日常編 part5
直也は、春輝たちが第1訓練場で戦っている時、植物園に来ていた。言わずもがな、アイリと話すためである。
「直也様、今度は私のお話を聞いてくれませんか?」
そう言い出すアイリ。
もちろん頷く直也。
「私は、お城から出られないんです。」
そう語り始めた。
「私の目は、魔眼なんです。人の心の形が見える魔眼です。そのせいで、人混みに行くとたくさんの人の心が見えてしまって、体調を崩してしまうんです……。」
「そんな……。治らないのか?」
そう尋ねる直也。
しかし、頭を横に振るアイリ。
「魔眼は特異体質ですから。制御はできても、消すことは出来ません。制御しようにも、私はあまり魔力制御が上手くなくて……。」
「……そうか。すまないな。話の腰を折って。」
「いえ。そういうわけで、私はずっと王城の中で外に出ることなく、暮らしているわけです。
もちろん、私も年齢が年齢なので、お見合いをさせられたりもするのですが……。来る人が皆、歪み汚れきった心の持ち主ばかりなのです……。」
「……アイリって何歳?」
「今年で19ですよ?」
「うっそ!?年上!?」
そう言って驚く直也。
その反応を見てくすくすと笑うアイリ。
「見た目が幼いせいで、よく実年齢を言うと驚かれるんですよ。」
「……てっきり13くらいかと思ってた……。」
「まあ。それは酷いです。馬鹿にされました。傷つけられました。」
そう言って泣き真似をするアイリ。
そんなアイリの仕草に、困ったような表情をして、頬をかく直也。
「話を続けましょうか。そのせいで、私はリオネスとは別の理由で結婚出来ないわけです。まあ、妹は勇者様に治してもらったそうですけど。」
「ん?今思ったんだが、その目、治せるんじゃないか?」
「あ、お気づきになられましたか?そうです。おそらくその勇者様の力を使えば、無くすことは容易でしょう。……ですが、実は私は案外この能力が気に入っているのです。」
「外に出られないのにか?」
「はい。外に出られなくても、王城の中は飽きさせないくらい広いです。それに、今は話し相手になってくれる方もいますしね。」
そう言って直也に微笑むアイリ。
その綺麗な顔を見て、不自然に目をそらしてしまう直也。
きっとバレてるんだろうな。ドキドキしてるのも。と思いつつ向き直ると、またアイリはくすくすと笑う。
「顔真っ赤ですよ、直也様。目を使わなくても、ドキドキされているのがバレバレです。」
「仕方ないだろ……?君みたいな可愛い子に見つめられたらドキドキしないわけが無いじゃん……。」
「か、可愛いですか?そうですか。そうですか。」
そう言って頬を抑え、直也ににやけそうな顔を見られないように顔を背けるアイリ。
その様子を察したのか、維持悪く笑いながら、直也がアイリを褒め始める。
「そうだぞ。可愛くて綺麗で優しくて。抱きしめたくなるくらいちょうどいい大きさで、俺の一番好みな女の子なんだからな。」
そう言うと、さらに顔を真っ赤にして「あわわ、あわわ。」とうわ言を呟き始めるアイリ。
そんなアイリを見てまた可愛く思いつつ、笑う直也。
その表情を見て、からかわれたと思い頬をふくらませるアイリ。
「直也様、からかったんですか?」
「本心だよ。俺の理想的な女の子であるのは事実だよ。」
「……なんだかごまかされた気がします。」
そう言って直也をじっと見つめるアイリ。
じっと見つめられ、少しドキドキして顔をそらす直也。
すると今度はアイリが意地悪く笑う。
「そういえば、さっき抱きしめたいとか言っていましたよね?」
「あ、ああ。言ったな。」
「じゃあ抱きしめさせてあげましょう。」
そう言って、直也の席に近づくアイリ。
「お膝の上、失礼しますね。」
そう言って直也の膝の上に乗るアイリ。
それに戸惑いつつも、後ろからアイリをギュッと抱きしめる直也。
「な、なんかくすぐったいですね……。」
そう言ってはにかむアイリをまた可愛いと思ってしまう直也なのであった。




