第1話
時間軸的には、3のかぐや姫のラストの直後です。
「2人とも、守護具はちゃんと起動できてる?」
「大丈夫だよ、リア姉さん」
「うん、大丈夫だぞ、リアねぇ」
かぐや姫の世界から旅立ったわたしたちは、いつもしている準備のため、リア姉さんが保有する安全な空間に来ていました。
リア姉さんは過剰な程に護りを与える魔導具がきちんと作動するかチェックしたり、自分たちの格好が次の世界で浮きすぎないか確認したりと、過保護な性分を存分に発揮し、わたし達妹の安全確保に忙しなく動き回っていて、
もう何回もそれを見ているわたしと説子は、されるがままにチェックを受けつつ、少しでもリアの負担を減らせるように積極的に動きます。
それは丁度、わたしの準備が終わった事で少し余裕が出来て、辺りを見回した時でした。
まるで信じられないものを見たかのように、目を見開いて立ち尽くすルナリィさんが目に入ったのです。
「ル……」
「さて、準備完了ね。お待ちかねのSF世界に行くとしましょう」
彼女の驚いた様子が気になり、わたしは声を掛けようとしますが、
準備を終えたリア姉さんがわたしの声を掻き消すように声を上げた事で、わたしの声は掻き消されてしまいました。
……仕方ありません、あとで聞いてみましょう。
わたしはそう考え、リア姉さんを追う事にしました。
いくらここが安全とはいえ、一番安全な場所はリア姉さんの目の届く場所ですからね。
毎回、世界を移動する度、こういう感じで準備を整えていた、という設定を後付けしました。……だってストーリーの展開上、こういう準備してる場面が必須だったんだもん。
こういう風にワンクッション挟むのは、1でちらっと出てきた化け物対策であり、ルナが同行していた時にもしていた事です。
リアたちが準備している場所は、リアが全力で攻撃しても傷1つ付かないような、リアが知る世界を探し回ってもこれ以上のものは見つからないだろうと断言出来る場所です。魔導具の付け替えなどで、どうしても無防備になる瞬間があるため、リアが作りました。
リアの行動:まだクーとルナが居るのに部屋を出て行ったのは、あの部屋が扉を開きっ放しにしていると防御力が大分下がる仕様になっているのと、部屋がリア本人が居なくてもクーの安全を確信出来るほどの強固に守られているからです。なお、仕様についてはリア(製作者)は不本意であり、材料の都合でそうせざるを得ませんでした。
ちなみに、ルナが護衛するんじゃないか? という点については、本人の性質が性質だからそれにはあまり期待していないようです。
あ、先に準備が済んだ説子が部屋を出て行ってしまい、部屋の中と違って安全を確信しきれない環境に説子を置いておく不安が大きかった、というのもあります。