日常編 part3
「さて!では、制作を始めようか!」
そう言ったのは凰雅。
今、凰雅のいる宮廷技術室には、午前中で仕事を終えた春輝と、依頼主である千秋と真人がいた。
「で、なのであるが、要望等はあるだろうか?」
「真人さんはある?」
「ああ、とりあえず光線銃とプロト・クーゲルはもう一本欲しいな。」
「俺の方は新しい剣がもう一本欲しいところかな?あとは、[想いの剣]がもう一本お願いしたいね。」
「了解した。お前達の今までの武器にも改良を加えよう。」
「ありがとう、任せたぞ。」
そう言って、プロト・クーゲルを置く真人。
「俺の方も頼んだよ。あと出力を3割くらい上げて欲しいかな。」
そう言いながら、[想いの剣]を置く千秋。
「うむ。任された!で、ハルはどうしたのだ?」
「俺はアレのアイデアを思いついたから言いに来ただけだ。」
「ほう?どんなのを思いついたのだ?」
「そんな難しいものじゃない。これを見てくれ。」
そう言って、スケッチブックを無限収納から取り出す春輝。
そのスケッチブックには、黒い日本刀がとても綺麗に描かれており、その周りにはなにやら説明書きが書かれているようだった。
「相変わらず綺麗な絵だな。」
そう褒める真人。
「で、これはどのような魔剣なのだ?見たところ刀のようだが……?」
と、凰雅。
「え!?凰雅さん、魔剣を作るの!?」
と、千秋。
「うむ。本当はコピーでいいのだが、そのコピーが上手くできなくてな……。オリジナルを作ろうという話になったのだよ。」
「へー。それって真人さんの銃のせい?」
「そうである。とても良い出来だったと褒められてな。魔剣の複製か作成を頼まれたのだよ。で、春輝よ、これはどのような能力なのだ?」
「言葉で説明するよりも読んだ方が早いんだが……。まあいいか。
この刀は、簡単に言えば周りの刀を操る。
本体の刀に鍔に取り付けた赤い感応石に魔力を流し込むことで、青い感応石を付けた刀が反応し、同時に操ることが出来るというわけだ。」
「……確かに理論的には完璧ではある。それは認めよう。しかし、ハルよ、お前は使い手のことを一切考えていないだろう?」
「……あ。忘れてた。」
「はぁ……。これでは誰も使えんよ。まず頭の処理速度が追いつかない。出来ても単調な動きになってしまうだろう。これを操れるのは冗談抜きで神の領域に到達しているものだけであろうな。」
「じゃあ、もう一本。」
そう言って、ページをめくる春輝。
そこには、先ほどと色合いの違う、赤い日本刀が書かれていた。
「これは魔剣と呼べるか微妙なラインなんだけど……。
この刀は、重さを調整できるんだよ。重力魔術を刻み込むことで、重さを追加できるってわけ。さっきよりも随分と単純でしょ?それに、魔剣と呼ぶにはお粗末すぎる能力かな?って思って。」
「確かに、先程のものと比べるとインパクトは薄いものの、充分に良い武器であろう。しかし、これもまた使い手次第と言えるな……。」
「俺なら使いこなせる自身はあるよ?」
千秋が笑いながらそんなことを言う。
「ふむ……。良いかもしれんな。千秋、これをお前の新しい武器にしてもいいか?」
「え?いいの?ありがとう凰雅!」
「よし、二本作って、片方を千秋に。もう片方を国王に提出することにしよう。」
そう言って、満足げに頷く凰雅であった。




