17話 俺の肩壊れちゃうよ問題
初めての魔力枯渇から数日、毎日マリアと共に魔力の制御を練習したおかげで、完全にものにすることが出来た。
なので今日から本格的にリビングデッドを殲滅していこうと思う。
まず月光草の群生地である渓谷に向かい、月光草を採集する。
採集に時間はかからなかった。まぁ探す手間がかからないからな。
しかしこの群生地の一面に広がる月光草、採っても採っても減る気配が無いな。月光草でアンデッドを倒せることを世に広めて、ファンデ村の名産として売り出せば良いんじゃないか?
黙々と採集を続けると、一時間ほどで100個ほどの月光草がパンパンに入った袋が4つ出来上がった。
さて行きますか! と気合を入れて持とうとしたが……お、重い。
草とは言え、さすがに400個となると重くて持てないぞ。
元のゲームだと持てるアイテムの数が枠で決まっていたけれど、こちらの世界だと、物理的に持てる量に限られてくる。まあ当たり前の話だな。ゲーム時には気づかなかったけど、結構不便だ。
悟り人の固有スキルに、持てるアイテムの制限を無くす『無限インベントリ』ってあったんだけど、あのスキルを使うと無限に持てるのか? イメージがわかないが四次元ポケットみたいな感じなのかな。
「仕方がない、手間だが2回にわけて運ぶか……」
袋2つが持てる限界量だったので、2つの袋を背負ってブランドン墓地まで向かうことにした。
***
巨大な袋を2つ背負ってなんとかブランドン墓地に着いたが、今回は以前の反省点を踏まえてちょっと試したいことがあった。
前回のやり方の問題はずばり、「俺の肩壊れちゃうよ問題」だ。
前回は石を投げてこちらに引きつけ、近づいてきたリビングデッドに月光草を投げていたわけだが、はっきり言って肩が痛い。100体近く倒したが、200回くらい石と月光草を投げた計算になる。
これを今回持ってきた200個の月光草でやると、石と合わせて400回投げる計算になる。野球は詳しくないから分からないが、野球選手がやったら多分ドクターストップがかかるレベルだと思う。
なのでもっと体に負担をかけない方法で倒していきたい。
そもそも魔法で倒せれば良いという話だが、まだレベルが低いから魔力が持たない。なのでとりあえず今の所は月光草頼みだ。
……まずは1個で試してみるか。
『ウィンド!!』
ウィンドを発動させる。
目には見えないが、風が舞っており発動しているのがわかる。
そこに月光草を投げ入れた。風に乗り、宙に舞う月光草。
「よしよし、大丈夫そうだな」
発動したウィンドに意識を集中させ、風を一番近くにいたリビングデッドに近づける。
「ウガ……?」
リビングデッドが突然現れた風に意識を向けるが、もう遅い。
風で舞う月光草がリビングデッドに接触した瞬間。
「ウガァアアアアア」
ダメージをあたえ始めた。
「おお……成功した」
***
「ウガァアァアアア!!」
「ゥ……ゥ……」
「ガ……ガァアア……」
「ガァアアアアアア!!!!」
「ウゥゥゥ……」
はっきり言って阿鼻叫喚である。
最終的に、1度のウィンドで30個もの月光草を風に乗せることに成功した。
作戦自体は大成功だが、ただ……絵面がひどい。
1回のウィンドにつき30匹のリビングデッドがほぼ同時に苦しみはじめるので、今日のブランドン墓地は地獄絵図になっている。
風に舞わせた月光草でも無事経験値は入るようで、レベルアップが止まらない。
持ってきた月光草を全て消費した時点で、19レベルに到達していた。
「ゥ……ゥ……」
最後のリビングデッドが倒れたようだ。
歩いているリビングデッドが少なくなり、ブランドン墓地もだいぶ見晴らしがよくなった。
「この調子だったら明日にはリビングデッドを殲滅できそうだな。異世界楽勝じゃん!」
ゲームよりも簡単すぎるレベル上げに、自然と上機嫌になってしまう。
だがそんな楽観的な気持ちは、翌日焦りに変わっていくこととなった。
***
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