。オーリーは私の大好きな友達。だから躊躇せず、自信満々に自慢の友達だって言える。

 私の言葉に侍女たちは楽しそうに笑った。




 それからしばらく話していたけれど、休憩の時間が終わったので私は仕事に戻るのだった。



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