表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
汝、彼の迷宮を攻略せよ  作者: 明石 遼太郎
第1章 ランスロットの迷宮
5/66

第4話 少年、少女の願いを達成せよ

 ユキさんの背中を追って歩くこと数十分。ゴブリンの気配に気を配らないといけないから会話らしい会話はない。時たまジェスチャーで意思疎通するぐらいで、あとは周囲を警戒しながら進んでいくぐらい。今のところ、ゴブリンとの遭遇はない。


 結構歩いたけど、どこまで行くんだろう?こんなに歩いてゴブリンに遭遇しないなんて、不気味な感じがする。あ、フラグじゃないからな。また悲鳴が聞こえてくるとか絶対ないから。


「ハルト君、ここだよ。私たちが拠点にしてた場所は」


 ユキさんが聞こえるか聞こえないかぐらいの声で、振り返りながら言ってきた。その場所を見れば、確かに火を起こしたらしい燃え滓が固まっていた。それにリーゴの芯も近くに転がっている。こんな洞窟の中で、妙に生活感を感じさせる場所だ。さて、


「ここからどうやって?」

「《風属性魔術》で探すの。ちょっと待ってて」


 そう言ったユキさんは、また指先を光らせて空中に絵を描き始めた。スラスラと書いてるけど、結構複雑な絵だ。ん?いや、絵じゃないのか?絵というよりも、文字の集まりみないに見える。


「〝澄み渡る風から彼の者を暴き出せ〟」


 瞬間、ユキさんから風が吹いた。いや、多分ユキさんを中心に風が広がったんだろう。でも、それだけだった。


「今のは?」

「風属性のレベル2《エアサーチ》。私を中心に風を循環させて周囲を探知するの。付いてきて」


 レベル2?魔術にもレベルが存在するのか。レベル2がどんなものかわからないけど、やっぱり魔術は便利そうだな。早く使えるようになりたい。でも、今はユキさんの友達を助け出すことに集中しないと。


「ねえ、ハルト君」

「ん、なに?」

「言いたくなかったら言わなくていいけど、レベルってどれくらい?」

「レベル?2だけど」

「け、結構あっさり答えるんだね」

「今から戦闘しよって時に隠してたらやり辛いだろ?それに、そこまで隠すようなことじゃないと思うけどな」

「まぁ、そうなんだけどね……実は1度だけ襲われたことがあるんだよね、人に」


 え?


「マジか」

「マジだよ。その時は5人でいたから追い返せたけど、その時に敵はモンスターだけじゃないって思い知らされたの」

「……その割には、俺に協力を求めるとき警戒してなかったよな?」

「助けてくれたし、実際良い人だったから結果オーライだよ」


 考えが雑だな……いつか騙されないか心配だぞ。でも、人に襲われた、か。確かに、食べ物も飲み物もないからな。単純な命の奪い合いだけじゃなくて、食料で争うことだってあるのか。これは、もうちょっと警戒して行動した方がいいな。まあ、でも、ユキさんに隠しても今更だな。


「俺は魔術とか使えないから、完全な前衛になるけど。ユキさんはどんな感じ?」

「私は前衛よりも魔術で戦う方が得意なの。ちなみにレベルはさっきので10」

「10って高ッ。結構時間かかる?」

「うん。1日ぐらいゴブリン狩りしてたけど、レベルが1上がればいい方だったよ」


 へー、やっぱり時間がかかるのか。俺もレベルが2になるときも結構戦った後だったからな。どういう基準でレベルが上がるかは知らないけど、上がるのに結構頑張らないといけないんだろうなぁとは思ってた。だから、それほどショックというわけじゃないな。


「そう言えば、魔術はどうやって使うんだ?さっき文字みたいなのをいっぱい書いてたのは?」

「あぁ、あれは術式だよ。私も文字自体にどんな意味があるのかはわからないけど、指先に魔力を乗せながら綴るとあんな風に空中に残るの。まあ、最後に呪文を唱えないと発動しないんだけどね」

