y6.恵みの雨
ポツ……ポツ……と言う音で目が覚めた。
辺りはまだ暗いままだ。いつもならこの程度じゃ起きないんだけど、今日は眠りが浅い。
まあゆっくり寝れるはずもないんだけど。
それより、ポツ、ポツ?なんの音だ?
答えはすぐに出た。
顔に水が降ってくる。雨だ。
うーわ、最悪じゃん。しかも今降るかー……。ほんとツイてない。
ポツ……ポツ……と鳴っていた雨はすぐにザーッと泣き叫ぶ。
視界も雨粒が遮る程の大雨だ。
本当にツイてない。
夜の寒さと雨で一気に体の体温を奪われ、びしょびしょになったセーラー服が不快感を煽る。
木の上でガチガチと歯を鳴らしながらうずくまっていた。
普段はそこまで感じなかったけど、雨降るとこんなに寒いんだな…。
いつまでそうしていたか…。
雨は止む気配もなく、むしろ勢いを増して私を襲う。
これは……いよいよヤバい……。
もう体も限界だ。動こう。
体に熱を取り戻すべく木を降りる。
雨と暗闇で視界は最悪、それでも探り探り歩みを進める。
この雨で夜更けならモンスター共も活動してないかもしれない。
逆にこれはチャンスかも……。
雨が止む前に海岸まで帰るんだ……!
闇雲に密林を歩き回る。
木の枝で引っ掛け服もボロボロ。体には幾つも生傷が出来た。
それでも立ち止まらない。
絶対に生き延びるんだ。
私はまだチューだってした事ないんだ!親友って言える友達ができたことも無い!
他にももっと…もっとたくさん!!
日本でただ生きてる時は何も出来なかった。
だからか今になってやりたい事が涙と共に溢れてくる。
こんな……こんな所で死ねるか……!!!
その一心のみが体を動かしていた。
何度も木の根に躓き、転ぶ。それでも立ち上がって歩き続けた。
生きる為に。
もうドロドロのボロボロ。
ろくな食事もとっていない体はどんどん冷たくなり、まさに満身創痍というやつだ。
ああ……これダメだ。
歩いても歩いてもたどり着く気がしない。
死にたくないという思いだけで体を動かしてきたが、もうその思いにも陰りが見えてしまう程、冷たい雨の中を歩き続けた。
どれだけ歩いたか……。
千鳥足で木に手を付きながら進む。
そこからしばらくして限界を迎えた。
足から力が抜け膝から崩れ落ちる。
それでも前へ、なんとか前へ進もうと手を伸ばすがそのままうつ伏せに倒れてしまう。
もう……いっか…………。
私頑張ったよね。
生まれて初めての事ばかりで最初は戸惑ったし、家族や見慣れた町と離れて少し寂しかったけど一生懸命生きれた。
胸を張って言える。精一杯、生きたんだ。
今だって
私、こんなに生きたいと思えたの……初めてだったのにな…。
こんな事なら……周りの目なんて気にせず色々やっとくんだったな……。
自然とまた涙が溢れ、色んなものが混ざった感情が込み上げる。
いきなりこんな所に飛ばされて……こんな終わりなんて……。
そして
そのまま私は意識を手放した。