魔王VS春輝
ジルがその場についた時、もう既に戦闘は拮抗状態であった。
春輝は、絶え間なく進化し続け、その絶え間なく進化した技術を吸収し続けるサラ。
二人の実力は限界を知らないまま高まり合い、誰もその戦闘に介入することなどできないほどの戦いになっていた。
そこで、どこからか走ってきた凰雅が、袋を抱えながら足をもつれさせる。
そして、こけそうになりながらも春輝に対してその袋を投げる。
「ハル!使え!今のお前ならそれを使えるであろう!」
それに気づいた春輝がその袋に入った、漆黒の刀を左手で取る。
そして、柄に右手を当て、赤い感応石に魔力を込める。
すると、袋に残っていた刀が反応し、春輝の周りを漂い、回り始める。
「ほう……美しい刀だ。良い出来であるな。」
「褒めるならこれを作った凰雅に言ってやれ。さあ、魔王。第2ラウンドと行こうか。」
そう言って不敵に笑う春輝。
続けて、
「[光速化]。」
と言うと、春輝の体を[純白]の光が包む。
「行くぞ!魔王!」
「来い!執事!」
二人でそう叫んで、動き出す。
春輝の7本の剣が宙を舞い、サラに向かって不規則に飛んでいく。
それをはじくサラ。
そのせいで出来たスキを狙って春輝が刀を振り下ろす。
キンっと、金属と金属がぶつかり合う音が聞こえる。
そして、そこから赤い炎と白い光がぶつかりあい、火花を散らす。
長らく続いたその拮抗を破ったのは春輝だった。
二人の実力は互角。勝負を分けたのは、先にサラが集中力を切らしたことであった。
サラの斧が吹っ飛び、サラの喉元に刃を突きつける。
「……どうした?私にとどめを刺さないのか?」
「生憎、俺にはお前に対する私怨もないしな。それに、お前のことを結構気に入ったからな。」
「そうか。私もだ。自分と同じくらい強い者と戦うのがこうも楽しいとはな。」
そう言ってサラが笑う。
「……よし、お前に二つの選択肢を与えてやる。
一つ目は、俺の配下になってこれから一生を過ごすか。
二つ目は、この国の人に恨まれながら殺されるか、だ。」
「……選択肢、なのか?それは。」
「もちろんだ。俺の配下になれば死ぬよりも辛いことをたくさん経験させられるかもしれないからな。」
そう言って苦笑する春輝。
「死ぬよりも辛い?望むところだ!」
そう言って春輝の差し出した手を取るサラ。
すると、サラの首と春輝の腕に黒いあざが現れた。
「ん?なんだこれ?」
「なっ!?そ、それは!従属魔法!?なんで使えるんだ!?執事!どういう事だ!」
「知らないよ!俺が聞きたいよ!」
そう言ってわめく春輝とサラ。
周りには、呆然とした勇者と騎士が立っていた。