「なるほど。ちなみに、使えるようになる条件とかは?」

「熟練度の《魔力》を上げると適性のある属性が使えるようになるよ。今どれぐらい?」

「ちょっと待ってくれ」


 そう言えば、ウィンドウ見てなかったな。どれどれ、っと。



 =========================

 熟練度

 《剣術》 10/100

 《短剣術》 3/96

 《体術》 4/98

 《槍術》 1/90

 《斧術》 1/88

 《棍術》 2/89

 《投擲術》 2/42

 《盾術》 1/84

 《魔力》 1/6

 《運動》 13/99

 《隠形》 3/55

 《観察》 4/82

 《推理》 2/47

 《料理》 1/44

 =========================



「うわー、一向に成長してない。1のままだわ」

「んー、ハルト君。技能は使ってるよね?」

「ああ。結構役に立つから」

「それなら、魔力を操る練習をすればいいよ」

「魔力を操る?操れるのか?」

「うん。さっきも言ったけど、術式を綴る時に魔力を指先に集めないといけないから。1番効率がいいのはそれかな」

「魔力を操る。て言っても、あんまりよくわからないなぁ。魔力がよくわからないし」

「技能を使った時に減った感じがあるのが魔力なんだけど、感じない?」

「感じたことはあるけど、操れるかと言われたら別だ。うんともすんとも動かない」

「まあ、技能を使っていればそのうち上がるよ。それに魔術がダメでも、武技ぐらいはあるんじゃない?」

「武技。そう言えばそんなのあったな」



 =========================

 武技

 《剣技》

 レベル1《サイライト》 0/100

 レベル1《スペン》 0/100

 =========================



 お、なんか増えてる。えーっと、


「《剣技》があるな、2つ。レベルは1らしいけど」

「武術系の熟練度が10になると、武技を習得するの。最初はみんなレベル1みたいだよ」

「へぇ、どうやって使うんだ?クリックしても反応ないし」

「武器を持っていたら体が教えてくれるよ。見てて」


 おもむろにユキさんが手を翳したら、その手に棒が現れた。えっ、どうやって出したの!?気になるけど、ユキさんは気にせず棒を構えてタメを作る。あれ、棒の端がオレンジに発光してる。


「タァァッ!!」


 そして、掛け声と同時に棒を振るう。たったそれだけだけど、ユキさんがしたのは間違いなく技だ。あと、止めた瞬間に気流が荒れたように見えた。


「これが武技。魔力も消費しないしノータイムで使えるのが特徴ね」

「いやいや、それ以前にどうやって棒出したの?」

「え?あー、『道具』への出し入れは念じることでも収納可能なの。まあ、所有者登録されてる物に限られてるけどね」


 念じるって……例えば、《ゴブリンの短剣》を心の中に思い浮かべればいいのか?


「うおっ!」


 出たっ!?マジで出た!!


「入れる時は触れながら念じると収納できるよ」

「へぇー、これは便利だな」


 試しに、出てきた短剣を握って入るように念じてみた。すげぇ、本当に『道具』の中に入った。でも、所有者登録している物に限るのか。これは覚えておいた方がいいな。戦闘の時に選択を間違えたら終わりだ。それにしても、しまったなぁ。さっきのゴブリンの武器、回収しとけばよかった。



 =========================

 道具

 ゴブリンの牙 ×26

 ゴブリンの耳飾り

 ゴブリンの水筒 500ml ×10

 魚 ×24

 リーゴ ×49

 活魔薬 ×10

 ゴブリンの棍棒 501/607

 ゴブリンの槍 535/536

 ゴブリンの棒 488/529

 ゴブリンの短剣 448/461

 ゴブリンの盾 310/494

 ゴブリンの弓 421/436

 矢 ×25

 =========================



 時間が惜しいから、そこら辺に転がってた小斧と短剣だけ手にしてきた。でも、今から大群と戦うとなるともっと武器が必要になってくる。回収ぐらいはしておけばよかった。まあ、メイジ・ゴブリンの魔術で剣がぶっ壊れたから、結局《剣技》は試せないけどな。


