国王への報告
黙り込んでいたジルが、ようやく口を開いた。
「春輝殿。とりあえず、現状を国王様に報告するべきです。
王の間に行きましょう。」
「そうだな。これで俺達は帰っていいってなるかもしれないし。」
「……主殿が元の世界へ帰った場合、私はどうなるのだろうな?」
「……一緒に連れていってやるよ。そのくらいの責任は取る。」
すると、サラが元気な笑みを浮かべる。
「本当か!?そこには、強いやつがいっぱいいるのか? 」
「……魔力なしだと、強いやつなら沢山いるな。」
「ふむ……?……主殿の世界に魔力はないのか?」
「ああ。だから元の世界に戻ったら自分がどうなるのか、少し心配だったりする。」
「魔力無しで強いヤツと戦う……。それも、たのしそうだな!」
そう言ってサラは無邪気にまた笑った。
王の間につくと、王様がいつも通り偉そうにふんぞり返って座っていた。
前に見た、謝罪した時の王様とのギャップもあって、すこし面白く思った勇者達だが、それは顔に出さず、王やその臣下たちの前に立つ。
「王様。ご報告がございます。」
ジルが代表して報告を始める。
「以上です。春輝殿のお陰で、魔王は討伐され、この国にも平穏がもたらされるでしょう。」
「少し待て。平穏とはどういう意味だ?」
サラがジルに質問をする。
それに、臣下が怒鳴り声を上げる。
「貴様らが攻めてくるせいで我々は平穏な日々をずっと過ごせずにいたのだぞ!」
「……私を捕まえてもこの国への進行は収まりはしないぞ。」
「なっ!?それはどういう意味だ!」
「言葉通りの意味。だって、私はお飾りの魔王だったからな。政治や戦争なんかは兄上に任せていたから、今頃兄上は大喜びで自分から魔王を名乗っている頃だと思うぞ。」
そこで、国王が重い口を開く。
「……では、貴様を人質に使おう。流石に身内を人質に取られれば、向こうとて止まらざるをえまい。」
「それこそないぞ。私はあいつらにとって切り捨てたい存在であっただろうからな。」
「なんでお前、魔王なんだ?」
「魔王は実力主義だからな!私がたまたま一番強かっただけだ!」
「なるほどな。だから、お前の兄からすれば邪魔な存在だと。」
「そんなわけで、残念だったな。国王。」
すると、国王はにやりと笑う。
「そうか……。では、貴様には私達にすら利用価値がない訳か。
なら、貴様には見せしめのために死んでもらう。」
国王はそう言い放った。
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