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23話 結構強くなってた

 さっきまでボロボロだったのに、元気そうに拍手しているマルセル。

 な、なんでこのオッサンこんなピンピンしてるんだ?

『すごいな異世界、治癒魔法すごい、ここまで一瞬で治るんだ』と思ってナターリアの方に目を向けると、彼女はまだ辛そうに倒れ込んでいた。


「……さっきまで瀕死だったのに何でそんなピンピンしてるんですか?」

「それはなぁ〜、俺だからだよ!」

「ツバサ、おっちゃんの回復力は変態レベルだから気にしたら負けだ。この人普通じゃないから」


 な、なるほど。

 ナターリアはまだ辛そうだが、山は越えたらしい。

 傷も残らないんだって。やっぱりすごいな治癒魔法。


「よし、おっちゃんとナターリアさんも無事だし、皆に加勢するぞ!」


 ダンテが皆を鼓舞する。

 周りを見渡すと、村のあちこちで冒険者と騎士がアンデッドと戦っていた。


「すまん、ダンテ。俺には少しやらないといけないことがあってな」


 ダンテに一言断ったマルセルが、真剣な表情でこちらを向いた。


「さて、ツバサ。頼みがある」


 最後まで聞かなくても頼みの内容はわかりきったことだ。

 この侵攻の元凶を倒さなければ、状況は変わることは無い。


「もちろんいいですよ」

「ん。俺たちだけで大丈夫そうか?」

「大丈夫だと思います。月光草もほぼ尽きている今、村には通常の防衛手段しかありません。冒険者と騎士団には村の守備に専念してもらったほうが良いでしょう」

「そうだな……すまん、マイスターズよ。俺とツバサはこの大量発生の原因を叩きに行く。お前らには防衛を任せた」


 俺とマルセルの二人で行くと聞いたマイスターズは、驚きを隠せないようだった。

 まあなんせ俺、まだギルド所属(仮)の冒険者だしな。


「原因がわかったのか?」

「ああ。ツバサがネクロマンサーがアンデッドを召喚しているのを見たらしい。ブランドン墓地でな」

「ネクロマンサー?」

「ああ、ネクロマンサーがこのアンデッド達を召喚していたんだとよ。というかさっきの女、現れた時に魔王がなんとかとか言っていたな」

「ま、魔王ですって?」

「いやまぁ本当に魔王なんて出てきたら国家連合で挑むレベルだからな、すぐ戻ってくる。まぁ何が出てくるにせよ、ネクロマンサーだけは潰してくるつもりだ」

「ツバサと二人でだいじょ……いや、さっきの魔法の威力なら大丈夫か。むしろ俺たちより強いかもな……」

「っていうか無詠唱ってどういうことよ! あんた帰ってきたら詳しく教えなさいよ」

「は、はぁ」


 カッサンドラを倒したときの俺の無詠唱魔法の威力を思い出したマイスターズは、マルセルが俺と2人だけで行くことに納得したようだ。

 っていうか無詠唱で魔法が撃てる理由なんて俺に聞かれてもわかんないんだけどなぁ。俺が教えてほしいくらいだよ。


 あ、墓地に行く前に一応ステータス確認しないとな。


「すみません、一瞬だけ宿泊所に戻って装備を取ってきます」


 さすがにあの大人数の前でこっそりステータスは開けないので、宿泊所に戻ってステータスを確認する。


 ****************

 レベル:46

 体力 :86

 魔力 :202


 攻撃力:38

 守備力:62

 俊敏性:91

 魔練度:191

 ****************


 おお、結構強くなってる。

 高位アンデッドを含む魔物を大量に処理したのと、カッサンドラを倒したおかげで、一気に46レベルまで上がった。

 あの魔法も覚えた。これなら……ミスリルゴーレムも倒せるはずだ。


 っていうか超短期間でS級冒険者と同じようなレベルになっちまったけど、やっぱりおかしいよな。S級というのなら、もっとレベルが高くても良いはずなのに、以前マルセルに聞いた時彼は41レベルと言っていた。

 S級で俺が1ヶ月もしないうちに追いつけるようなレベル……? 他の人達のレベルが人為的に抑えられてるような感覚を感じる。今回の件を解決したら、きちんと調べるべきだな。


 さくっとステータスを確認してマルセルたちのもとに戻ると、すでにマイスターズは加勢のため村中に散って戦闘を開始していた。ただ好都合なことにセレスティーナはまだ治療のためにその場に残っていたので、一つ頼み事をすることにする。


「セレスティーナさん、イレイズは使えますか?」

「え、ええ」

「すみませんが、俺とマルセルさんにイレイズかけてもらっていいですか?」

「ええ、もちろん」

『大いなる存在よ この者たちに清らかなるご加護を イレイズ!』


 イレイズはゲーム中だと敵とのエンカウント率を下げる魔法だった。レベル差があればあるほどエンカウント率は下がるんだが、この世界だとどういう仕組になるんだろうな。

 まあ無いよりはマシだろう。


 さて行くかと思っていたところで、母親の看病をしていたマリアが駆け寄ってくる。


「お兄ちゃん、これ」


 マリアがマナポーションを差し出してきた。

 ふふ、スパルタ再びだな。


「ツバサお兄ちゃん、お父さん、絶対に生きて帰ってきてね」

「任せとけって!」


 心配そうに見上げてくるマリアを抱きあげる。

 一人っ子だったから、妹みたいな存在は初めてだ。この子を守るためにも、絶対に奴らを倒さなければならない。

 ネクロマンサーはどうにかなるだろうが、問題はあいつらを守っているミスリルゴーレムだな。無属性の魔物を倒すためのあのバグが使えなかったら、力技でなんとかするしか無い。




 ――いいか。絶対に、死ぬなよ


 以前マルセルに言われた言葉を思い出す。

 絶対生きて帰ってこないとな。



「よしツバサ! 行くぞ!」

「はい!」







お読みいただきありがとうございます。

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