「ハルト君、止まって」


 ウィンドウを覗いていたら、ユキさんに手で止められた。ユキさんが岩の物陰に隠れるから、俺も同じく物陰に隠れる。物陰から上下に顔を出して覗き込む。そこは洞窟の道とは違って開けた場所になっていた。まぁ、そこにうじゃうじゃとゴブリンどもがいるわけだ。数は……見た感じわからん。強いて言うならヤバい数いる。100……いや、最悪1000匹は居そうだ。これは予想外だな……


「ハルト君……」

「一旦離れよう。強行突破は、無理だ」


 とりあえず、アイツらに聞こえないぐらいのところまで移動して、壁を背もたれにして並んで座った。


「とりあえず確認だけど、友達があそこにいるのは間違いないのか?」

「……うん。正確には、あの奥。4人とも、同じ場所にいた」

「そうか……」


 広さはだいたい野球グラウンドぐらい。ゴブリンの小柄な体格なら、1000匹入ってもまだ余る。想定は1000以上と考えるべきだ。そんな数に2人で挑む。頭に浮かんでくる言葉は無謀だけだな。さて、どうする……


「ごめんなさい……」

「何で謝る?」

「こんなことに手伝ってなんて言って……ごめんなさい……今からでも、断っていいよ……?あんなの……無理だよ……」


 三角座りして顔を伏せてしまった。まぁ、あの数を見れば心が折れてしまうのもわかる。


「俺が断ったら、ユキさんは1人で挑むのか?あの数に」

「……うん。友達を、助けたいから。私がアイツらに弄ばれたって……みんなだけは、助けたいの……」

「……なら、やることは変わらない。作戦を立てよう。打開策が見つかるかもしれない」

「え?」

「まず、アイツらの数だけど、広さ的に1000匹以上いる想定で考えた方がいいな。武器は、全部は確認できなかったけど、今まで遭遇した奴らと変わらなかった。多分、メイジ・ゴブリンも杖だろうな」

「ちょ、ちょっと待って!」


 作戦を考えてたら、ユキさんに止められた。え、なんか俺、間違ってた?


「どうかしたか?」

「どうかしたって……戦う気なの……?」

「ああ。ユキさんは戦うみたいだからな。なら、俺も戦うよ」

「そんなのっ……そんな理由で戦われても困るの!私のせいでハルト君が死んじゃったらっ、私のせいじゃない!?全部私のせいじゃない!!」

「声大きい。アイツらに気づかれるから声抑えて」


 急に叫び出すからびっくりしたぁ。アイツらに気づかれたんじゃないかって、ビクビクしたぞ。まったく、ユキさんは何を当たり前のことを言ってんだ。


「まあ、そんな理由だ。正直、今の俺に生きる理由なんてない。ただ死ぬ恐怖に怯えて戦ってるだけ。あんな数を前にしたら怯むのもわかるし、俺も恐い」

「じゃあ、断ってーー」

「でも、ユキさん1人で行かせるのは違う。と思ってる。根拠を聞かれるとわからないけど、なんか俺の心の中で言うんだ。引くな、って」


 本当にどうしてこう思うのかはわからない。俺の記憶なんて、所詮1日分もない半端なものだ。だから、多分これは失くなった記憶の中の欠片で、その想いなんだろう。いつか消えてしまいそうな想いだからこそ、俺は大切にしたい。って、この想いも欠片から来てるのかもしれないけど……


