第一章幕間
『では案を発表してください』
マスコが進行役となって、第一回エンドレスサマー幹部会議が開かれていた。
「はいはい、オイラから! オイラはヤキメン屋さんが欲しいぞ!」
うんうん、やっぱり海って言ったら焼きそばだもんな。
他にも香ばしい醤油の香りが食欲を誘う焼きトウモロコシとか、ラーメンなんかも定番だよな。
焼きそばはアイラさんにヤキメンの店出せないか相談するとして、この世界にトウモロコシってあるのか?
あとでリリルかマスコに聞いてみよう。
「私はやっぱりシャワールームがいると思うの。いくら魔法があるって言っても水属性魔法が使えない人だって多いんだし……ちゃんとした更衣室も欲しいわね」
そうだよな〜……海の家だって、シャワーで500円使い放題とかでお客さん取り合ってるもんな。
それに女性からしたら安心して着替えられる場所は、やっぱり必要だよな。
シャワーは直ぐには無理だけど、更衣室はバルガスさんに頼めば何とかなるかな。
「俺様はよくわかんね〜けどよ。ここに来る奴らってのは基本的に冒険者が多くなるだろ? 武器だの防具だのは持ってても、水遊びする道具は持ってね〜んじゃね〜か?」
それそれ! 俺も考えてたんだけどさ……海の家って水着売ってるよね。
でもこの世界のどこに水着売ってるんだよ。
いつか俺が仕入れに行くか、行商人とかと仲良くなって仕入れてもらうとしてもなぁ……。
──そうだ!
マルチナさんなら作れるんじゃね!?
人形に着せる服は、マルチナさんが手作りしてる訳だし。
今度店に行って相談してみよう。
『他にはありませんか?』
「ここ夜の雰囲気もバッチリだし、やっぱり宿泊施設がいるんじゃない? テントとかならすぐ揃えられるでしょ」
採用!
そうだよそれだよ。
満天の星空の下で寝られたら最高だよ。
まあ、星空って言っても、プラネタリウムみたいなもんだけども。
テントを買って、キャンプサイトみたいな場所確保すればいける!
あとはホテルとはいかなくても、ロッジ的な物ならなんとかなるか……でも人手が全然足りないな。
モンスターを雇うにしてもなぁ……これは一時保留だな。
「焼いた魚も食べたいぞ!」
ハイハイ言うと思いました。
バーベキュー出来るといいよね。
アルモンティアでテントと一緒に探してみるか。
「……酒がいるんじゃね〜のか?」
それだーーーー!!!!
そうだよジロ!
アルコールだよ!
海って言えば、キーーンと冷えたビールだよ〜!!
何で思いつかなかったんかな〜!?
俺はお酒はそんなに強い方じゃないけど、海行ったら必ずビール飲んでたもんな〜。
あ〜ビール飲みたくなってきちゃったよ。
転移してから酒の事なんて考えた事なかったけど、ビールってあるのか!?
これもリリル達に聞いてみるか。
『では案を取りまとめます』
・食べ物の販売
・シャワールームと更衣室
・水着の販売
・テントを買ってキャンプサイトを作る
・宿場施設は保留
・バーベキュー出来るようにする
・アルコールの販売
……こうしてみると、足りない物だらけだな。
出来ることから一つずつやっていくしかないけど。
それに、俺にはもう一つ誰にも話していない極秘計画がある。
それにはまずエンドレスサマーを流行らせて、人で賑わせなければいけないのだけど……。
『プロジェクト・ヘブン』と『プロジェクト・アナザーヘブン』この表裏一体の二つの計画だ。
この計画はリリルやタロ達キッズチーム(あくまでも見た目。実年齢は遥か歳上)には存在を知られる訳にはいかない。
いつかこの計画に賛同する真の漢が必ずエンドレスサマーを訪れるはず。
その人を見つけて必ず成し遂げ見せるんだ。