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7話 初体験と、変質者を見る目

物価がわかりやすいように、1ゴールド=1円くらいの感覚で書いています。

「ツバサお兄ちゃん! こっちにもあるよ!」


 マイスターズの皆と別れた後、俺はファンデ村から15分ほどの所にある平原にいた。



 ***


「ギルドの宿泊所は500ゴールドだが、まあ飯も食うだろ? ここは小さい村だ。食堂なんて無い。お前が取れる選択肢は2つ、ミレア婆さんの店で食材を買ってここで自炊するか、俺のかみさんの手料理を1食300ゴールドで食べるかだ」


 マルセルも良い商売してる。しかしこの世界の食材なんて何一つわからない俺に選択肢なんて無い。まあこっちの料理を知る良い機会になるか。


「3食食べるとしてお前が稼がないといけないのは、最低1日1400ゴールドだ。簡単な依頼を1つか2つって所だな。ちょうどよかったわ。ミレア婆さんから来てた薬草採集の依頼が溜まっててな。こんな田舎の村の薬草採集の依頼を受けるような冒険者なんていないから、俺が行かないといけないところだったんだよ。いや〜ラッキーラッキー」

「…………」




 ***




 一応周りを警戒しつつ、薬草採集を進める。

 リビングデッドは村の近くまで現れたことはないし、万が一遭遇しても日中であれば動きが遅いため走れば逃げ切れるそうだ。むしろ獣系の魔物に警戒しろと言われた。


 他の系統の魔物とは遭遇しないのか?という質問をしたが、そもそも2年前にアンデッド系の魔物が現れるまでは、獣系以外の魔物はダンジョンを除き、世界中から姿を消していたらしい。

 気になる情報だ。魔物のことも含め、マルセルにこの世界の事を色々聞いてみよう……。


 (……ん? これは……)


 依頼にされた薬草以外にも、気になる草があったら集めていく。


 ふと気づくと、マリアが遠く離れた所にいた。


「お〜い! あんまり離れるなよ〜!」


 よほど外部の人間と話せるのが嬉しいのだろう、マリアは俺の依頼に着いていくと言って聞かなかった。採集場所も村からそれほど離れていないし、俺が迷っても困るということでマルセルもあっさりと同行を許可してくれた。マリアが絶対に俺から目を離さないのが条件だった。普通逆じゃないか? そんなに道に迷いそうな奴と思われてるんだろうか……。


 黙々と採集を続けながら、今後のことを考える。

 ……しかし魔法使いか。いま俺はレベル1なのかな?

 魔法使いはレベル1からファイアが使えたはずだが……試してみるか?


『……ファイア!』


 唱えた瞬間、手のひらに炎が現れた。


「うおおおおおお!!!」


 夢にまで見た!! 魔法が!!!! 使えてる!!!!!!!


「うひょぉおおおおおおおおお!!!」


 思わずテンションがめちゃくちゃ上がってしまう。


「ほぉ……ほぉおおおお!!!!」


 狂ったように手のひらの上で踊る炎を見つめ続ける。

 あれ、でも詠唱してないよな俺。今朝カインが肉に火を付ける時は詠唱していたけど……なんでだろう。

 魔法が使えた感動と同時に、新たに生まれた疑問。炎に見とれつつ、ついつい考え込んでしまう。

 しかし……きれいだな。魔法の炎、きれいだな……。


「ふふ……ふふふ……」










「……ツバサお兄ちゃん?」


 ……完全に忘れていた。一人では無いということに。

 恐る恐る後ろを振り向くと、マリアが完全に変質者を見る目で俺のことを見ていた。


「……お、おう」

「何やってるの?」

「ま、魔法……魔法を…………」


 慌てて炎を消そうとしたが、消し方がわからない。

 あたふたしていたところ、マリアがため息をつき、俺に手を向けた。


『清らかなる水の精霊よ、汝と契約せしマリアが力を求める われに力を与えん ウォーター!』


 マリアから発せられる水でびしょ濡れになる俺。そしてマリアが怒り出す。


「火事になるかもしれないから炎魔法はむやみに使っちゃいけないって、お父さんが言ってたよ!!!」


 マ、マリアさんあなたも魔法が使えたんですか……



 ***



「俺の娘が何も出来ない無力な小娘なわけないだろう」

「はい……」

「お前がマリアの護衛したんじゃなくて、むしろマリアがお前の護衛だからな」

「はい……」

「あとマリアも言ってたと思うが、燃えやすいものがある場所でむやみに炎魔法は使うなよ。火事になったら大変だろ」

「はい……」

「自分で出した魔法の無効化ができなかったんだって? とりあえず最低限の制御をマリアに教えてもらって、カインが戻ってきたら基礎から教えてもらえ」

「はい……」


 マリアにこってり絞られた後、村に戻ってきたらマルセルにもこってり絞られた。


「まぁまぁ、あなた。そのくらいにしておいたら」


 マルセルの奥さんがそう言いながら、お皿に料理を盛り付けてくれる。ちょっと遅めの昼食だ。


「おかーさーん! おかわり!」

「はいはい、ちゃんと噛んで食べるのよ」


 マルセルの奥さん、ナターリアはいかついスキンヘッドのおっさんの奥さんとは思えないほど、きれいな人だった。元の世界ではいないような幻想的な雰囲気のナターリアさんに見とれていると……


「きれいなかみさんだろ? 変な気起こすなよ。ナターリアも俺の元パーティメンバーで元S級冒険者だからな。これ、お前のためを思って言ってるからな」


 なんだこの家族……戦闘一家かよ





お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 世界観の把握までの流れが上手くまとまっていて、とてもわかりやすかったです(*´-`) [一言] まだバグや裏技なんかが出てきていないので、続きを楽しみに待ちたいと思います(*´꒳`*) あ…
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