「ま、そんな感じ。だから、気にせず俺を使ってくれ」

「ハルト君……いいの?」

「いい。もう覚悟もできたしな」

「早いな〜、もう……」


 ユキさんの顔がふくれっ面になった。可愛いっ。美人のふくれっ面っていいな。一瞬、何かに目覚めそうだった。いや、本当には目覚めないけど……


「そうね。ごめん、話の続きお願い」

「あ、ああ。て言われもどこまで話したから覚えてないから1から説明するぞ」

「うんっ」


 なんか、急にユキさんが明るくなった。さっきまで顔を膝に埋めていた人とは思えない明るさだ。一体なにがあったと言うのか……まったくわからん。


「じゃあ、行くぞ。敵は想定1000匹以上、メイジ・ゴブリンも何匹か視認。武器は今まで見てきたとの変わらない。ここまでで意見あるか?」

「ううん、ないよ」

「なら、具体的な方法だけど……ユキさんの魔術の適性ってどんな感じ?」

「私は水、風、氷、雷、光、無かな」

「なるほど。今使える魔術の中に、広範囲に無力化できるものあるか?攻撃力はいらない。数秒動きを止められれば」

「あるよ。氷属性と雷属性のレベル2に。でも、本当に攻撃力はないよ?」

「いいんだ。別に馬鹿正直に1000匹以上も倒す必要なんてない。俺たちの目的はユキさんの友達を救い出すことだからな」

「あっ、なるほど」

「まあ、アイツらを無視して通るわけだから、退路は死守しないとだけど。そこは俺がするよ。ユキさんは突破してすぐに奥へ進んでください」

「わかった。ちょっとだけ希望が見えてきたよ」

「そうだな。無謀な戦いじゃないことは確かだ」


 ユキさんと拳を合わせると、俺たちはアイツらがいる開けた場所の前にやってきた。俺は小斧と短剣を、ユキさんは棒を持っている。策は立てたけど、それで恐くなくなったわけじゃない。恐いものは変わらない。でも、人はそれを勇気で乗り越えられる。


「ユキさん、魔術の準備を」

「うん」


 ユキさんが術式を綴り始める。複雑なのに、その速度は速い。ものの20秒で完成した。ユキさんが頷く。それに俺も頷き返して、武器を構える。


「Go!」


 そして、駆け出す。俺の後ろを付いてくるようにユキさんも駆け出す。速力はユキさんに合わせているので遅い。ゴブリンどもが俺たちに気づいて襲いかかってくる。ゴブリンたちが俺たちに接触する前に、


「ユキさんっ」

「〝迸る稲妻に曝され痺れゆけ〟ッ!!」


 俺の声に応えて、ユキさんが魔術を発動させた。俺の背後から電気が飛び出して前や横にいるゴブリンどもを横切った。その後に、次々と痙攣させながら倒れ込んでいく。なるほど、麻痺の魔術か。攻撃系、探知系、異常状態系と魔術にもいろんな種類があるんだな。とりあえず、麻痺で倒れ込んでいるゴブリンどもを踏みながら進む。


 でも、麻痺できたの全体のほんの一部で、他のゴブリンがまた迫って来た。走りながらだけど、俺の後ろではユキさんが次の魔術を綴っている。それが完成するまでには時間がかかる。だから、その時間を俺が稼ぐ!1番初めに跳び込んで来たゴブリンを小斧を振り下ろして迎え討つ!!さらに剣を掲げて来るゴブリンに短剣を投げつける。近いのもあって額に突き刺さった!!おまけに遠くで弓を構えていた奴に小斧を投げつけていく。来いッ、《ゴブリンの棍棒》と《ゴブリンの盾》!!


 心の中で呼べば、手の先に棍棒と盾が現れる。それを握って棍棒を薙ぎ払ってゴブリンを殴る!振り下ろしてくる小斧は盾で防いで弾きあげ、素早く蹴り上げて遠くに飛ばす。そこで、ユキさんの魔術が完成する。


「〝輝く冷気で凍え拘束せよ〟ッ!!」


 今度は冷気が周囲に飛び散った。冷気の風に吹かれたゴブリンは例外なく身体を凍らせて身動きが身動きが取れなくなる。今度は周囲に凍らせる魔術か。ホント魔術って便利だな。俺も早く使えるようになりたい。


 そんなことを思いながら駆け続ければ、ユキさんが言っていた奥に続く道にたどり着いた。俺は立ち止まると同時に反転する。


「ユキさんっ、行け!」

「うん!すぐに戻るからね!!」


 ユキさんが奥へと消えていくのを肩越しに確認した俺は、前を向き向き直す。そして、今まさに棍棒を振るってきたゴブリンの一撃を躱して殴り返した。首をあらぬ方に折りながら吹き飛ぶ。でも、まだまだ。時間が経てば麻痺や凍結してる奴らも加わってくる。それまでにできるだけ数を減らさないと。


「《筋力上昇》、《耐久力上昇》、《敏捷上昇》」


 出し惜しみはないだ。ユキさんによれば、技能の効果時間はだいたい5分。どれだけリレーできるかわからない以上、短期決戦は絶対だ。魔力消費を抑えるために使わないなんて言っている場合じゃない。


