ついに来た、鷹月高校
3月。
鷹月高校の校舎の前に掲げられた受験番号。
群がる人混みの中、俺は自分の番号を必死で探す。
10247…、10248…、10249…。
「…あったッ!10300!!」
間違いない。俺の受験番号。
俺はバッと後ろを振り返り、小学校からの仲で
ある、友人の小野聖矢を見た。
聖矢も受かっていたのか、目を真ん丸にして
ぱちくりとしながらコチラを見ている。
俺は嬉しさの余り、聖矢に向かって突進するかの
勢いで抱きつき、がむしゃらに笑った。
聖矢も、俺が突進したせいで一瞬「うっ!」と呻いたけど、一緒に笑った。
あの感動から、1ヶ月…。
4月。
新しく何かが始まる季節。
「ちょっと勝利!制服ちゃんと整えた?!
上履きは?!忘れ物ない?!」
「ちゃんと持ったよッ!忘れ物もない!
そんなに心配すんなっつーのッ!!」
「あー、とうとう勝利も高校生かー…。
歳を感じるねぇー…。」
「もう!お父さんやめてちょうだい!
あたしも泣けてくるじゃない…!」
「なんでだよ!!もう訳わかんないけど、
俺もう行くから!行ってきまーす!」
俺は家を飛びだして、走っていった。
「ついに来たぞ……!!」
鷹月高校の校門の前に立つ。
色々勉強とか苦労したけど、俺はどうしても
此処でしなければならないことがあるんだ。
「よぉ、勝利。
こんな所に突っ立って何やってんだ?
入学式始まっちまうぞ?」
後ろから聖矢がやってきた。高身長の聖矢だからか、既に制服姿は様になっていた。
「……聖矢、俺たち鷹月高校に入学するんだな…」
俺は俯いたまま、聖矢に言った。
聖矢は「はぁ?」と何を言ってるのか理解できないという素振りだ。
「てか、お前のねーちゃんここ出身だったよな?」
「…うん。
…聖矢。…俺、俺…ッ!!」
俺はバッと顔を上げて、聖矢を見上げる。
「俺は絶対、卓球部に入るぞ!!」
「はぁ~??」
4月。
新しく何かが始まる季節。
俺たちの高校生活が始まろうとしていた。