第2話
19/4/13 4:52 発見した誤字を修正。そのついでに、1カ所リアの言い回しを修正。
19/4/15 17:11 リアルの知人からの指摘により、途中にある現地の女騎士視点をより分かりやすくなるように加筆。リア視点の後、急に視点が切り替わるので、視点の切り替わりがより分かりやすくなるようにしました。ついでに、その後の転移後の話も少し加筆しました。
「じゃあ、行くわよ」
「ああ!」
「SF世界、楽しみだね」
「……そもそも、えすえふ? とはなんなのでしょうか……」
……あー。ルナは日本に連れてった事、無かった……ような気がするわね。ええ、たぶん。
話が通じにくいのはちょっと不便だし、連れてって詰め込むのもアリかしら?
「うーん……」
「……うん、見れば判る。というかちょっと説明がし辛いからそういうものだと思ってくれないか?」
説明しようとして、結局何と言えばいいのか判らず迷っている2人を見ながら、扉を開く作業を続ける。
ふと、思い出した。
天真爛漫なあの子の、新しい素材を見つけた時のような、満面の笑顔を。
だからだろうか。
あの子が故郷と呼んでいたその世界に、扉が開いたのは。
「まあ、いいか」
あそこもSF系統だしね。
そのうち紹介というか、話をするつもりだったし。
ルナが生きていたのだから、レレが、あの子がひょこっと顔を出す事も、あるかもしれないし。
あ、でも、一応守りは固めておいたほうがいいかもしれないわね。
そう思い、ささっと守護魔法を重ねがけする。
「ん? リアねぇ、どうし――」
キィィン――
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忙しい業務の中、上司からもぎ取った休暇で、買い物をしようと町に出た。
しかし。
キュインキュイン!と、けたたましく鳴った音に、私は休暇が終わった事を悟った。
あれは、はるか昔、世界を滅ぼす勢いで暴れた悪魔の魔力波動を感知した際、起動する警報の音だ。
もう鳴る事は無いだろうと、それでも無いよりは良い筈だと設置されていた、それが鳴り響いたのだ。
「……何の音だろう?」
「さあ……?」
顔を見合わせ、囁きあう群衆(混乱防止のためもあり、この警報の意図は私たち騎士団に所属する者と、国家運営に携わる重要人物しか知らないので、民間人にとってはよく分からない音だろう)に紛れ、私は顔を引き攣らせた。
(まさか、世界を滅ぼさんと暴れた悪魔が、また訪れるとは……! 急いで上司に判断を仰がねば!)
大急ぎで上司に判断を仰ごうと、人混みをすり抜け、既に、今日が休暇であった事など忘れ、ただ自分の職務を全うしようと、私は駆けだした。
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視点は変わり、リアたち一行。
転移魔法によって切り替わった風景に、クーと説子、ルナはぎょっと目を見開いた。
「はぁ……やっぱりね」
4人の周囲を徹底的に包囲し、警戒した様子で武器を向ける人々に、リアは溜息を吐いた。
『リアねぇ?』
『ち、ちょっとリア姉さん! この状況は何!?』
殺意を向けられる状況に慣れきっていない妹2人が慌てる。
「心配しなくても大丈夫よ。――ルナ」
あやすようにリアは2人に向けて微笑み、ルナリィの名前を呼ぶ。
『はっ。――捩れ、消滅しろ』
リアの意図を汲み、一歩前に出たルナリィが呟いた、その次の瞬間。
リアたち一行に敵意を持つ者が所持していた全ての武器が、ぐにゃりと捩れ、どこかに呑み込まれるように消滅した。
「えっ……」
絶句する周囲を横目に、リアはルナの動きを見て懐かしそうに微笑んでいた。