 槍を持った奴が突いてくる。躱して顔面を殴る。振るわれてくる剣を盾で防いで蹴りを入れる。痛ッ。今度は右足に短剣を突き刺してきた奴に棍棒を振り下ろす。目尻に矢を放ってくる奴が見えたから、そいつを摘み上げて盾にした。もう邪魔だから近くの奴を妨害するように投げつける。躱したからその隙に脳天を殴った。棍棒が折れる。


 柄だけになったのを杖を持った奴を妨害するために投げつけて、右足に刺さっている短剣を抜き取った。ーーッ。自分の血が宙を舞った。でも、気にせず短剣を脳天に突き刺す。ぐがッーー。石が飛んできた。周囲に同化していたせいで頭に当たる。血が垂れてくる。気にせず、盾を杖を持ってる奴に投げつけた。胴体にヒット。ガッーー。槍で左肩を突かれたっ。至近距離から短剣を眉間に投げつけてやった。そのままその槍を抜いて剣を掲げてくる奴を一突きする。抜く暇がないから落ちてた小斧を拾って術式を綴ってる奴目掛けて投げる。刃部分が頭に食い込んだ。


 棒が振り下ろされる。ぐっ……腕をクロスさせて止めた。《銀籠手》をしててよかった。受け止めた状態で近くに落ちてた棍棒の端を蹴る。なんとゴブリンの急所に当たって棒を手放した。その棒を使って喉元を全力で突く。ユキさんを追おうとする奴がいた。棒を薙ぎ払って殴りつけて止める。棒が折れた。


 剣を振るってきた。折れた棒で受け止めるーーぐっ。棒が突破されて胸元を浅く斬られたッ。ネクタイが半分ぐらい落ちる。カッターシャツに血が滲む。そんな間にも、剣を振り下ろしてくる。転がって躱して低い姿勢のまま脚を振るってゴブリンの足を払う。落ちてた短剣を拾い上げて倒れ込んだゴブリンにマウントを取って喉元に突き刺す。トドメに短剣を捻るのも忘れない。


 ぐはッ。横から棍棒を殴りつけられたッ。転がっていく俺に周囲の奴らが便乗して襲いかかってくる。《ゴブリンの棒》っ!!手の先に棒が現れて握った瞬間に周囲を薙ぎ払う!致命傷は与えられなかったけど、ほとんどのゴブリンが吹き飛んだ。落としていった短剣を拾って、弓を持ってる奴に投げた。まさに射ようとしていたゴブリンが胸元に短剣を受けて明後日の方に矢が飛んでいく。そうかっ、矢だ!!《ゴブリンの弓》と《矢》!!


 念じれば、左手に弓、右手に矢が収まる。そして、番えて矢を放つ!


 ポンッ、グサッ


 あ、あれ?矢が飛ばすに目の前の地面に突き刺さった……もう1回っ。《矢》!今度はもっと弦を引っ張ってっ、メイジ・ゴブリンを射抜く!!


 ポンッ、グサッ


 でも、結果は同じだった。って、火の球が飛んでくるッ。俺は急いで地面に突き刺さった矢を拾って火の球へ投げた。すると、矢が火の球に当たって空中で爆発する。爆風が吹き荒れる中っ、もう一度《矢》を『道具』から呼び出して右手に握る。爆風が収まったのを見計らってメイジ・ゴブリン目掛けて投擲!綺麗に眉間を捉えた。


 爆風から立ち直ったゴブリンどもが俺を囲んで武器を構える。弓と杖を持っている奴を積極的に攻撃したお陰で、弓と杖を持ってる奴はいなくなった。これで、目の前の奴らに集中できる。足元に落ちている小斧を拾う。


「《筋力上昇》、《耐久力上昇》、《敏捷上昇》」


 技能を発動し直す。魔力が抜けていく感覚に襲われて身体が一瞬だけぐらつくけど、問題はない。退路を守るだけに集中すればいい。


「さあ、かかって来いよ。三下ども」



 俺の戦いは、まだ終わらない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