この世界の情勢
メイド長が、勇者全員のクラスを聞き終わり、それを国の上司に伝えるために執務室に行かれたので、メイド長さんが帰ってくるまで、自分達の能力を把握するためにも、勇者一行は代理のメイドさんに連れられて訓練場に来ていた。
当然、そこでは王国騎士たちが訓練をしており、休憩していた騎士たちの目線は自然と勇者一行に集まった。
すると、王国騎士の中でも見るからに強そうな、大柄なおじさんが出てきて、勇者一行に挨拶をした。
「おぉ、お前達が今回呼び出された勇者達か。鍛えがいがありそうだ!俺の名前はオリガ=バルスタインという。一応、この国で宮廷騎士団長をやっている。俺のことはオリガとでも兄貴とでも呼んでくれ。これからよろしくな!」
「こちらこそ、よろしく頼みます、オリガ兄貴!俺の名前は東雲千秋。職業は、英雄です!他の人たちも、よろしく!」
と、率先して千秋が返事をし、それに連られて他の勇者達も簡単な自己紹介をし、それを見届けた千秋は話を進めることにした。
「ところで、オリガ兄貴、この訓練場、使っても問題ないかな?俺達、さっき自分たちのステータスを見た所だから、使ってみたくてうずうずしてるんです。」
「構わないが、お前ら、魔力制御なんて出来るのか?」
「魔力制御?」
千秋が首を傾げる。
「魔力制御が出来ないと、魔術は絶対に使えないぞ。どんな戦士であれ、この世界では魔力制御を使えないものはいない。魔力制御が出来てから、初めて魔術というものが使えるのだ。」
と、オリガは言う。
という訳で、オリガに魔力制御を教えてもらう事になったのだが……
「そう、ギュッとしてグッとしてグルングルンだ!」
と、いうふうに、オリガは感覚派なようで、言葉で説明するのが苦手だったのだ。
そのせいで、全員が難なく出来るようになる頃には、12時を回ってしまい、メイド長が帰ってきてしまったため、結局その時間中に魔術を使うことは、誰もできなかった。
「では、この世界のことを、説明したいと思います。食事をしながらで構いませんので、お聞きください。」
現在、勇者一行は、食堂にて昼食を取っていた。この世界の食事は、地球の料理によく似ており、少し味付けが違う部分もあるが、皆、美味しそうに食べていた。
この後もいろいろ予定が詰まっているので、ということで、食事しながらメイド長の説明を聞く、という感じになった。
「この世界、ムーザは、四つの国で構成されています。
一つ目は国王ラギアヌスの我々イルセ王国。
二つ目は皇帝イジュラの支配するシルベス帝国。
三つ目は竜王ギレハの支配するヒルダ竜王国
そして、四つ目は魔王の支配するジェネスタ王国です。
我々、イルセ王国はヒルダ竜王国と同盟を組むことで、シルベス帝国とジェネスタ王国に対抗してきました。
しかし、近年、度重なる戦のせいで荒れた土地からは、農作物も取れなくなり、各国は食糧難に陥りました。
しかしながら、魔人は、空気中の魔力を食べることで、一ヶ月間は何も食べずに行動することができると言われています。ですから、食糧難に陥っても他国よりも動くことが出来るのです。
そのせいで、今は魔人たちによる大規模進行が行われており、ジェネスタ王国以外の国は、いつ自分たちの領土が侵略されるのか、ビクビクしながら生活しています。」
と、ここでメイド長さんは一度言葉を切り、「なにか質問は?」と聞き、質問がないことを確認した後、話を続けた。
「そして、先日、大規模進行を行うという宣言がありました。その目標というのが……」
「この国ってことですか……」
いち早く食べ終わった春輝が、そう呟いた。
「……はい。勢力的にみても、この国は他の二国に比べて弱いため、狙われる対象になったのでしょう。」
