◇SNS 05 ありがとう「愛愛」
《2-A 連絡グループ》
ミカ: さて、ユー子くん。抜け駆けした言い訳を聞かせてもらおうか。
ユー子: 思い出してもマジ天国。王子至近距離ヤバ過ぎた。
サキ: もしもーし。帰ってこいよ。
ユー子: この傘は永久保存。ありがとう「愛愛」。また新しいのを買わなきゃ。
ラン: おいおい。次はないよ。私だってロッカーに「愛愛」仕込んであったのに。僅差で出遅れたし。
キョーコ: 座席の勝負だよね。つまり成績。
サキ: だな。やっぱりなるべく後列に行かないと、チャンスは得られないってことか。
シズ: 今回は、斎藤くんがまたいいお仕事してくれたけどね。
ユー子: 斎藤くんは、神。いえ、愛のキューピッドなのかも。
シズ: いや。あれはしっかり計算してる。今川くんがいなくなったとき、身の危険を感じたんだよ、きっと。
ひな: まあまあ皆さん落ち着いて。ユー子がね。王子を招待してカップケーキの会を開くから勘弁してって。
ミカ: カップケーキの会? なにそれ?
ユー子: 絶対に美味しいのを作る! そうだ! レシピレシピ。レシピを探さなきゃだ。
ラン: それを詳しく。ユー子のウキウキぶりがメチャ怪しい。
ひな: 実はね……
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ひな: ……ってわけ。カップケーキパーティwith 2-A男子。いい企画でしょ?
キョーコ: それってクッキング部じゃなくてもいいの?
ひな: クッキング部と2-Aの合同イベントとしてやるから、希望者は参加OK。ってことで、ユー子の抜け駆けは許したって?
ミカ: そういうことなら仕方ない。今回だけだけどね。そして私は、今日からクッキング部の仮部員。
キョーコ: もちろんうちも参加する。王子、甘いのも辛いのもどっちもいけるのか。
チカ: 今、レシピ検索してる。カップケーキって、思ったよりいろいろ作れそうだね。
シズ: 生地の種類によっては、軽食代わりになるよ。
ラン: よし! これでA組男子の食べ物の好みをリサーチしちゃる。
ひな: 私はチョコ専任で。いろいろ試す。
サキ: チョコか。北条っちみたいに、好みが分かりやすいといいよね。斎藤くんはどうかな?
シズ: 斎藤くんってさ、多分、甘いもの苦手じゃない? 普段、食べてるの見たことない。
キョーコ: 確かに。上杉くんは、案外甘いのもいけそうだけど、斎藤くんはそのイメージはないかも。
チカ: 結城くんは? 彼もあんまり甘いものを食べてるイメージなくない?
ミカ: そうかも。結城くんか。彼、食堂でよくピザ食べてるよ。
チカ: マジ? ピザ風カップケーキっってあり?
シズ : あり。パン生地でカップケーキを作ってトッピングして焼く。
チカ: パン生地か。ありがとう、調べてみる。
ラン: 本当に。調べるといろいろあるね。パウンド、シフォン、ブリオッシュ。キッシュの具みたいに、ハムとかベーコン、野菜や肉を入れもよさそう。
シズ: それなら甘くないの作るの、一緒にやらない? 甘いのより沢山食べてもらえるかもだし。
ラン: よろしく。総菜カップケーキ班だね。
ユー子: 王子はどっちもイケるって言ってたから迷う。何に的を絞るかだな。
ひな: まず参加者を募集。作る候補をリストアップして、班分け。各自家で試作。できがいいのを採用。こんな感じかな?
ミカ: OK、OK。調理室と試食室の利用申請も必要。人数が多いから、確実に抑えないとね。
ユー子: それは、任せて。絶対に押さえるから。カップケーキ…いえカップリングケーキの会のために。