ステータスプレートとは。
「皆様、ステータスプレートの解説をするので、お集まりください」
その言葉に、混乱していた勇者達は促され、メイド長の前に集まる。
「では、解説をしていきたいと思います。質問があれば、手を挙げて下さい。」
メイド長の言葉に、全員が頷く。
「ステータスプレートは、神々に与えられた恩恵を、数値化したものです。それが今の、皆様の状態です。」
「質問」
と、真人の声。
「はい。どうぞ。」
「神々に与えられた恩恵、と言ったが、俺達のような召喚されたものにも、その神様とやらは恩恵をくれるのか?」
「えぇ、もちろんです。神様にとっては、異世界人もこの世界の人間も大差はありません。」
「なるほど。途中で区切って悪かった。ありがとう。」
「いえいえ、どういたしまして。では、話を続けます。」
そうして、メイド長はゆっくりと言葉を続ける。
「皆様の名前の隣に「Lv.」と、書かれていると思われます。「Lv.」は、その数値が上がる事に、ステータスが上昇します。当然、「Lv.」は、高ければ高いほど良いとされます。」
「質問である!」
と、ここで凰雅の声。
「はい。どうぞ。」
「この「Lv.」は、やはり、モンスターを討伐することで上がるのか?」
「ええ。他にも、普通に日常生活しているだけでも、「Lv.」は上がります。スキルや、ユニークスキルの行使などでもあがります。モンスターを討伐するのが一番レベルが上がりやすいとも言われていますが、断言はできません。」
「ほう。なるほど。では、ステータスに上限はあるか?あと、ステータスによる恩恵はどれほど影響が出る?」
「ステータスに上限は、今のところは確認されていません。
ステータスの恩恵はまちまちですが、ステータス次第では、大人を子供が抱えている、なんて話もあります。」
「ふむ。ちなみに、ステータスはどの位が平均なのだ?」
「基本的には、うちの兵士達ですと、ステータスがオール3000オーバーといった所でしょうか。優秀な人だと、10,000オーバーの方もいらっしゃられます。」
「ふむ。最後に聞きたいのだが、ステータスの一部が10万を超えてる人物を、貴方は見たことがお有りだろうか?」
「いえ、それはいわゆる魔王の次元の強さです。人間では到達しえない境地でしょう。」
春輝の表情が固まった。
「そ、そうか。ククッ……解説を続けてくれ。」
凰雅は、こみ上げてくる笑いを噛み殺しながらメイド長に続きを促した。
「えぇ、分かりました。」
メイド長は少し怪訝そうな顔をしつつ、話を続ける。
「続いて、スキルとユニークスキルの違いについてです。スキルは何らかのきっかけにより後天的に目覚めるモノ、ユニークスキルは、先天的に目覚めているモノ、もしくは、目覚める素質のあるモノです。」
「質問!」
次は愛歌が元気な声で言う。
「はい。どうぞ。」
「魔眼って何?」
「魔眼とは、魔力を目に込めることで特定の能力を使うことができます。私の知っている物ですと、魅了の魔眼、暗示の魔眼、鑑定の魔眼などです。」
「じゃあ、私のこの「万死の魔眼」も、魔力を込めることで見えるようになるの?」
「えぇ、もちろんです。」
「わかった!ありがと!」
「いえ、どういたしまして。」
メイド長の話は続く。
「続いては、魔力適性についてです。魔力適性とは、その人の魔力の質から得意な属性を割り出すと言ったモノです。ただし、得意なだけであって 、別に出ていない属性が使えない訳ではありません。」
「質問」
春輝が声を上げる。
「はい。どうぞ。」
「魔力って何だ?」
「魔力とは、血液の中にあるモノです。基本的には空気の中にあり、人は周りから息や皮膚に触れるなどして魔力を摂取することができます。魔力は、魔術、魔法、魔導を使う際に必要となります。先ほどの魔眼は魔術の一種です。」
「魔術と魔法と魔導は違うのか?」
「はい。魔術は元からある程度の用意をして、現象を引き起こすものです。魔法は、自身の魔力のみで現象を引き起こすものです。そして、魔導は空気中の魔力のみで現象を引き起こすものです。」
「なるほど。このステータスプレートの色も、魔力によって決まるのか?」
「えぇ、そうです。」
「そうか。話を続けてくれ。」
「はい。分かりました。最後に、クラスについてです。クラスは基本的に、その人の個性によって決まります。ステータスにも大分影響が出ます。クラスは、ある程度レベルが上がると、上位クラスになります。当然ステータスも上がります。」
「ん?つまりは、クラスが農民の人もいたりするの?」
と、千秋が言う。
「質問と言ってからと言いましたよね……。まあいいでしょう。当然、クラスが盗賊や簒奪者などの人間もいます。皆様のクラスも、望んだクラスが手に入った方は少ないのではないでしょうか?」
「しかし、そういった場合、犯罪を犯したくないのに犯してしまう人も出てくるんじゃないの?」
「クラスがどうであれ、結局はその方の意思次第です。実際、この王城にはクラスは農民だけれど騎士をやってる人や、クラスは商人だけれど王族の護衛をやっている方もいらっしゃられます。逆に、クラスが騎士の人の方が少ないくらいです。」
「納得したよ。ありがとう。」
「いえ。どういたしまして。
これにて、ステータスプレートの解説はおしまいです。ありがとうございました。」
メイド長が頭を下げると、勇者達も拍手をして、メイド長の説明がわかりやすかった。ありがとう。など、口々に言った。
「皆様、ありがとうございます。では、一人一人、個別にクラスをメモしたいと思うので、皆様一列になってお待ち願います。」
と、メイド長は言った。
春輝はその時、背後に視線を感じ、振り向いたが、後ろには誰もいなかった。