「そうですか……。気になったんですけれども、竜王国とこの国が共闘しても、ジェネスタ王国には勝てなかったんですよね?そんな相手に、俺達を呼んだとしても勝てますか?」
春輝が疑問に思っていたことを言う。例えその状況で勇者を呼んだとしても、数の少ない勇者が、大量に敵のいる戦場において、戦況を覆す大きな一手になるとは思えない。
「いえ、これは魔人の特徴なのですが、魔人は寿命が長い代わりに、子供を授かりにくいとされています。ですから、全体数そのものでは、我々イルセ王国だけでも20倍以上です。しかし、魔人は個々の力が突出していて、捨て駒でもこちらの宮廷騎士くらいの実力があるのです。ですから、勇者様を呼んだ。という訳です。」
「なるほど、納得しました。ありがとうございます。」
「いえいえ。ですから、私たちの未来は、勇者様方にかかっている、と言っても過言ではありません。そのくらい、今この国は切羽詰っています。
ですから……、協力して、頂けませんでしょうか?」
この、メイド長の願いに、何人の勇者が心を打たれたことだろうか。
ここまで、奴隷にされるのは嫌だから仕方なく、せっかく異能を授かったのだから手助けくらいしてやろう、という感じだった気持ちが、この言葉を聞いたあとの勇者達の気持ちは、この人を、この国を助けてあげたい、に変わっていた。
そして、春輝は今度こそ背後から投げられる異質な目線を確かに感じ取ったのだが、どうしても、姿を見ることは出来なかった。
凰雅&千秋「「第1回番外コーナー!今回のお題は、「好きなこと」である(です)!」」
春輝「……ナニコレ?」
凰雅「いやなに、作者が「後書きに書くことは無いのであるが、なにか書いてないと落ち着かない」と、言っておってな。」
千秋「という訳で、後書きで番外コーナーをしよう!って感じになったんだ♪」
春輝「作者……やっぱりお前、バカだろ?」
作者「さ、さぁ!はやくはじめちゃおー!」
凰雅「と、言うわけで第1回の今日はキャラクター達の好きなことについてだ。」
千秋「纏めると、こんな感じになってるよ!」
春輝 [新しい料理に挑戦すること。]
千秋 [凰雅と春輝と一緒にアニメ鑑賞&討論。]
凰雅 [東雲兄弟と一緒にアニメ鑑賞&討論。]
真人 [FPSをすること。]
愛歌 [テニスを穏乃とすること。]
穏乃 [縫い物をすること。]
美冬 [ゲームのプレイ動画を見ること。]
凰雅「ふむ。望月さんがゲームとは少し意外だな。」
千秋「確かに、美冬さんはゲームしなさそうだもんね。ハル兄が新しい料理に挑戦することが趣味なのは俺からしたら意外かな。」
凰雅「チアキ、貴様はハルの弟だろう?なら、奴の新料理挑戦の時の顔を何度か見たことはあるのではないか?」
千秋「……あ〜。心の底からワクワクしてるね。料理が上手く完成した時とか直視出来ないくらい綺麗な笑顔だし。」
春輝「そんなつもりは無いんだが……。そうなのか?」
凰雅「あぁ、ハルの調理本を見ている時の顔は、とても良い顔をしているぞ。きっと、先程言っていた笑顔のハルを望月さんが見たら、顔を真っ赤にして倒れるんじゃないか?」
美冬「そんなことないですよ!せいぜい2日間春輝君の顔が直視できなくなる程度でした!……あっ///」
千秋&凰雅(盛大に自爆したなぁ……)
春輝「え、ええっと、ありがとう?」
美冬「……(バタッ」
凰雅「望月さんが倒れられた!ハル!なんてことをやってしまったんだ!!」
春輝「え!?俺のせいなの!?」
千秋「じゃ、ここら辺で終わりたいと思います。作者の気分次第で次回があるかも?」
春輝&千秋&凰雅「ありがとうございました〜」