転生王女は猪に轢かれる その1
ドシン!
激しい衝撃と共に、身体全体がとても痛い…。
「いったぁ…。」
あまりに痛かったから、どこか折れたかと思ったが、手足は動くようだ。手指を試しにグーパーグーパーしてみるが、うん、異常なし。
身体中に擦り傷や打撲はあるようだが、どうやら生きているらしい。
ん?生きている?
ちょっと待って?
私、確か電車に轢かれて死んじゃったんじゃない?
身体がバラバラになるような壮絶な痛みは(実際にバラバラになったと思う)、今でもしっかり覚えているし、思い出すだけでも鳥肌が立つわ。
たった今も何かにぶつかって、転んだようだが、別に命には支障はなさそうだし…。
そう思って、自分の手足や身なりを確認する。
手指はスラリとして、まさに、白魚のような綺麗な手。爪は桜色で、とても手入れが行き届いている。
私は、幼い頃から農家の手伝いをしてきたせいか、手が大きくて、鍬を持ちなれた手は、節張ってて、とてもじゃないけど、お世辞にも綺麗ではない。それに、私、32歳にして、女捨ててたしね!爪の手入れ?ネイルさえもしたことないし!そんなん、爪を切って清潔にすれば、十分!
足はとても手触りのいい、シルクの靴下を履いており、所々破れて足を擦りむいた形跡はある。
足を確認するのに、少し屈むと、さらりとした銀糸の髪が胸元に流れる。キラキラ光を受け輝いており、触ると絹糸のよう!
顔をペタペタと触る。
むっちゃもち肌!!ツルツル!!何これ!どこの化粧品使ってんの??
服を見てみると、事故に遭った時、黒のスーツを来ていたはずだが、今の私は、青いフリルのたくさんついたドレスを着ている。
「おい!大丈夫か!!」
出勤前なので、とりあえず、半分だけアップします。