◇SNS 01 男は男。来たら優しくすると約束する。
《2-A 連絡グループ》
［6月6日］
ユー子: こないじゃん。転入生。
ミカ: あーあ。楽しみにしてたのにこれか。今日のモチベダダ下がり。
ひな: もしかして、転入生君、登校拒否？
ユー子: やだ。そんなの困る。
シズ: やっぱり。そんなうまい話があるわけなかった。
ひな: こんな時期外れに、転入生とか、普通ないし。学校が困って引きこもり君の名義を借りたか。
ラン: じゃあ、エアー転入生ってこと？ ぬか喜びさせるとか、鬼畜の所業。
ミカ: 今川くん！ カンバーック！
ユー子: くっ！ その名前を聞くと、まだダメージが。
ミカ: ごめん。今川くん、ユー子の推しだったね。学校やめちゃってまだ1カ月しか経ってないし。
ユー子: いい。元より高嶺の花って気はしてた。今川くん綺麗過ぎたし、ハナから観賞用っていうか。でもそれでもよかった。私は華のあるセンター系イケメンが好きなの！
チカ: 今川くん、御曹司だったしね。実際にどうこうは、考えにくいタイプ。
ラン: 本当に絵に描いたような美形だったし。でも、そんなクラスのアイドルを、ハイソな女に掻っ攫われるとか。無力感大。
ミカ: やっぱり、金・権力・地位。家柄は無理だから、目指すのはこれだよね。
ひな: 結局それか。
サキ: 佐藤、慌ててたよね。担任になってすぐこれじゃ、責任問題？
ユー子: 次の試験、A組とB組がごっそり入れ替わるとか。
ミカ: それはない。A組とB組じゃ、今川くん抜きでもクオリティが違うじゃん。
シズ: 確かに。今川くんが抜けるまでは、学園史上最高の当たりクラスだったわけだし。
ひな: B組から1人、A組に移動すればいいのに。
ラン: それやったらB組と戦争。
ミカ: もう。せっかくA組に入ったのに。あの面子には満足してるけど、数も大事。早く欠員補充しろや。
キョーコ: そうか？ B組の男子も案外イケてない？ 沖田君とか。ちょいスポーツバカっぽいけど、庶民的なところは悪くないし。このまま補充が来ないなら、次の試験考えるわ。
ひな: マジ？ 私はないな。北条っち推しだし。
ユー子: 北条っちね。確かにぽやんとしてかわいいけど、私は萌えない。
ミカ: ユー子は超面食いだもんね。じゃあ、斎藤君に乗り換えは？
ユー子: 斎藤君もイケメンなんだけど、タイプじゃないんだよな。あの計算してる感じが。
ミカ: でもさ、転入生くんがイケメンとは限らないよ。
ラン: そもそも、どうやって転入生を確保したんだろうね。スカウトかな？
シズ: 引き抜き？ だったら、移籍料とか凄そう。
ひな: この学校、そのくらい儲けてるっしょ。引き抜きならどんどんやって欲しい。
サキ: いや。引き抜きは学校間協定でできないはずだよ。
ユー子: それOKしたら、カオスだもんね。
ひな: ちっ。じゃあ、やっぱりたまたま？このタイミングの転入生が？
ラン: かなあ。偶然にしては出来過ぎだけど。
サキ: つまり、確保できただけでも上出来で、そもそもハイクラスなイケメンは期待できない？
チカ: かもね。
サキ: では、期待しないで待つか。欠員よりなんぼかまし。
ミカ: なんでもいいから登校して欲しい。男は男。来たら優しくすると約束する。
ユー子: 初日拒否るなんて、ビビリかもしれないもんね。イケメンじゃなくても、私も優しくする。
シズ: じゃ、そういうことで。
ひな: 明日に期待。佐藤がうまく説得できますように。
