12話 二人のヒミツ
「ツバサおにーちゃん! 何して遊ぶ〜?」
置いていったことに激怒したマリアにこってり絞られるかと思ったが、『午後はずっとマリアと一緒にいるから! 一緒に遊ぼ!』と言ったらすぐに機嫌がよくなった。子供はチョロいな。
「じゃあお散歩しようか!」
「いいよ!」
「お散歩ついでに採集の依頼も少ししていい? ついでだから」
「え〜しょうがないなぁ」
ふふふ、チョロい。こっちも生活がかかってるからな。最低でも宿泊費と食費分くらいは稼がないと……。
しかし月光草の採集を進めていかないとなぁ。
ミレア婆さんの店にあるかと思ったが、そもそも俺にギルド経由で入ってくる採集の依頼はミレア婆さんからのものだし、そんなに在庫は無さそうだ。自分で採るしか無い。
リビングデッドを簡単に狩れることは確信できたから、月光草が大量に手に入るのであればブランドン墓地のリビングデッドを全部狩ろうかなと思っている。魔法で戦うとなると魔力の消費量を気にしなければいけないが、月光草が大量にあれば魔力の消費も気にせずに狩りまくれる。本当に500体いるのであれば、今の俺にとってはボーナスタイムだ。
……というかこの世界の人達は、月光草や薬草、ポーションがアンデット系のモンスターに効くってことを知らないのかな? アンデッドモンスターが増えてきてるって言ってたし、どこかのタイミングで教えてあげるか。
「マリアさぁ、月光草がたくさん生えてるところ知らない?」
「月光草? 知ってるけど……ないしょ!」
「え、知ってんの?」
「知ってるよ」
「何で教えてくれないの?」
「誰にも言わない?」
「言わない言わない」
何かすごい秘密があるのだろうかと思ったが、案内されたら理由がわかった。
「ここを降りた先にあるよ!」
崖だった。
断崖絶壁というほどではないので確かに降りれそうな気もするが、一歩間違えたら大怪我しそうな崖だった。
「こ、ここ?」
「うん!」
「うそでしょ?」
「え?」
「ガチ?」
「ガチ」
本当にこの下らしい。
「お父さんにこの下には行くなって言われてるから、私が行ったのは内緒だよ!! お父さんにチクったら絶交だからね!」
いや〜そりゃマルセルも止めるだろ。っていうかこの子一人でこんな所で遊んでるのかよ。生命力半端ないな。
「下降りる?」
「……お、おう」
「うお〜〜〜〜こええぇ……」
「おにーちゃん! はやくはやく!」
「……ハァ……ハァ……」
俺がビビりながら、ゆっくり通りていくのに対し、マリアは駆けるようにに降りていく。
野生動物かな?
「こっちこっち!」
「おう……ちょっとまって落ち着け」
「もぉ〜、遅いよ!」
街で生まれ街で育ったおっさんニートは崖を降りたことなんて無い。
くそっ、崩れるなよ〜足元と思いながら慎重に降りていく。
5分後
死ぬかと思ったが、何とか崖下まで降りることが出来た。若返ってなかったら無理だっただろうなこれ……。
ちなみにマリアは1分もかかっていない。子供の元気さゆえなのか、マリアだからなのかどちらなのだろう。
「こっち! もうちょっとだよ〜」
もうすでにはるか先にいるマリアを追いかける。5分ほど歩くと、狭かった崖下から開けた場所に出た。
「お、おお〜〜〜!! すごいなこれ!」
目の前に広がるのは、一面の月光草。月光草は月明かりで光るから、夜に来てたらすごかっただろうな。
「でしょでしょ!!」
「お手柄だぞ〜マリア〜〜!」
思わずマリアの頭をなでる。
「ふふふ……くるしゅうない」
「んじゃちょっとこの月光草集めるの手伝ってもらっていい?」
「いいよ!」
一面に広がる月光草をひたすら採っていく。もはや野菜の収穫である。
5分も経たないうちに袋がパンパンになった。
とりあえず今回は持てるだけ持ち帰ることにして、また日を改めて回収することにしよう。
この一面の月面草があれば、アンデッドが何百匹いても大丈夫だわ。
「……お兄ちゃん、ここに来たことはお父さんやお母さんには内緒だよ!」
「もちろんだ」
むしろ都合が良い。採集の依頼があるわけでもない大量の月光草を集めているなんてマルセル達が知ったら、完全に疑われるからな。
ま、とにかく大量の月光草を確保する目処がついた。
明日は狩りまくるぞ〜〜!
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