第3話
わたしたちは、囲まれたあの場所から、少し離れた通りにあるレストランで少し休憩を取っていた。
主に説子とわたしが、濃密な殺意に神経を疲れさせてしまったからだ。
……あ、そうだ。
ゆっくり出来てる今のうちに聞いてみよう。
「そういえば、ルナリィさん」
「はい、なんでしょうか」
そう思ったわたしの呼びかけに、ルナリィさんは少し不思議そうにこちらに顔を向けた。
「こっちに来る前、リア姉さんを見て驚いてたよね? なんでなのか、ちょっと気になってて」
「あ……気付かれていたのですか。私の知る、コハク……あ、失礼しました。アンリーア様は、家族への情が深い方ではありましたが、あれほど心配性ではありませんでしたから、少し驚いてしまったのです」
「ふふ、過保護ってはっきり言ってもいいのよ」
「……アンリーア様は主ですから、配慮は当然の事です」
横合いからの揶揄うようなリア姉さんの声に、ルナリィさんは若干硬い表情で答える。
……暗に過保護だって肯定してると思うんだけど、いいんだろうか。
「へえ、そうなのか。じゃあ、リアねぇはなんでこんなに過保護になったんだ?」
せ、説子……。
「確かに気になったけどそれストレートに聞いて良い事なのかな……?」
「あっ。リアねぇ、無理しなくてもいいからな?」
思わずツッコミを入れると、説子は慌てて無理に聞き出すつもりはないと付け加える。
「いいわよ。まあ、元から過保護だったとは思うけど、悪化した切っ掛けはあの子かしらね」
「「あの子?」」
懐かしそうに目を細め、リア姉さんは、ゆっくりと語り出した。